SHARE 針谷將史建築設計事務所による、渋谷パルコ内の、アンリアレイジの店舗「ANREALAGE SHIBUYA PARCO」
針谷將史建築設計事務所が設計した、渋谷パルコ内の、ファッションブランド・アンリアレイジの店舗「ANREALAGE SHIBUYA PARCO」です。針谷は、隈研吾建築都市設計事務所出身の建築家。
内と外の境界線。
アンリアレイジのショップの中につくられたのはパルコの廊下。
どこまでがアンリアレイジで、どこからがパルコか。
二つの世界の境界を越える。ANREALAGEというファッションブランドの店舗を設計した。パルコの中に新しくつくったこのショップには、道とお店の境界がない。正確に言うと、来訪者が認識できない。
境界だと思っていたものが実は境界ではなく、いつの間にか境界をまたぎ、知らぬ間に私的領域に足を踏み入れている、そんな店舗をつくってみたいと思った。であれば制度上のリースラインを消し、ニセモノの境界をこちらでこしらえてしまえばいい。そもそも境界って絶対的な、揺ぎ無いものなのだろうか。そんな問いかけをするために、少し手の込んだ仕掛けを施した。
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以下、建築家によるテキストです。
内と外の境界線。
アンリアレイジのショップの中につくられたのはパルコの廊下。
どこまでがアンリアレイジで、どこからがパルコか。
二つの世界の境界を越える。
ANREALAGEというファッションブランドの店舗を設計した。パルコの中に新しくつくったこのショップには、道とお店の境界がない。正確に言うと、来訪者が認識できない。
境界だと思っていたものが実は境界ではなく、いつの間にか境界をまたぎ、知らぬ間に私的領域に足を踏み入れている、そんな店舗をつくってみたいと思った。であれば制度上のリースラインを消し、ニセモノの境界をこちらでこしらえてしまえばいい。そもそも境界って絶対的な、揺ぎ無いものなのだろうか。そんな問いかけをするために、少し手の込んだ仕掛けを施した。
まずは与えられた小さな区画を斜めに分割し、その半分には壁や造り付けの什器は設置せず、床の仕上げを共用廊下と完全に合わせる。その時点で店舗の半分は共用廊下に見えるのだけど、加えて、中央に配置した巨大なハンガーラックを回転させて、仮想のボーダーラインを越境させることにした。2つの世界の境界線は認識的にも、実質的な運用上も限りなく曖昧なものになり、所有者不在の広場のような中間領域が発生する。ノーマンズランドが出来てしまったらもうこっちのもの。実際のところ境界とは、制度や枠組みによってではなく、自分たちの頭のなかで作りだしているものにすぎない。
■建築概要
名称:ANREALAGE SHIBUYA PARCO
所在地:渋谷パルコ内
用途:ショップ
竣工:2019年10月
延床面積:32.23㎡
設計監理:針谷將史建築設計事務所
コラボレーション:森永邦彦
構造協力:三原悠子
グラフィック:NODESIGIN
施工:ダブルボックス
撮影:西川公朗