坂牛卓+O.F.D.A.が設計した、山梨・富士吉田市のギャラリー「Fujihimuro(gallery)」です。
旧富士製氷コンバージョンの隣にあった製氷工場で作った氷を貯蔵していた氷室をコンヴァートしてギャラリーとした。ここでは地元で制作される織物の新作を展示したりアーティストインレジデンスで滞在するアーティストが自由に使えるように計画されている。氷室の内部はコンクリート躯体の内側に20センチほどのスタイロフォーム、その内側に6ミリのベニヤそして杉板のスノコが貼られていた。スタイロの断熱材はギャラリーコンバートしても必要である。加えてスノコも内装の化粧としてそのまま使えるだろうと判断してスノコが取れてなくなっている部分を補修した。氷室は5つに壁で分割され、そのうち4つは小さなドアで繋がっていた。そこでこの4つのつながりの動線を視覚化しようと考えた。
以下の写真はクリックで拡大します
以下、建築家によるテキストです。
氷室ギャラリー
旧富士製氷コンバージョンの隣にあった製氷工場で作った氷を貯蔵していた氷室をコンヴァートしてギャラリーとした。ここでは地元で制作される織物の新作を展示したりアーティストインレジデンスで滞在するアーティストが自由に使えるように計画されている。氷室の内部はコンクリート躯体の内側に20センチほどのスタイロフォーム、その内側に6ミリのベニヤそして杉板のスノコが貼られていた。スタイロの断熱材はギャラリーコンバートしても必要である。加えてスノコも内装の化粧としてそのまま使えるだろうと判断してスノコが取れてなくなっている部分を補修した。氷室は5つに壁で分割され、そのうち4つは小さなドアで繋がっていた。そこでこの4つのつながりの動線を視覚化しようと考えた。ここ数年考えている流れと淀みの建築化である。そこでヒトデのような(4本足の)平面を断面的にはカテナリー曲線で結びその形状をFRPで作成することにした。こうした造形を制作する会社を探すことができず見よう見まねで自分たちで作ることにした。ベニヤとスタイロフォームで型を作りその上に剥離剤を塗ってからグラスファイバーシートを載せてその上にプラスチックの樹脂を塗っていった。約3ヶ月かけて制作した。このFRPトンネルは人の動きの視覚化であると同時にこの光がうっすらと透過するこの空間を通ると水の中を潜り抜けたような気分を味わえる。これは富士山の伏流水の中を歩くという幻想的な体験を演出したものでもある。
(坂牛卓)
■建築概要
作品タイトル Fujihimuro(gallery)
設計:坂牛卓+O.F.D.A.
施工:(株)滝口建築+O.F.D.A.
住所:山梨県富士吉田市
主要用途:ギャラリー
設計−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
設計者:坂牛卓+O.F.D.A.
担当:坂牛卓 甲津多聞
構造:長坂健太郎
形状解析:高木秀太
写真:緋田昌重