SHARE 小泉一斉+千葉万由子 / Smart Runningによる、埼玉県深谷市の住宅「グロット」
写真提供:Smart Running一級建築士事務所
小泉一斉+千葉万由子 / Smart Running一級建築士事務所が設計した、埼玉県深谷市の住宅「グロット」です。
この住宅は「人工的につくられた小さな洞窟」、そのようなたたずまいを有しており、ここから住宅名称をグロット(Grotto)とした。
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以下、建築家によるテキストです。
-グロット(Grotto)-(2014-2016)
敷地は、埼玉県深谷市の今も村落共同体が成立する地域に位置する。施主の実家敷地の南側の畑を農地転用して、新築の一戸建てが計画された。
地域コミュニティが強く機能する場所において、施主夫婦は今後地域住民との関係を密にして生活の基盤をつくることになる。同時に夫婦のプライベートな生活領域を住宅内部で強く維持することが要望されたため、この住宅は、外部に対して閉じている。
内部においては、チューブが中庭からリビングを見通し、そこから立体的に2階の書斎、予備室、主寝室へと流動的につながっていく。床面積は、30坪と大きくないものの、天井の高さを室ごとにコントロールしながら隣室と関係を結び、気積の大きさが建築の奥行きを確保する。
開口については周到に計画を行なっている。1階から中庭を、書斎から空を、主寝室から周辺地域を見渡すように眺望をコントロールした。採光の点からは、直射日光よりも一日の光の移ろいと安定した柔らかい光を届けることを意図した。こうした設計上の意図は、建築の内部性、その身体的包摂を強化している。
3階建てのようなスキップしたフロア構成や離れのような和室、階段途中にある予備室、空間に剥き出しで投げ出されたかのような書斎というように、各室には施主の遊び心が反映されている。それは、居場所の多様性を内部ヴォリュームにコンパクトに折りたたんで存在するものである。
この住宅は「人工的につくられた小さな洞窟」、そのようなたたずまいを有しており、ここから住宅名称をグロット(Grotto)とした。
グロットは英語、語源はイタリア語のグロッタである。祈りの場であり、グロテスクの語源となった同語では意味が歪曲されてしまうため、人工的な小洞窟という語意のみを採用している。
■建築概要
所在地:埼玉県深谷市
主要用途:専用住宅
家族構成:夫婦
設計:小泉一斉 千葉万由子/Smart Running一級建築士事務所
担当:小泉一斉 千葉万由子
構造:
桑子建築設計事務所
担当:桑子亮
施工:
小沢工業株式会社
担当/岡田純一 深谷亜由美
構造・工法:
主体構造:木造軸組工法
基礎:鉄筋コンクリート造ベタ基礎
規模:
地上2階:
軒高6,650mm 最高の高さ7,200mm
敷地面積:326.99 m2
建築面積:67.56 m2
延床面積:103.79 m2
建坪率:22.66%< 60.00%(指定建坪率)
容積率:31.74%<200.00%(指定容積率)