SHARE 山本浩三建築設計事務所による、東京・渋谷区の住宅「ST-HOUSE」
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山本浩三建築設計事務所が設計した、東京・渋谷区の住宅「ST-HOUSE」です。
敷地周辺は2階~3階建ての住宅が建ち並び、都内の一般的な建築密度の環境であった。この周辺環境の中で、建主の要望は「敷地を最大限生かし、閉じつつも明るい空間」という都市生活者の普遍的なものであった。この普遍的な要望には、できるだけ、特別ではない普通の工法や操作、普通の素材で回答できるように計画を進めた。
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以下、建築家によるテキストです。
ST-HOUSE
幹線道路から少し離れた住宅地に建つ、敷地面積40㎡ほどの小さな3階建ての住宅である。敷地周辺は2階~3階建ての住宅が建ち並び、都内の一般的な建築密度の環境であった。この周辺環境の中で、建主の要望は「敷地を最大限生かし、閉じつつも明るい空間」という都市生活者の普遍的なものであった。この普遍的な要望には、できるだけ、特別ではない普通の工法や操作、普通の素材で回答できるように計画を進めた。コストや、必要な居室により、地下、半地下の計画はせず、地上にシンプルに積層された木造の3階建てとし、最大の建物のアウトラインは高度斜線により自然と決まっていった。この限られたボリュームの高さを最大限感じられるように、リビングは階段の吹抜空間と繋がる一階に配置した。次に敷地を最低限の出入り口を除き、ブロック塀で取り囲んだ。このブロック塀は、一般的に流通している普通ブロックのため、控え壁の無いブロック塀の高さは1.6mまでとなっている。次に、一階の壁を、鉄骨などの補強はせず、木造軸組の躯体(筋交い等)を現わし、ブロック塀の高さを上限とした開口を連続して設けた。内部から決定したこの開口の高さは1.2mほどではあるが、2.3mの天井高さに対してはスケール感を曖昧にさせる効果があった。エクステリアとしてのブロック塀は、インテリアとしての機能をも合わせ持つことになり、視覚的にも内部、外部が曖昧な空間なった。結果、密集地にも関わらず、一階にもほどよい自然光が得られ、敷地を幅、奥行きに対しても最大限に生かした計画となった。
■建築概要
所在地:東京 渋谷区
主要用途:専用住宅
竣工:2013年
延床面積:62.14㎡
建築面積:24.08㎡
構造:木造軸組工法 地上3階建て
写真:平井広行