SHARE 中村拓志 & NAP建築設計事務所の設計監修で、村野藤吾が1959年に完成させたウェスティン都ホテル京都の「佳水園」を改修し、2020年7月にオープン
中村拓志 & NAP建築設計事務所の設計監修で、村野藤吾が1959年に完成させたウェスティン都ホテル京都の「佳水園」を改修し、2020年7月17日にオープンするとの事です。予約受付は既に開始しています。
中村拓志による、佳水園リニューアルについてのコメント
佳水園は幾重もの庇による浮遊感が印象的な、日本の近代建築を代表する傑作です。
今回のリニューアルでは、村野氏の空間や庭の美しさを引き立てるような、控えめで慎ましい設計が相応しいと考えました。そこで伝統的な数寄屋の手法でありながらも現代生活との親和性をはかり、最新の建築技術や素材を積極的に導入した「村野数寄」の精神を踏襲しました。
床座に不慣れなお客さまでも寛いでもらえる和のローソファやベッド、スチール棒で編んだ繊細な下地窓、そして三次元和紙によって小さくモダンにリモデルした村野ブラケット照明や七宝編みのナイトランプなど、「村野数寄」の繊細な空間に現代技巧が調和した、未来につながる現代数寄を目指しました。
佳水園について
「佳水園」は、日本モダニズム建築の開拓者の一人に挙げられる村野藤吾氏の設計により1959年(昭和34年)に建設された数寄屋風別館です。(1960年1月営業開始)
自然の地形を生かした高低変化に富む棟配置となっており、数寄屋風別館として多くのお客さまに親しまれてきました。近年では、海外のお客さまにもご好評いただいています。
白砂敷きの中庭は、豊臣秀吉自らが設計したと言われる国の特別名勝である醍醐寺三宝院(京都市伏見区)の庭を模して造られたものです。平安神宮神苑などの造園で知られる七代目 小川治兵衛氏の長男・白楊氏が手がけ、自然の岩盤を利用した滝の流れを生かし、盃に酒を注ぐ様に見立てた意匠が特徴となっています。
*小川白楊氏の作庭部分は1994年京都市文化財(名勝)に登録
以下の写真はクリックで拡大します
リニューアルの特徴
村野藤吾氏の設計による外観やパブリックスペースを承継しつつ、客室はこれまでの2室を1室にするなどし、平均客室面積を約40㎡から約70㎡へと拡大しました。
また、ベッドルームを設け、リビングルームと分けることで、居住性の向上を図りました。
さらに、敷地内にて深度約1,200mの掘削を実施し湧出した天然温泉を各客室のお風呂に引き込み、客室にて天然温泉が楽しめるぜいたくなくつろぎの空間をご提供します。
ロビーには、ゆったりとしたソファで、コーヒーや紅茶などとご一緒に村野氏や京都の文化に関連する書籍をお楽しみいただける、宿泊のお客さま専用の「ライブラリー」を新設しました。
設計監修は地域性や歴史性を尊重した創造性の高い設計が特徴の建築家 中村拓志氏(NAP建築設計事務所代表)が担当しました。
村野藤吾氏について
佐賀県生まれ。早稲田大学理工学部卒。日本建築家協会長などを歴任。
文化勲章、日本芸術院賞、日本建築学会賞などを受賞。
作品は広島世界平和記念聖堂、千代田生命ビル(現・目黒区役所)、宇部市民館(現・渡辺翁記念会館)、常陸宮邸、都ホテル他多数。昭和44年から5年にわたり行われた、東京赤坂の迎賓館(旧東宮御所)改修にあたっては監修を任されている。
広島平和記念資料館、東京都庁舎等の設計で知られる建築家・丹下健三と並び評される近代建築の巨匠の一人である。「村野藤吾賞」は現在、建築界で最も権威がある賞のひとつとされている。
当社グループホテルでは、志摩観光ホテル ザ クラシック、シェラトン都ホテル東京、シェラトン都ホテル大阪など、数々のホテルの建設を手がけている。
こちらは中村本人がツイートした内容です。
佳水園のリニューアル、いよいよ完成です。村野先生の近代数寄屋の名作ですが、内部は耐震性の問題、水回りや部屋が狭く老朽化していたことから、2室を1室の改修となり、我々に声がかかりました。外観はオリジナルを完全に維持、内部も極力控えめに品良く改修。村野ライブラリーも新たに生まれます。 pic.twitter.com/bgvXHpnyUs
— Hiroshi Nakamura&NAP (@naparchitects) May 19, 2020