SHARE 建築設計事務所SAI工房 / 斉藤智士による、京都の住宅「wall pillar」
建築設計事務所SAI工房 / 斉藤智士が設計した、京都の住宅「wall pillar」です。
京都市内の中でも特に景観規制が厳しい地域での住宅プロジェクトです。外壁や屋根、ボリューム、色彩まで厳しく規制されており、さらには建蔽率が30%という条件であった為、シンプルな伝統的な構成で自由な空間を獲得し、敷地全体を有効活用出来るかを考えました。また京都市で引き継がれてきた形態や文化を再考し、現代のライフスタイルに適応した住空間を計画するということを主題としました。
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以下、建築家によるテキストです。
京都市内の中でも特に景観規制が厳しい地域での住宅プロジェクトです。外壁や屋根、ボリューム、色彩まで厳しく規制されており、さらには建蔽率が30%という条件であった為、シンプルな伝統的な構成で自由な空間を獲得し、敷地全体を有効活用出来るかを考えました。また京都市で引き継がれてきた形態や文化を再考し、現代のライフスタイルに適応した住空間を計画するということを主題としました。
具体的には、伝統的な意匠形態である切妻屋根を採用し、屋根の接合点は造作金物を用いることで、棟木を無くし、壁柱をリズミカルに配置することでスラストを抑え開放的な空間を作り出しています。また壁柱によって作り出された緩やかな空間の仕切りは、道路面より徐々にプライバシー性を持たせるように設け、快適な住空間を確保すると共に、地域環境を遮断するのではなく、緩やかに繋がる計画としています。玄関空間を住まいと連続する形で配置しつつ、道路面に開放的に設えることで、住まい手と地域社会が繋がりやすいように配慮しています。また、道路面へと繋がる軸線と直行した壁柱が作り出す軸線は、広く確保した庭空間との親密性を上げ、建ぺい率によって限られた室内を外部へと連続させることで、開放的な空間を作り出しています。
形態として伝統的な様式を取りつつも、町屋の格子が道路と住まいの関係を作り出していたように、壁柱と大きな軒下空間を設けることで、街と住まいの現代的な関係を作り出しました。街並み保存と同じように大切にされてきた京都の文化、コミュニティを多様化された現代のライフスタイルの中で包容できる建築として、生かしてくれることを期待しています。
■建築概要
作品名:wall pillar
所在地:京都市
主要用途:戸建住宅
構造:木造
敷地面積:183.73㎡
建築面積:55.07㎡
延べ床面積:93.16㎡
設計期間:2016年11月〜2017年4月
施工期間:2017年5月〜2018年2月
設計:建築設計事務所SAI工房 斉藤 智士
構造:有限会社ワークショップ 安江 一平
造園:植物事務所COCA-Z 古鍛治 達也
施工:株式会社JED