SHARE 木下昌大 / KINO architectsによる、京都の既存京町家を改修した宿泊施設「京町家旅館 すみ蛍」の写真
木下昌大 / KINO architectsのウェブサイトに、京都の既存京町家を改修した宿泊施設「京町家旅館 すみ蛍」の写真が20枚掲載されています。施設のページはこちら。
2軒長屋の京町家を改修した2棟の旅館。敷地は丹波口駅と西本願寺の間に位置し、観光地や繁華街へのアクセスが良く、外国人観光客の利用が想定されます。そこで、観光客が抱く昔ながらの京町家のイメージを反映するとともに、未だ知らない日本らしい美しさを体感することができる京町家の旅館をめざしました。 谷崎潤一郎著『陰翳礼讃』に「美は物体にあるのではなく、物体と物体との作り出す陰翳のあや、明暗にあると考える」という一節があります。まだ電灯がなかった時代、薄暗い空間に差し込む僅かな光によって、金や銀の輝きが増幅し、暗闇の中に光が形を成して浮かびあがったというものです。この陰翳の美に着想を得て、通り庭を立体的に拡張し光を採り入れながら、素材や艶の異なる黒色で仕上げ、光に反射する多様な陰翳を作り出しました。観光客が期待する京町家らしさと、未体験の日本古来の美が陰翳礼讃のなかに共存する宿です。