SHARE 木下昌大 / KINO architectsによる、福岡の「福岡市平尾霊園合葬式墓所」。死生観等の変化に沿った新たな形態の公共墓地、特定の宗教観を避け故人を偲ぶ場とすべく敷地の山の力を借りる計画を考案、山裾の献花台を取り囲む円弧状壁が追悼の為の非日常をつくる
木下昌大 / KINO architectsが設計した、福岡の「福岡市平尾霊園合葬式墓所」です。死生観等の変化に沿った新たな形態の公共墓地、特定の宗教観を避け故人を偲ぶ場とすべく敷地の山の力を借りる計画を考案、山裾の献花台を取り囲む円弧状壁が追悼の為の非日常をつくります。
少子高齢化や核家族化、死生観の変化により、新たな形態の墓地を求めるニーズが高まり、福岡市が平尾霊園内に整備した合葬式墓所。
2019年に行われた建築設計プロポーザルにおいて、キノアーキテクツが一等に選ばれ、2021年4月から墓所の運用が始まりました。
プロポーザルの初期段階から心がけていたことは、さまざまな立場の人が利用する公共墓所であるため、特定の宗教観を現すデザインを避けるということ。一方で、お墓はきわめてプライベートな場でもあります。誰もが公平に利用できながら、個々の思い入れを抱ける場所。公共性がありながら、プライベートな場所。特定多数のお墓であり、遺された人々の祈りの場所。これら表裏の関係性を解くために、山の力を借りることにしました。
かつて、平尾霊園を造成するために山々が削られました。
今回の合葬式墓所の建設にあたり、その緑を修復するように山裾をのばし、その下に埋蔵室を埋めることを提案しました。故人は山々に抱かれながら眠り、訪れた人々は山裾に設けた献花台に花を手向けます。その献花台を円弧状の休憩所が囲み、故人を偲ぶための非日常の場になります。
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以下、建築家によるテキストです。
少子高齢化や核家族化、死生観の変化により、新たな形態の墓地を求めるニーズが高まり、福岡市が平尾霊園内に整備した合葬式墓所。
2019年に行われた建築設計プロポーザルにおいて、キノアーキテクツが一等に選ばれ、2021年4月から墓所の運用が始まりました。
プロポーザルの初期段階から心がけていたことは、さまざまな立場の人が利用する公共墓所であるため、特定の宗教観を現すデザインを避けるということ。一方で、お墓はきわめてプライベートな場でもあります。誰もが公平に利用できながら、個々の思い入れを抱ける場所。公共性がありながら、プライベートな場所。特定多数のお墓であり、遺された人々の祈りの場所。これら表裏の関係性を解くために、山の力を借りることにしました。
かつて、平尾霊園を造成するために山々が削られました。
今回の合葬式墓所の建設にあたり、その緑を修復するように山裾をのばし、その下に埋蔵室を埋めることを提案しました。
故人は山々に抱かれながら眠り、訪れた人々は山裾に設けた献花台に花を手向けます。その献花台を円弧状の休憩所が囲み、故人を偲ぶための非日常の場になります。円弧状の壁の外側には、地域の住民が日常的に利用する公園広場があり、樹々が生い茂ります。その広場から見えるのは山の緑のみで献花台は映りません。故人は山に抱かれて眠り、残された人は山を前に故人を想い、故人に見守られながら山の広場で過ごすことになります。
自然がつくり出す多様な景色や変化のなかに、各々が個人的なシーンを見出せれば、それが故人とつながる記憶に変わっていくのではないでしょうか。公共の墓所として、特定の宗教をイメージさせることなく、すべての人が故人に思いを馳せる場所ができたと思っています。
(木下昌大・山崎雅嗣/KINO architects)
■建築概要
所在地:福岡県福岡市
用途:合葬式墓所、公園
構造:RC造、S造
敷地面積:7,403㎡
合葬式墓所床面積:336.75㎡
献花所床面積:36.18㎡
休憩所床面積:86.38㎡
管理事務所床面積:101.77㎡
参拝所床面積:398.55㎡
広場通路床面積:359.55㎡
竣工:2021年3月
写真:中村絵
種別 | 使用箇所 | 商品名(メーカー名) |
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外装・屋根 | 屋根1 | |
外装・屋根 | 屋根2 | |
外装・床 | 床1 | |
外装・床 | 床2 | |
外装・壁 | 外壁1 | |
外装・壁 | 外壁2 | |
外装・建具 | 鋼製建具 | |
内装・壁 | 壁1 | |
内装・壁 | 壁2 | |
内装・建具 | 木製建具 | 水性ウレタン塗装(関西ペイント) |
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