SHARE 竹口健太郎+山本麻子 / アルファヴィルによる和歌山の「高野山ゲストハウスKokuu」
all photos©Toshiyuki Yano
竹口健太郎+山本麻子 / アルファヴィル一級建築士事務所による和歌山の「高野山ゲストハウスKokuu」です。
1200年前、真言宗の聖地として開かれた和歌山県高野山。世界遺産であり観光客が多いにもかかわらず宿坊寺院しか宿泊施設がなく、高野山出身のクライアントは、国内外を問わず若い人が気軽に泊まれるゲストハウスを新設したいと思った。寝るスペースまで他者と共用のドミトリー形式に対し、男女で階をわけるなどしてプライバシーを確保するカプセルホテル。ここでは極小の各部屋ではプライバシーが保たれているが、部屋が直接共用の中廊下に面し、この廊下がそのままラウンジになっていく、新しい宿泊スタイルのゲストハウスをデザインすることを提案した。
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以下、建築家によるテキストです。
1200年前、真言宗の聖地として開かれた和歌山県高野山。世界遺産であり観光客が多いにもかかわらず宿坊寺院しか宿泊施設がなく、高野山出身のクライアントは、国内外を問わず若い人が気軽に泊まれるゲストハウスを新設したいと思った。寝るスペースまで他者と共用のドミトリー形式に対し、男女で階をわけるなどしてプライバシーを確保するカプセルホテル。ここでは極小の各部屋ではプライバシーが保たれているが、部屋が直接共用の中廊下に面し、この廊下がそのままラウンジになっていく、新しい宿泊スタイルのゲストハウスをデザインすることを提案した。
マットレス1枚分のドミトリースペースから20数人が集まるラウンジ・バースペースまで、小さなスケールから次第に大きくなる場所は、単純な木造架構を連続させることで実現された。家型に組んだ2×4材を455ミリピッチで並べ、外側を断熱材と小波板でくるんだだけの建物である。間仕切り以外は2×4材をそのままあらわし、構造・壁下地そして仕上げといった階層をなくした。幅6mの建物を貫く、ハイサイドライトに照らされた廊下は、柱のピッチを必要に応じて狭めたり広げたりすることで、プライベートな場であるドミトリーと、食事やくつろぎの場であるラウンジ・バーをゆるやかにつないでいる。在来工法よりも薄い柱の柔らかさが、ラウンジとバーを区切られながらも一体の場所として感じさせることを可能にする。1本当たりの柱の負担荷重が少ないこと、また配管・配線を集中させ露出させているのも、メンテナンスの容易さだけでなく、今後の状況変化に応じて、積極的に建物を改変していくことを前提としたためである。目に見える木の構造、設備そしてシンプルな空間構成によって、ゲストハウス運営者だけでなく、老若男女さまざまな宿泊客が、建物に近しさを感じるような、ブラックボックスでない、開かれつつも長く使われる建築について考えた。
■建築概要
設計 建築 竹口健太郎 + 山本麻子 / アルファヴィル一級建築士事務所
構造 萬田隆構造設計事務所
敷地面積 137.26m2
建築面積 96.00m2
延床面積 96.00m2
階数 地上1階
構造 木造 (204, 206材のみ使用)
工期 2012年5月〜2012年10月
主要用途 簡易宿所
規模─────────────────
敷地面積 137.26m2
建築面積 96.00m2
延床面積 96.00m2
1階 96.00m2
建蔽率 69.94%(許容:70%)
容積率 69.94%(許容:200%)
階数 地上1階
敷地条件─────────────────
地域地区 用途地域指定なし 高野町景観計画区域(高野山地区) 法22条区域
道路幅員 南6.5m
構造─────────────────
主体構造 木造 (204, 206材のみ使用)
杭・基礎 ベタ基礎
利用案内─────────────────
名称 高野山ゲストハウスKokuu
開館時間 8:00〜22:00
休館日 特になし
宿泊料 一人一泊3,500~円
問合せ tel. 0736-26-7216
HP http://koyasanguesthouse.com
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〒648-0211
和歌山県伊都郡高野町高野山49番地の43
TEL:0736-26-7216