長坂大 / Megaが設計した、京都市の「庭の家」です。
週末を過ごす為の別邸です。建築家は、地域の庭園に囲まれた邸宅の“密集市街地における現代版”を目指し、内外に石を敷いた“庭の様な”1階と開口を絞った“庭の眺めを楽しむ”2階を考案しました。そして、別世界の様に静かな時間が流れる空間を作る事を意図しました。
これは関東に住む子育てを終えた世代の施主が、京都の史跡を訪れるだけでなく、ゆったりとした週末を過ごすためのセカンドハウスです。
京都には南禅寺界隈の別荘群のような、広々とした庭園に囲まれた邸宅がたくさんありますが、この計画はその密集市街地における現代版をつくる試みです。
この仕事は施主と相談しながら、自然の借景がある敷地を選ぶところから始めることができました。
控えめな佇まいで町に溶け込みながら、門を入ると、奥行きの深い敷地は別世界のように静かな時間が流れるセカンドハウスとして生まれ変わりました。
「庭の家」という名前は、家が「庭のようにつくられていること」と「庭の眺めを楽しむようにつくられていること」の両方を指しています。
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以下、建築家によるテキストです。
市街地の、借景を生かしたセカンドハウス
これは関東に住む子育てを終えた世代の施主が、京都の史跡を訪れるだけでなく、ゆったりとした週末を過ごすためのセカンドハウスです。
京都には南禅寺界隈の別荘群のような、広々とした庭園に囲まれた邸宅がたくさんありますが、この計画はその密集市街地における現代版をつくる試みです。
この仕事は施主と相談しながら、自然の借景がある敷地を選ぶところから始めることができました。
控えめな佇まいで町に溶け込みながら、門を入ると、奥行きの深い敷地は別世界のように静かな時間が流れるセカンドハウスとして生まれ変わりました。
「庭の家」という名前は、家が「庭のようにつくられていること」と「庭の眺めを楽しむようにつくられていること」の両方を指しています。
1階は前者の意味合いが強くなっています。
前庭から玄関ホール、そして奥の庭まで、室内外ともに「町家石」(京都市内の住宅や寺で使われている敷石。家が解体されると回収されて再び別の家で使われる。)の床で仕上げられています。町家石はアプローチの踏石として使われることも多いのですが、ここでは西欧の広場やパティオのように空間全体に敷き詰めるようにしています。その古材が醸し出す歴史感が、庭を豊かなものにしています。
玄関ホール横の浴室もその庭の一部のようにつくられていて、浴槽と腰壁は庭に置かれた景石か何かのように扱われています。中庭の水路は、この界隈の各住戸の敷地を貫通して流れている農業用水路の一部で、鉄板で蓋をされていたものを魅力的な庭園要素として再活用しています。
2階は後者で、「庭」の眺め方が主要テーマである。
2階室内は1階とは対照的に、木造の洞窟のような空間になっています。そこに開口をあけて外界を切り取り、その眺めを楽しもうとしています。南側は、市街地側に開きすぎないように配慮された水平窓から、モミジとマツの織りなす世界を楽しむことができます。
北側の大開口は、背後の山肌と山の稜線に舞う鷹を眺めることができ、この家の敷地条件を最大限に生かしているといえるでしょう。テラスのカウンターに腰かけ、中庭から背後の山へと繋がる風景を眺めるティータイムは、この家の暮らしの至福の時となっています。
■建築概要
題名:庭の家
設計監理:Mega/長坂大、倉岡泰大
構造設計:下山建築設計室/下山聡
造園:片石造園/片石高幸
施工:サクジ工務店
所在地:京都府京都市
主用途:セカンドハウス
階数:地上2階
構造:木造ラーメン構造
敷地面積:256.27㎡
建築面積:76.36㎡
延床面積:132.49㎡
設計期間:2019年8月~2020年8月
工事期間:2020年9月~2021年8月
撮影:杉野圭