SHARE 石川素樹建築設計事務所による、東京・中野区の住宅「中央の家」
石川素樹建築設計事務所が設計した、東京・中野区の住宅「中央の家」です。
建具やサッシの高さを合わせ、その高さを基準に素材を切り替え、空間同士に小壁や下がり壁での開口部をつくり、「通る」や「くぐる」あるいは「外を望む」などのふるまいが自然に起こるようにしている。空間が隣り合えば単純につながるということではない。天井高やボリュームの異なる空間同士が自立しながらもつながるようにコントロールしている。
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以下、建築家によるテキストです。
「中央の家」は高基礎の上のような安定感がある1 階に食べたり集う場と水回りを、2 階には個々に過ごすことができる寝る場や屋根裏スペースという構成とし、上階に行くにつれてプライベート性を濃くしている。平面上では、階段と玄関や水回りを近い位置関係にして、くつろぐ場との間に中庭を設け、距離をとっている。その中庭部には、1 階は食べる場、2 階には子どもゾーンと親ゾーンの間にピアノや読書ができる場といった、それぞれの家族スペースを緩衝帯として、性質に合わせて配置した各場所とつないでいる。そうした縦軸と横軸を織り交ぜることで、距離感の濃淡を調整している。
建具やサッシの高さを合わせ、その高さを基準に素材を切り替え、空間同士に小壁や下がり壁での開口部をつくり、「通る」や「くぐる」あるいは「外を望む」などのふるまいが自然に起こるようにしている。空間が隣り合えば単純につながるということではない。天井高やボリュームの異なる空間同士が自立しながらもつながるようにコントロールしている。
(建築家著書「ELEMENTS 5つの建築 5つの断章」本文より)
■建築概要
設計:石川素樹建築設計事務所 石川素樹
構造:mono 森永信行
造園:zoen 蓑田真哉
家具:RILNO 田中智也
主要用途:専用住宅
所在地:東京都中野区
構造・構法:鉄筋コンクリート造、木造
規模:地上2階 地下1階
竣工: 2018年11月
敷地面積:99.17㎡
建築面積:59.31㎡
延床面積:181.00㎡
写真:西川公朗
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ELEMENTS 5つの建築 5つの断章
建築を設計する際に考えるべき大事なことを
5つの建築の断片を通して、凝縮し、問いかける。一般の人にとっては、建築が作られる過程で設計者が何を考えているかを知ることができる本であり、学生や設計者にとっては、建築が時間を経てもなお色褪せずに建ち続けることができる方法を考え続けるための本である。
「iF DESIGN AWARD 2019」にて、最優秀のiF Gold Award受賞。
A’Design Award & Competition Gold Award、
DFA Design for Asia Awards Bronze Award、
日本建築学会作品選集新人賞、日本建築士会連合会賞など、受賞多数。国内外から注目を集める若手建築家の、書き下ろし初著書。
【目次】
1対話/ 中央の家
2観察/ 南荻窪の家
3全体/ 望月商店
4過程/ 桜丘町のビル
5細部/ 西参道テラス