棚橋玄+棚橋杏奈 / 棚橋建築設計事務所が設計した、長野市の「長野の家」です。部屋の性格に沿って建物を3つの矩形に整理し、“小山の連なりのように”ずらすことで、山裾の敷地環境に建築を馴染ませることが意図されました。
夫婦と高齢の母のためのすまいで、元々同じ敷地内にあった住宅の建て替えである。
敷地は長野市街から北東側に外れた山裾に位置し、辺りはゆるやかな南下がりの傾斜が続いている。北側には小高い山を仰ぎ、南側は大きく見通しが開け、遠方には長野盆地を抱く山々の稜線が広がってる。
眼前に広がる遠望の山と近くにそびえる山。これらに囲まれる安心を拠り所にして、一帯の持つ穏やかな空気を受け止めながら、伸びやかに開きたい。この場所に身を置いたときに、そんな思いが訪れた。
パブリックからプライベートへ、性格の異なる室ごとに三つのまとまりに分け、それぞれを東西に一筋の動線で繋いでいる。立ち姿は小山の連なりのように、三つの矩形をずらしながら変化をつけ、通りや周囲に対して馴染ませるよう高さを抑えつつ、二階建てとなる部分と平屋とのバランスを、内部から求められる気積と合わせて整えた。
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以下、建築家によるテキストです。
敷地は長野市街から北東側に外れた山裾に位置し、辺りはゆるやかな南下がりの傾斜が続いている。北側には小高い山を仰ぎ、南側は大きく見通しが開け、遠方には長野盆地を抱く山々の稜線が広がってる。
眼前に広がる遠望の山と近くにそびえる山。これらに囲まれる安心を拠り所にして、一帯の持つ穏やかな空気を受け止めながら、伸びやかに開きたい。この場所に身を置いたときに、そんな思いが訪れた。
夫婦と高齢の母のためのすまいで、元々同じ敷地内にあった住宅の建て替えである。
パブリックからプライベートへ、性格の異なる室ごとに三つのまとまりに分け、それぞれを東西に一筋の動線で繋いでいる。立ち姿は小山の連なりのように、三つの矩形をずらしながら変化をつけ、通りや周囲に対して馴染ませるよう高さを抑えつつ、二階建てとなる部分と平屋とのバランスを、内部から求められる気積と合わせて整えた。
将来的な息子世帯との同居にも対応出来るように余裕を持たせた室数としながら、夫婦だけの暮らしの際には、一階だけで生活を完結できる構成としている。
暮らしの軸となる中央部は、居間・食堂をひと続きのゆとりのある空間としながら、それぞれに北庭と南の眺望へ開く、異なる居場所の特性を持たせた。書斎や台所も繋がりながら適度に閉じることで、家族の気配を感じつつ、それぞれの在処が生まれるよう計画した。
一円の環境と緩やかに続き合いながら、日々の様々なシーンを受け止める、大らかな支えとなることを目指した。
■建築概要
所在地:長野県長野市
主要用途:専用住宅
敷地面積:401.71m²
建築面積:145.80m²
延床面積:169.02m²
構造:木造
規模:地上1階 一部2階
施工:中村工務店
竣工:2019年4月
写真:竹島兄人