加藤吉宏アトリエによる、愛知・名古屋市のヘアサロン「WESTORY」
photo©ナカサ&パートナーズ

加藤吉宏アトリエによる、愛知・名古屋市のヘアサロン「WESTORY」

加藤吉宏アトリエによる、愛知・名古屋市のヘアサロン「WESTORY」 photo©ナカサ&パートナーズ
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加藤吉宏アトリエが設計した、愛知・名古屋市のヘアサロン「WESTORY」です。

ヘアーサロン「WESTORY」は、名古屋市中心部から車で30分ほどに位置する守山区の郊外に計画された。この敷地は、もともと畑であった土地を前面道路の高さまで盛り土とし、造成された敷地は外周を法面の緑地帯とした。駐車場は砕石敷とすることで、より自然感のあるヘアーサロンとした。敷地面積496.82㎡に木造平屋建の134.99㎡の建築を計画した。

建築家によるテキストより

自然光の多く入るヘアーサロンは、遮光を全てブラインドに頼れば内部空間としてのデザイン性を表面化することが薄くなり閉鎖的になってしまうが、この建物の屋根は一枚の片流れの屋根とし、部分的に南側のグランドラインまで延びている。斜めに切り取られた屋根からの延長である壁が直接的な内部空間への遮光となり、断片的に内部の様子を伺えるファサードとした。敷地の両側は駐車場となり、その中央部のコンクリートの歩道が壁の隙間から建物へとアプローチされる。エントランスは、覆われた壁と屋根の開口部から光が差し込み、陰影が建物の形を浮き上がらせるのである。

建築家によるテキストより

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加藤吉宏アトリエによる、愛知・名古屋市のヘアサロン「WESTORY」 photo©ナカサ&パートナーズ
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加藤吉宏アトリエによる、愛知・名古屋市のヘアサロン「WESTORY」 image©加藤吉宏アトリエ

以下、建築家によるテキストです。


計画地
ヘアーサロン「WESTORY」は、名古屋市中心部から車で30分ほどに位置する守山区の郊外に計画された。この敷地は、もともと畑であった土地を前面道路の高さまで盛り土とし、造成された敷地は外周を法面の緑地帯とした。駐車場は砕石敷とすることで、より自然感のあるヘアーサロンとした。敷地面積496.82㎡に木造平屋建の134.99㎡の建築を計画した。

ファサード
自然光の多く入るヘアーサロンは、遮光を全てブラインドに頼れば内部空間としてのデザイン性を表面化することが薄くなり閉鎖的になってしまうが、この建物の屋根は一枚の片流れの屋根とし、部分的に南側のグランドラインまで延びている。斜めに切り取られた屋根からの延長である壁が直接的な内部空間への遮光となり、断片的に内部の様子を伺えるファサードとした。敷地の両側は駐車場となり、その中央部のコンクリートの歩道が壁の隙間から建物へとアプローチされる。エントランスは、覆われた壁と屋根の開口部から光が差し込み、陰影が建物の形を浮き上がらせるのである。

平面計画・デザイン
エントランスであるウェイティングの空間は、受付カウンターと販売する商品のディスプレイも兼ねている。カットブースは6面で自立した鏡で構成され、3台が直角に配置されている。自立鏡は鏡の両側にフェース用のライティングが施されている。バックヤードを区画する造作家具に面し3台のシャンプーチェアを配置した。カットブースとの境界はなく、シャンプーの可動式ディスプレイ家具により緩やかに仕切られている。シャンプーチェアの通路の目隠しには、ソファーなどのクッションに入れるウレタンフォームを造作ビニールケースに入れ、上下をステンレスワイヤーにより引張り、パーティションとした。カットブースの中央に1.65m×2.73mの小さな中庭を設けることにより、ワンルームの空間の動線を区画することができた。この中庭の緑は、自立鏡に映し込まれ外部との緑化との繋がりを生み出し、柔らかな自然光が空間に差し込まれる。外部へと開かれながらも、心地よく見え隠れできる屋根延長の壁は、内部空間と同様に木の表しとし一体となるデザインとした。

造作家具デザイン
建築、内部空間、造作家具のデザイン要素の一体化を図った。素材は、壁材や屋根下地材と同様に木の下地材を仕上げとし使用した。また、ディテールにおいても極めて素朴な扱いをすることで、機能をより表面化させ形態を純粋に表現する手法とした。ディスプレイ棚を含め、受付カウンター、可動式ディスプレイ家具や掃除具入れなどを合板による素材でデザインをした。壁にデザインした本棚は、本の木受け材を壁に付け転び止めをゴム菅により両側で引張り、本のディスプレイとした。これらの素材の持つ力を最大限に機能として置き換えデザインすることで、空間への力強さへの役割を果たしている。

■建築概要

設計:加藤吉宏アトリエ 加藤 吉宏
撮影:ナカサ&パートナーズ
竣工年:2019年4月
所在地:愛知県名古屋市守山区瀬古東3-1150
用途:美容院
構造規模:木造 平屋建て
敷地面積:496.82㎡
建築面積:134.99㎡
床面積:110.11㎡

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●テーマ「働きものの住宅」 ●審査員 建築家 中村 好文

学生時代から憧れていたシェーカー教徒の「家具」と「建築」を実際にこの目で見、この手で触れるために、アメリカ東部に点在するシェーカー村々を初めて訪れたのは1989年の初夏でした。

以来、繰り返しシェーカー村を巡る旅を繰り返すことになったのですが、最初の訪問のとき、村の中に点在しているいくつかの建物が、そこに暮らす人たちの日々の生活に役立つ有用な道具として機能するように考えられていることに気付き、そのことに大きく心を動かされました。奇妙な表現に聞こえるかもしれませんが、ぼくの目にはそうした建物のひとつひとつが甲斐甲斐しく立ち働く「働きもの」に見えた‥‥と言ったら、そのニュアンスが伝わるかもしれません。

そして、そのことに気付くと同時に、建築雑誌などに華々しく取り上げられる建築家の設計した建物、とりわけ住宅作品に「働きもの」を感じることがないことに思い至りました。

残念ながら建築家の手がける住宅作品の多くは、必ずしもそこに住まう人の日々の暮らしに役立っているようには思えません。そうした「住宅作品」は新奇性や独創性を誇示することや、話題性を獲得することには役立っていますし、なによりも建築家自身が自己満足することに大いに役立ってはいますが、そのことに腐心するあまり、日々の暮らしの細部への目配りや思い遣りはないがしろにされがちのように見受けられるのです。

そうしたことに思いを馳せつつ、今回のテーマを「働きものの住宅」としたいと思います。

このテーマについて少し補足しておきます。

今回のテーマは「働きものの住宅」ですが、「働きものの建築」という言葉からぼくがまっ先に連想するのは「水車小屋」です。小川の水で水車でまわし、内部で精米したり、製粉したりする水車小屋は文字どおり健気な「働きものの建築」そのものだと思うのです。そして、その水車小屋からさらにぼくが連想するのは、水道管を流れる水流で発電する極小の発電機です。この発電機は公共トイレの男性用の小便器に取り付けられていて、使用後に少量の水を流すための電力をまかなっています。言ってみれば先端技術を駆使した水車小屋といったところでしょうか。

ローテクとハイテクの水車小屋の例は、出題者であるぼくからのヒントです。太陽光や、風や、雨などの自然の恵みを、有効かつ巧みに利用できる住宅も「働きものの住宅」と呼べると思います。その利用方法がローテクであっても、ハイテクであってもかまいません。肝心なのは「働きものの住宅」の前に「市井の生活者のための」という言葉を付けることを忘れないことです。

日々の暮らしの機微を愛し、建築的な創意工夫をこよなく愛するぼくが、思わず共感と称賛の拍手を贈りたくなる作品に巡り会えることを期待しています。

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建築家によるテキストより

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