SHARE ヒラモトデザインスタジオ / 平本英行による、埼玉の住宅『「けん・ぱ」の家 <分節と結合>』
all photos©藤井浩司 / ナカサアンドパートナーズ
ヒラモトデザインスタジオ / 平本英行が設計した、埼玉の住宅『「けん・ぱ」の家 <分節と結合>』です。
これまで別々の家で生活をしてきた家族/親族が、新たに1つ屋根の下に暮らすことになった。今回のプロジェクトでは、別々の生活に慣れきった個々人が、適度な距離感を維持しながらも友好的な関係性を築くことができる空間を模索した。
また、バリアフリーの観点から段差のない平屋とすることになった。平屋の中心部まで採光と通風を確保することを考えた。
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以下、建築家によるテキストです。
<与条件/課題>
これまで別々の家で生活をしてきた家族/親族が、新たに1つ屋根の下に暮らすことになった。今回のプロジェクトでは、別々の生活に慣れきった個々人が、適度な距離感を維持しながらも友好的な関係性を築くことができる空間を模索した。
また、バリアフリーの観点から段差のない平屋とすることになった。平屋の中心部まで採光と通風を確保することを考えた。
<建築的解法>
各必要居室を個別の建屋として分節し、それらを1+2+1+2+1の「けん・ぱ」レイアウトで並べた。これにより、以下の解決をすることができた。
1.各建屋にそれぞれ異なるボリュームを与え、これらをずらしながら結合することで、1つながりの空間の中に「くびれ:切り替え」と「たまり:性格の異なる空間」を生み出した。家の中を回遊した際に心地よい変化(リズム)を感じられるのとともに、各個々人が他の同居者との間合いを測りながら好みの「たまり」を選んでくつろぐことができる。
2.「ぱ」の部分ではその間に中庭を設け、平屋の中心部へ採光と通気をもたらしている。
3.「ぱ」に相当する2つの居室は、その両側の「けん」と「けん」をつなぐ2つの経路としても機能する。そのため、本来これらの部屋を互いに邪魔しない様に行き来するために必要であったはずの廊下を無くすことが出来た。床面積を効率的に使えるだけでなく、居室同士が直に結合することで互いの気配を共有することが出来る。このことは、同居者同士の間合いを測るために必要である。
これら分節された建屋群の屋根は一見バラバラに見えるが、実は1つの基準線(X)に従っている。この家の居住者構成にふさわしい1つ屋根(X roof)の下での生活をイメージした。
■建築概要
「けん・ぱ」の家 <分節と結合>
建物規模:新築木造平屋|155m2
所在地:埼玉県さいたま市
居住者構成:夫婦(70代)+娘(40代)+息子の孫
設計:ヒラモトデザインスタジオ|平本英行
施工:株式會社小林
写真撮影:株式会社ナカサ・アンド・パートナーズ|藤井浩司
竣工日:2016年2月竣工
■設計者プロフィール
1972年神奈川県生まれ。1998年早稲田大学大学院理工学研究科修士課程修了(古谷誠章研究室)。早稲田大学非常勤講師(2006年?2009年)。
古谷誠章研究室にてCarlo Scarpa研究の後、Carlo Scarpaの協同設計者だったGuido Pietropoliの設計事務所(イタリア)で設計業務に従事、帰国後、鹿島建設株式会社の建築設計本部に勤務。
2003年にヒラモトデザインスタジオ設立。建築設計を主軸に、インテリア・プロダクト・
グラフィックデザインまでボーダレスなデザイン業務を行う。また、メーカー・小売業など数社からクリエイティブディレクション業務を受託し、ブランディング構想の段階から参入することで、包括的にデザインを行っている。