SHARE 大野力 / sinatoによる、東京・杉並区の住宅「Naritahigashi S」
大野力 / sinatoが設計した、東京・杉並区の住宅「Naritahigashi S」です。
東京都内に建つ建築面積25平米、延床面積71平米の小さな3階建木造住宅。前面道路は交通量の多いバス通りとなっており、敷地の目の前にはバス停がある。また周囲には背の高いマンションが迫り、隣地マンション敷地内のアプローチ空間が唯一の余白だ。このような状況の中で、周囲(特に前面道路)からのプライバシーを保つべく窓は最小限にし、それでも外光や風が住宅全体に行き届くよう、床をズラしながら積層させて、小さな吹き抜けや隙間を沢山設けている。
以下の写真はクリックで拡大します
以下、建築家によるテキストです。
東京都内に建つ建築面積25平米、延床面積71平米の小さな3階建木造住宅。前面道路は交通量の多いバス通りとなっており、敷地の目の前にはバス停がある。また周囲には背の高いマンションが迫り、隣地マンション敷地内のアプローチ空間が唯一の余白だ。このような状況の中で、周囲(特に前面道路)からのプライバシーを保つべく窓は最小限にし、それでも外光や風が住宅全体に行き届くよう、床をズラしながら積層させて、小さな吹き抜けや隙間を沢山設けている。この住宅は、それらの小さな吹き抜けや隙間で繋がる複雑で立体的なワンルーム空間なのだ。またそれぞれの床は非常に小さく、建築というよりは家具的なスケールなので、この中にいると大きなベッドやべンチの上で過ごしているような気分になる。そしてその家具的な床の上での振る舞いは、常に周囲と繋がっている。例えば2Fの床に座ると、道路側のちょうど目線の高さにある水平連窓からバスの往来が見え(バスを待つ人々とは目を合わさずに)、寝転んで反対側を見ると隣地マンションの緑が目の前に広がり、玄関の方を向くと下駄箱の天板がテーブルとなり、上部の小さな吹き抜けからはリビングでの家族の笑い声が聞こえる。それらは、周囲の環境や風景、また建築自体の存在をとても身近に感じられる体験であり、この住宅での生活に強い愛着をつくるものだと思う。
(大野力 / sinato)
■建築概要
竣工:2017.09
所在地:東京都杉並区
用途:住宅
工事種別:新築
敷地面積:39.85m²
建築面積:25.76m²
延床面積:71.68m²
構造 / 規模:木造(一部RC造) / 地上2階地下1階
敷地条件:近隣商業地域 / 準防火地域 / 第二種高度地区 / 杉並区みどりの条例
施主:個人
構造設計:寺戸巽海
照明設計:FDS
施工:栄建
家具製作:AREA
植栽施工:ユニバーサル園芸社
撮影:矢野紀行