SHARE 田所克庸建築研究所+un voice一級建築士事務所withexpoによる「縦縞の室内」
田所克庸建築研究所+un voice一級建築士事務所withexpoが設計した「縦縞の室内」です。アーキテクチャーフォトでは、田所克庸らの作品として信楽の「文五郎倉庫」を特集記事として紹介しています。
外は見えずとも窓から光が射す片隅を描いた室内画。外部との親密な関係を示唆する広い世界がそこにある。そんなタブローのような在り方をこの改装では試行した。細やかな光の粒子が温もりのある素材の手を借りて風景や環境と親密な関係を結ぶ。周到に外部との豊かな関係が織り込まれた既存の建築。その豊かな質に寄り添いながら、目前に拡がる世界へと何気なく隣合う室内風景を模索した。
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以下、建築家によるテキストです。
縦縞の室内
2014
外は見えずとも窓から光が射す片隅を描いた室内画。外部との親密な関係を示唆する広い世界がそこにある。そんなタブローのような在り方をこの改装では試行した。細やかな光の粒子が温もりのある素材の手を借りて風景や環境と親密な関係を結ぶ。周到に外部との豊かな関係が織り込まれた既存の建築。その豊かな質に寄り添いながら、目前に拡がる世界へと何気なく隣合う室内風景を模索した。
改装の考えの一つに、重ねられた時間や空間をいかに引継ぐかという面白さがある。ここでは、新築時に計画された外部との印象的で良好な関係を尊重し引継いでいる。その設計の文脈の延長に建築を改変する事で、この住戸が持つ良質さの抽出に専念した。断熱性能の向上、収納量の確保、サンルームの設置などの要望に対し、それらを個別に応答するのではなく、互いに均し合うかのような全体の現れに期待した。そのため構造と造作に補間関係を与え、段階的に表情が連続する仕上げを施した。南側の窓辺では溢れる陽光を室内に誘うため明度の高い素材を用い、北側の窓辺にはあざやかな樹々の借景が映えるよう明度の低い仕上げを使用した。南から北へ向かうにつれ、仕上げの色調や明度が段階的に変化する。形状も機能も異なる部屋が、建具や家具の樹種による階調と壁や天井に塗られた珪藻土の濃淡によって屋外へ繋げられる。屋内の改装であるにも関わらず、屋外を意識することで生まれた縦縞模様の室内。室内の更新において屋外とどんな関わり方が出来るのか、そんな一端を考えた。
■建築概要
設計 : 田所克庸(田所克庸建築研究所)
武田憲人(expo)
上田篤(un voice一級建築士事務所)
田所克庸建築研究所+un voice一級建築士事務所withexpo
施工:株式会社 小寺工業
ダイニングテーブル制作:安藤英寿(クラニスム)
写真撮影:田所克庸