SHARE 宮城島崇人建築設計事務所によるテーブルとベンチ「Moku-dai 001」
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宮城島崇人建築設計事務所によるテーブルとベンチ「Moku-dai 001」です。
若い夫婦のために設計したテーブルとベンチ。
仕事がら転勤が多いので、家を住み替えても変わらないよりどころがほしい。それは、仮暮らしの家のなかに求められた小さな建築と呼べるかもしれない。生活の中心にあって飽きがこないように、そして色々な使い方が想像できる余地を残すように、できるだけ抽象的な状態を目指した結果、「スチールのうえにただ木を並べただけの台」となった。”Moku-dai”たる所以である。
住む家や季節によって床座か椅子座のライフスタイルを選択できるように、スチールの脚の組み合わせ方によって、たかい台とひくい台、二通りの高さを選ぶことができるようにした。
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以下、建築家によるテキストです。
若い夫婦のために設計したテーブルとベンチ。
仕事がら転勤が多いので、家を住み替えても変わらないよりどころがほしい。それは、仮暮らしの家のなかに求められた小さな建築と呼べるかもしれない。
生活の中心にあって飽きがこないように、そして色々な使い方が想像できる余地を残すように、できるだけ抽象的な状態を目指した結果、「スチールのうえにただ木を並べただけの台」となった。”Moku-dai”たる所以である。
住む家や季節によって床座か椅子座のライフスタイルを選択できるように、スチールの脚の組み合わせ方によって、たかい台とひくい台、二通りの高さを選ぶことができるようにした。
天板は、異なる5種類の無垢板で構成され、その配列は各木材の持つわずかな性質の違いが決めている。この”わずかな”性質の違いは、異なる樹種を並べるというシンプルな仕組みにおいて際立ち、今ではこの小さな建築を成立させるために不可欠なものと思われる。厚さ15mmの薄い天板は、実(さね)によって連結され、両端部の板のみスチールの脚と固定することで全体が固定される。変形が小さく硬い木が、柔らかい木を挟み込むことで全体の変形を抑制している。端部に配する木は、割れにくく、衣服や皮膚にひっかかることがない樹種を選んだ。樹種の違いは色や艶、表情の違いとなって顕れ、肌触りや手に触れる温度の違いとなって潜んでいる。特に後者の、向き合い触れる対象物としての性格が見出されたことには新鮮な驚きがある。
天板はバラバラに分解でき、同形のスチールの脚は反転してコンパクトに重ねることができるので、持ち運びが容易である。樹種によって経年変化の仕方は異なるので、時間の経過の中で多様な表情を見せるだろう。割れや焦げ付きなどの損傷が生じた場合でも、傷んだ部材だけを取り替えれば半永久的に使い続けることができる。
■概要
設計:宮城島崇人(宮城島崇人建築設計事務所)
製作:飯野方人(木工房森の音)
サイズ:テーブル W762×L1350×H680(H349)
ベンチ W448×L1350×H349
天板:無垢板オイルフィニッシュクリア
脚部:スチール角パイプ粉体焼付塗装クリア
完成:2014年
写真:瀧原界
(受注生産品)
© 2014宮城島崇人建築設計事務所