胡実建築設計事務所が設計した、東京の「大屋根の住宅」です。技術向上により住宅屋根の存在が目立たなくなる街並みに対し、その技術を逆手に取り屋根自体がメインとなる空間構成をもった、親と子の二つの世帯を内包する建築となっています。
当該敷地は西東京の閑静な住宅街の一角にあり、広めの区画にゆったりと民家が並び、屋根の連なりによる美しい住宅街を形成していた。
しかし防水や断熱の技術の向上により、深い庇を作らなくとも性能のよい家ができるようになり、建て替えが進むにつれて、屋根の存在が目立たなくなってきている。壁面ばかり強調されるようになり、屋根による陰影が少なくなりつつある。
技術の向上による高い自由度を逆手に取って、屋根による空間構成を試みたのが、今回の住宅である。
屋根自体がメインの空間であり、屋根を変形させることでテラスや屋上を作り、屋根に穴を穿つことでハイサイドライトなどの開口部を作っている。浮遊する、奥行きのある塊状の屋根を作り上げた。
大屋根の下に住む両親世帯と、大屋根に住む子世帯。
一つ屋根の下ながらも、程よく独立した上下の空間を作った。
以下の写真はクリックで拡大します
以下、建築家によるテキストです。
当該敷地は西東京の閑静な住宅街の一角にあり、広めの区画にゆったりと民家が並び、屋根の連なりによる美しい住宅街を形成していた。
しかし防水や断熱の技術の向上により、深い庇を作らなくとも性能のよい家ができるようになり、建て替えが進むにつれて、屋根の存在が目立たなくなってきている。壁面ばかり強調されるようになり、屋根による陰影が少なくなりつつある。
技術の向上による高い自由度を逆手に取って、屋根による空間構成を試みたのが、今回の住宅である。
屋根自体がメインの空間であり、屋根を変形させることでテラスや屋上を作り、屋根に穴を穿つことでハイサイドライトなどの開口部を作っている。浮遊する、奥行きのある塊状の屋根を作り上げた。
大屋根の下に住む両親世帯と、大屋根に住む子世帯。
一つ屋根の下ながらも、程よく独立した上下の空間を作った。
斜め屋根の下部の余剰空間をハイサイドに変えることで、1Fを間接光で明るく照らした。
窓の配置をウッドチップのパターンに追随させることでフラクタルな一体感のある外観を形成した。
■建築概要
大屋根の住宅
所在地:東京都
用途:専用住宅
建築面積:74.98㎡
延床面積:129.43㎡
意匠設計:胡実建築設計事務所 胡実
構造設計:田村愛構造設計工房 田村愛
施工:株式会社内野工務店
竣工年月:2020年7月
写真:田中克昌