トラフのウェブサイトに、東京・品川の、集合住宅を改修した韓国大手IT企業のための社員専用施設「BASECAMP TOKYO」の写真が26枚掲載されています。
目黒駅からほど近い敷地に建つ、延べ約3,000m2の5階建てを、1階をシェアスペース、2~5階を宿泊室とし、韓国大手IT企業のための社員専用施設に改修した。
東京への一日当たり約50名の出張者による利用が見込まれるため、これに応じる個室数を持つ、分譲販売予定であった竣工後すぐの新築マンションを買い取りコンバージョンする計画である。出張先でも従業員が効率的に能力を発揮できるよう、また昨今の働き方の多様化を踏まえて,高い生産性を維持できるオフィス環境に、自宅のような快適さを備えたコリビング(co-living)型施設が求められた。
館名サインを大きく施したウェルカムウォールに沿って車路から入ると、フェンスに養生シートで描かれたパターンが奥の受付へと来訪者を誘う。1階ロビーから中へ入ると、受付やコワーキングスペースのほか、食堂やラウンジなどとしても活用される大空間が広がる。ここには本来,単身者用住戸が並んでいたが、戸境の耐力壁を解体、一部移設増強し、基礎梁をピット内で補強することで大きな気積を取り、住戸スケールを感じさせる解体痕や、掃き出し窓の開口などを残した大型ワンルームに変更した。受付上部は床を解体して吹き抜けに、床材と手すりが一体化したデッキ材家具を設えたラウンジが広がる。前庭には果樹園が広がり、フェンスの基礎を利用したベンチでくつろげる.上階には宿泊室のほか,HIVEと呼ばれるチーム単位でのミーティングや集中作業に特化した部屋とフィットネスを併設.各室へアクセスする外廊下では、上下階を繋ぐように塗装された各室の扉周りのカラーリングが外観のアクセントとなる。宿泊室は共通して天井を解体し、水回りはそのままに、家具、床材、カーテンなどの組み合わせで個性を持たせた。5タイプある宿泊室のうち標準タイプは、ベッド周りを小上がりにしてデスクと一体化した家具を中心に構成している。
既存車路のメインエントランスへの変更や、段差スラブに合わせた床仕上げの切り替えなど、建物を即物的に捉え直して、既存のものと新しいものの境界を維持しながら、各所個別に応答していくような計画とした。