SHARE 谷尻誠+吉田愛 / SUPPOSE DESIGN OFFICEによる「広島の小屋」
all photos©矢野紀行
谷尻誠+吉田愛 / SUPPOSE DESIGN OFFICEが設計した「広島の小屋」です。
のどかな田園風景が広がる敷地に、周囲にいる動物も通り抜けてしまうような建物を依頼された。敷地の中に小さな丘をつくり、その丘の上に家具や生活品がぱらぱらと置かれ、 周囲の動物達の間に日常の生活が入りこんで混ざり合うような風景を提案した。
丘の上に薄い屋根がふわっと浮いて、人がいる場所に影をつくるような建物をつくった。
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以下、建築家によるテキストです。
のどかな田園風景が広がる敷地に、周囲にいる動物も通り抜けてしまうような建物を依頼された。敷地の中に小さな丘をつくり、その丘の上に家具や生活品がぱらぱらと置かれ、 周囲の動物達の間に日常の生活が入りこんで混ざり合うような風景を提案した。
丘の上に薄い屋根がふわっと浮いて、人がいる場所に影をつくるような建物をつくった。
外周部はすべて透明なアクリルで囲う事で、内部での生活が外部の環境に近づくよう計画した。アクリルは、 ペアガラスよりも高い断熱性能を持っており、半地下に埋まった 温度が変わらない基礎の温度をそのまま家の内に残す。内部は透明度の高いエキスパンドメタルで緩やかに囲うことで、 ものをかけたり、もたれたりできるようにし 、透明性を保ちながら綺麗にものが置かれていくきっかけになるのではないかと考えた。人工的で直線的なものではなく、なるべく自然に近い、やわらかいもので覆うだけで領域を囲うような建物となった。
どうしても出てきてしまう、生活の雑多な部分は基礎部分に段差をつくり、その部分を埋め、収納をつくる事で解決した。基礎部分手摺の必要がないよう、最大で1000mmとし、中に入ると外には空だけが見えるような位置とする事でプライバシーを確保するとともに、キッチン等はその天板が外の地面と続いていって、例えば鹿がつくっているものを覗き込んでしまうような風景が出来ていく。
アクリルの開口部の高さと同程度に庇を出す事で、内部の温熱環境を過ごしやすくしながら、外部では日よけになり、過ごす時のきっかけともなる。内部環境だけでなく外部環境も一体となり、風景の中に生活が溶け込む建物となった 。
今までは窓は窓、壁は壁として別々のものをつなぎ合わせる様に作られてきたが、テクノロジーが進化し、窓であり壁であり柱でもあるという在り方も可能になってきている。建築は、もっと自由になれる。
■建築概要
建物名称/ 広島の小屋
所在地/ 広島県
主体構造・構法 鉄骨造
基礎 鉄筋コンクリート
階数 地上階 1
敷地面積 490.0 m2
建築面積 100.0 m2
延床面積 81.0m2
竣工 2014年10月