SHARE 齋藤隆太郎 / DOG+井手駿 / 日建ハウジングシステムによる、神奈川・中郡の住宅「8.5ハウス」
齋藤隆太郎 / DOG+井手駿 / 日建ハウジングシステムが設計した、神奈川・中郡の住宅「8.5ハウス」です。
このプロジェクトは、広重が歩き描いた東海道沿いに建つ、画家と妻、幼児と夫の母が3世代で暮らす狭小アトリエ付き住宅(87.23㎡)の計画である。自身の作品を飾る大きな展示壁を、敷地対角線に最大長確保して街に発信するという考えから設計が始まり、その展示壁で居住エリアとアトリエを分けることとした。そして大磯(8番目の宿場)と小田原(9番目の宿場)の間に位置する二宮町にアトリエを開き、施主自ら東海道五十三次の隙間を紡いでもらうことがテーマとなっている。アトリエはただ絵を飾るための場所ではなく、ショップや寄合所として使ったり、時に製作・生活シーンを曝け出し、8.5ハウスを現代的かつ社会実験的に街に開く。
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以下、建築家によるテキストです。
住宅を社会実験的な「アート」と捉えてみる
ここでいうアートとは、いわゆる観賞を目的としたARTではなく、施主の描く絵画を指すものでもない。ここでは空間や生活における非必然性の豊かさ「redundancy(冗長性)」を指し、限られた空間の中にそうした豊かさを散りばめた家が8.5ハウスである。
このプロジェクトは、広重が歩き描いた東海道沿いに建つ、画家と妻、幼児と夫の母が3世代で暮らす狭小アトリエ付き住宅(87.23㎡)の計画である。自身の作品を飾る大きな展示壁を、敷地対角線に最大長確保して街に発信するという考えから設計が始まり、その展示壁で居住エリアとアトリエを分けることとした。そして大磯(8番目の宿場)と小田原(9番目の宿場)の間に位置する二宮町にアトリエを開き、施主自ら東海道五十三次の隙間を紡いでもらうことがテーマとなっている。アトリエはただ絵を飾るための場所ではなく、ショップや寄合所として使ったり、時に製作・生活シーンを曝け出し、8.5ハウスを現代的かつ社会実験的に街に開く。またオマージュの意も込めて、敷地北側の東海道に日が差すよう壁を兼ねた傾斜屋根とすることで、彫塑的な建築形態が現れつつも、街への圧迫感を軽減している。そして急勾配の傾斜屋根と平面対角線の展示壁が掛け合わされることで、立体図形的に「広い・狭い」「高い・低い」のたすき掛け空間が生まれる。日常生活の中にあえてスケール錯誤を発生させて身体性を揺さぶることで、画家にとっては想起の家となり、家族にとっては味わい深く住みこなす家となる。
■建築概要
建物名称:8.5ハウス
設計:齋藤隆太郎/DOG+井手駿/日建ハウジングシステム
構造:金田泰裕/yasuhirokaneda STRUCTURE
主要用途:専用住宅
所在:神奈川県中郡
敷地面積:123.31㎡
建築面積:55.95㎡
延床面積:87.23㎡
施工:新進建設
設計期間:2017年11月~2019年2月
施工期間:2019年3月~2019年10月
主体構造:木造
写真:高栄智史