建築家が遊具等のデザインを手掛けた「PLAY EARTH PARK」の会場写真です。中村竜治・noiz・大野友資・Sawada Hashimura・山田紗子が、地球を構成する5つのエレメントをテーマに、それぞれ遊具をデザインしています。また、会場に設置されるベンチのデザインを佐藤研吾、インフォメーションセンターのデザインをplatが手掛けています。会場は、東京ミッドタウン芝生広場で、開催期間は、2022年4月23日~5月29日。参加費は無料です。イベントの公式ページはこちら。
東京ミッドタウンの芝生広場で、イベント「PLAY EARTH PARK」が始まる。
主に子ども達を対象にしたもので、そのコンセプトは「未来を担う子どもたちに、地球の持つ不思議なテクノロジーに触れ、自然とのつながりを深める体験の場」。その趣旨を具現化すべく7組の建築家が選ばれた。
会場には、彼らがデザインした遊具、ベンチ、インフォメーションセンターが配置されており、自由に遊ぶことができる。遊具のデザインを手掛けたのは、中村竜治・noiz・大野友資・Sawada Hashimura・山田紗子の5組の建築家で、佐藤研吾が会場内のベンチを、platがインフォメーションセンターを手掛けている。
建築家がデザインした遊具のテーマになっているのは、地球を構成する5つのエレメント「地」・「水」・「火」・「風」・「空」である。これは、本イベントを主催するゴールドウインが掲げる「PLAY EARTH(地球と遊ぶ)」から導かれたもので、プリミティブな遊びをつくりだすという意図も込められている。
各建築家による作品の写真は以下に掲載します。
※写真は全てプレス内覧会時に撮影したもので、映り込んでいる人々もプレス関係者と判断して掲載しています
会場全体の風景
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中村竜治建築設計事務所による「風の遊具」
太陽光による熱と煙突効果というシンプルな原理を使って上昇気流をつくりだし、円錐状の紙を浮かせて遊ぶことができる遊具。中村は、「子供たちには、なぜ風が起きるのか、なぜ壁が黒く塗られているのか、なぜこの大きさなのかを考えながら遊んでほしい」と語る。子供たちが飛ばして遊ぶこの白い円錐は素材や大きさを様々にと試しながら決定したという。
作品概要
聳える12mもの巨大な風の塔。半円の筒の内側は黒く塗られ、光を受けて熱くなることで気圧が下がります。気圧が下がることによる吸い上げ効果で、内部に上昇気流が生まれ、様々なものがその風を受けて空へと舞い上がっていきます。熱と気圧差によるシンプルな原理で生まれる現象=風で遊びましょう。
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noizによる「火の遊具」
動きや共同作業にフォーカスし、みんなで火をくべる行為を遊びの形に落とし込めないかと考えてデザインされた遊具。子供たちがトランポリンの上で飛び跳ねると、センサーが感知して中央に空気が吹き込まれる。共同作業がうまくいけば、ステンレス製の繊細な布でできた炎が光を反射しながら立ち上がる。
作品概要
ポコッと膨らんだ3つのトランポリン。ジャンプすると、そのエネルギー(空気圧)をセンサーが感知して中央に空気が吹き込まれ、炎が燃え盛ります。子どもたちの遊びの力が、火のエネルギーに変換されて現れてきます。ひとりではできなくても、みんなで3つ一緒に飛べば一気に火が付くかもしれません。
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大野友資 / DOMINO ARCHITECTSによる「空の遊具」
与えられたテーマである「空」をソラではなく、カラ・クウと解釈し、何もない状態を楽しむ事ができるようにデザインされた遊具。エアバッグの形状を、自分の手だけで決めるのではなく外的な要因を取り入れたいという思いから、イベントを主催するゴールドウィンが作るの衣類のカットパターンからカーブを抽出して採用している。上に乗るだけではなく、持ち上げたり、投げたり、寝転がって空を見上げたり、シーソーのようにみんなで遊ぶこともできる。
作品概要
空気が詰まった、形も大きさも硬さも様々な透明なビニールたち。透明で空っぽですが、空に浮かぶ雲のようでもあります。座ったり、飛んだり、押したり、間に分け入ったり、遊び方は自由。押して動く空気で、座っている人に力を伝えてビックリさせたり⾶ばしたり。疲れたら寝転がって空を眺めてるのも楽しそう。
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澤田航+橋村雄一 / Sawada Hashimuraによる「水の遊具」
水をテーマに2つの楽器をベースにデザインされた遊具。全体風景も一緒にデザインするように考えられ、サイズとプロポーションにバリエーションをもたせ集合としての形が意識されている。ハンドパンは園部良、スリットドラムはGANKOがそれぞれ監修と調律を担当している。音階は、「水をテーマに子供たちが遊びやすく単純になりすぎないように」という要望を受け音楽家の日野浩志郎が監修している。楽器ごとに音階も少しづつ違うそうだ。ハンドパンは高水圧の水で金属を膨らませた、水の圧力でできた形だという。またスリットドラムは水琴窟を参照し、静かな時には少しづつ水が落ちる音を聴くこともできる。
作品概要
群島のように点在するハンドパンやスリットドラムと呼ばれる打楽器たち。水が張られたハンドパンを叩くと、音の波は波紋となって水に広がります。それぞれ1つから4つの音が割り当てられ、組み合わせることでひとつの音階に。群れになることで音が音楽になり、風景が立ち上がります。
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山田紗子建築設計事務所による「地の遊具」
普段はあまり意識されず硬いものというイメージがある地面に対して、地面は柔らかく動くものと捉え「地の流動性」をテーマにしてデザインされた遊具。マーブル模様のフィルムは、子供たちがよじ登って遊ぶ際に、自分や他の子の像が映る様子から流動性を感じられるように、表面が反射する素材を採用されている。また、ひとつだけ中に入れる場所があるという。地面の中の不思議な感じ、自分の知らないものが眠っている感覚を体験を通して感じてほしいとの事。
作品概要
大地が隆起してできた岩場や崖のように六角形の角錐が並びます。岩場の間を縫うように移動しながら、時に両手両足を使って登ったり、寄っかかってみたり。動きながら眺めていると、マーブル模様の風景が不思議に変化していきます。子どもたちは、隠された秘密の入り口を探してみて。
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佐藤研吾建築設計事務所による「ベンチ」
東京都内・首都圏近郊の伐採樹木を丸太のまま調達し、輪切りにして、玉のように丸く加工し合計150個ほどの大小さまざまな木の玉を芝生広場全体にちりばめたベンチ。制作の過程で出た木くずは、破砕して一か所に集めてリング状のネットに入れる事で、こちらも座ったり乗って歩き回ったりできるベンチとなっている。佐藤は、都市における人の生活と自然の在り方を考えたと語る。また、パークの中に資源を蓄えている状態をつくり、エコサイクルという観点も意識したという。木の塊は、挽けば木の板に、さらに加工すれば木の椅子に、最終的には薪としても使える。ウッドチップも塗装の資材や燃料としても使う事が出来る。
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上林剛典 / platによる「インフォメーションセンター」
「好奇心」をテーマにデザインされたインフォメーションセンター。型枠に液体の状態の蝋を流し込んで成型されている。身近なものである蝋が大きな面で立ち上がった時にわからないものになる。触ってみたい、匂いを嗅いでみたいという好奇心が生まれることを期待したとの事。好奇心により人が集まることで、情報を一方的に与えるのではなく、情報が拡散するようなインフォメーションセンターが目指された。
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(記事内の文章:酒井克弥)
■イベント概要
イベント名:PLAY EARTH PARK(プレイアースパーク)
開催場所:東京ミッドタウン(東京都港区赤坂9-7-1)芝生広場
開催期間:2022年4⽉23日(土)~5⽉29日(日)
主催:株式会社ゴールドウイン
営業時間:11:00~18:00
お問い合わせ:03-3481-7201(お問い合わせ受付時間:9:00〜17:30)
特設サイト:https://playearthpark.goldwin.co.jp/