SHARE KUU / 佐伯聡子+タンK.M.による、中国浙江省の宿泊施設「千島湖ホテル」
KUU / 佐伯聡子+タンK.M.が設計した、中国浙江省の宿泊施設「千島湖ホテル」です。
このホテルは中国浙江省にある千島湖という湖沿いに建っている。この湖は約60年前の大規模なダム工事で生まれた人工湖で、その湖底には複数の小さな村が沈んでいる。かつて山の頂上であったり起伏のある尾根線だった所は、今は無数の島(千の島)や湖岸の形となって現れており、それらが作る特徴ある景観によってこの湖は広く知られている。60年という歳月は人工湖の持つイメージをゆっくりとではあるが、より自然へ近いものに移行させつつある気がする。そんな独特な自然の中でのこのホテルのあり方を考えた。
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以下、建築家によるテキストです。
このホテルは中国浙江省にある千島湖という湖沿いに建っている。この湖は約60年前の大規模なダム工事で生まれた人工湖で、その湖底には複数の小さな村が沈んでいる。かつて山の頂上であったり起伏のある尾根線だった所は、今は無数の島(千の島)や湖岸の形となって現れており、それらが作る特徴ある景観によってこの湖は広く知られている。60年という歳月は人工湖の持つイメージをゆっくりとではあるが、より自然へ近いものに移行させつつある気がする。そんな独特な自然の中でのこのホテルのあり方を考えた。
99ある客室を4-6室ごとに1クラスターとし、それらのクラスターをリング状に配置する。外気にさらされた中廊下が中庭をとり囲みながらそれらのクラスターを大きく繋ぐ。中庭には 松、銀杏、梅の樹が植えられる。ややグラフィカルで人工的に整えられた中庭と対照的に、リングの外側=各部屋からの眺めはもともと湖脇にあった野草や柳等のシェイプレスな植栽で覆われる。
中庭を囲むリング状の中廊下を歩く時、クラスターとクラスターの間にできた隙間=テラスからも千島湖を垣間見ることができる。中庭には3つのパビリオンがあり、カフェ、ショップ、ギャラリーとしての機能を持つ。
このホテルはリング以外に、その外へ突き出るように2つの半島のような部分を持つ。1つはレストランで湖へ開かれ、一番の眺望が確保されている。もう1つは反対側へとはみ出しながらむしろ内側へ開き大浴場としての機能を持つ。外部の湖沿いに作られたインフィニティープールは湖への延長である。個々の部分が機能に合わせて土地へと馴染むようにそこに存在する。
ホテルの敷地の半分は湖側へと伸びる島々からなっている。そこへは新たに吊り橋が掛けられ、ホテルの客はより湖へと近づくことができる。これらの島には魚釣りや、農業体験、水遊びができる場を用意してある。それらはこのホテルができる前からここで行われてきたアクティビティーでもある。ほぼ元の自然のままに残された島からは、この地独特の赤い土壌に立つ同色のホテル全体を眺めることができる。
ここでは建築とランドスケープだけでなく、インテリア、家具、照明、サイン計画等の設計に関わっているが、それら全体でこのホテルという固有の環境を作り出している。人工湖である千島湖の時間と環境の重なり合いの中で、我々の作ったものも年月を経ながら孤立せず連続的にあり続けることを望んでいる。
■建築概要
作品名:千島湖ホテル
設計:KUU/佐伯聡子+タンK.M.
施工:浙江坤鴻建設有限公司
所在地:中国浙江省杭州市
敷地面積:16,004.99m2
建築面積:4,319.74m2
延床面積:11,021.03m2
階数:地下1階 地上3階
構造:鉄筋コンクリート造
工期:2016年6月~2018年5月
種別 | 使用箇所 | 商品名(メーカー名) |
---|---|---|
外装・壁 | 外壁 | 高耐久性吹付塗料(dulux) |
内装・壁 | 室内壁 | |
内装・床 | ロビー床 | カラーモルタル+大理石(磨き仕上げ)+ カーペット |
内装・床 | 廊下床・レストラン床・大浴場床等 | カラーモルタル+玉砂利(洗い出し仕上げ) |
内装・床 | 客室床 | フローリング古材+大理石(磨き仕上げ) |
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