SHARE 長坂常 / スキーマ建築計画による、東京・世田谷の「ブルーボトルコーヒー三軒茶屋カフェ」
長坂常 / スキーマ建築計画が設計した、東京・世田谷の「ブルーボトルコーヒー三軒茶屋カフェ」です。
店舗の場所はこちら。
三軒茶屋駅から3分のところ、商店街沿いに比較的大きな二つのビルがある。その間の細い道を抜けると、その突き当たりに築50年になる低層の建物が建つ。その前に立って見上げると空に向かってぽっかりと視界が広がり、空いている贅沢さを感じる。本建物オーナーの祖父が住居兼診療所として利用し、晩年絵を描き芸術を勤しんだ場所だった。場所柄占有面積を増やし十分にテナントビルやアパートに建て替えることもできるものの、ご遺族の方のお爺様に対する想いからただ単に事業性を上げることを目的にするのではなく、この地域に親しまれた祖父の建物をあえて残し、そこに新しいアクティビティを生み出し再び愛される場所に育て地域に還元してゆきたいという意志で、4月に竣工した2階の住宅部と1階のギャラリーに続きテナントを入れることを考えた。そのオーナーの意志にBLUE BOTTLE COFFEEが賛同し、BLUE BOTTLE COFFEE JAPANとして7店舗目となる三軒茶屋店が竣工した。
以下の写真はクリックで拡大します
以下、建築家によるテキストです。
三軒茶屋駅から3分のところ、商店街沿いに比較的大きな二つのビルがある。その間の細い道を抜けると、その突き当たりに築50年になる低層の建物が建つ。その前に立って見上げると空に向かってぽっかりと視界が広がり、空いている贅沢さを感じる。本建物オーナーの祖父が住居兼診療所として利用し、晩年絵を描き芸術を勤しんだ場所だった。場所柄占有面積を増やし十分にテナントビルやアパートに建て替えることもできるものの、ご遺族の方のお爺様に対する想いからただ単に事業性を上げることを目的にするのではなく、この地域に親しまれた祖父の建物をあえて残し、そこに新しいアクティビティを生み出し再び愛される場所に育て地域に還元してゆきたいという意志で、4月に竣工した2階の住宅部と1階のギャラリーに続きテナントを入れることを考えた。そのオーナーの意志にBLUE BOTTLE COFFEEが賛同し、BLUE BOTTLE COFFEE JAPANとして7店舗目となる三軒茶屋店が竣工した。
この長い袋小路は雑多な商店街から奥の近隣の静かな住宅地まで伸びており、その最後にこの都心部では贅沢と言える庭が広がる。我々はその奥行きをこの店舗で体験できるよう設計した。袋小路に入って突き当たりにあるレジからドリップバーを経過しぐるっとまわり客席を介し外に出ると、さっきまでの喧騒を忘れさせるほどの和やかな庭が広がり、さらに建物に沿って回ると隣のオーナーが運営するギャラリーの入り口に至る。そして、その動線を導くように床をPC板で構成し、内外を繋げ商店街との関係を築いた。
また、しつらえとしてはベニヤではなく杉板で組まれた型枠で打たれた元々の躯体の荒々しいコンクリートを見て、ブルーボトルのJames Freemanが、昔演奏したことがある”esprit rude/ esprit doux”(粗い息遣いと滑らかな息遣い)を思い出し、そのインスピレーションからこの空間は生まれた。
■建築概要
題名:ブルーボトルコーヒー三軒茶屋カフェ
設計:長坂常/スキーマ建築計画
担当:松下有為、仲野康則
所在地:東京都世田谷区三軒茶屋1丁目33番18号
主用途:カフェ
施工:株式会社TANK
協力:
SOUP DESIGN(グラフィック)
ホシザキ電機株式会社(厨房計画)
WHITELIGHT.Ltd(音響計画)
株式会社1LUX(照明計画)
床面積:99.52㎡
構造:RC造
引渡日:2017年10月
OPEN:2017年10月
写真:長谷川健太