清水建設が設計した、茨城・つくば市の「産業技術総合研究所 ゼロエミッション国際共同研究センター」です。
既存建物を国際共同研究の場とする計画です。建築家は、持続可能社会を構築する次世代型改修を目指し、廃棄物削減や省エネ等を考慮した設計を志向しました。また、キャノピーの“有機的な樹状デザイン”で施設の役割を象徴する事も意図されました。
本プロジェクトは、世界の叡智を結集し国際共同研究を実施する場として、2019年「グリーンイノベーション・サミット」において提案された「ゼロエミッション国際共同研究センター(研究センター長:吉野彰博士)」を産業技術総合研究所(以下,産総研)つくば西事業所に整備するものである。つくば西事業所の中央に位置する本館と別棟群(1976〜80年竣工)および本館車寄せ回りの改修・更新が整備対象である。
本館エントランスキャノピーは、産総研の歴史を物語る敷地内の豊饒な樹々をモチーフに得た有機的な樹状デザインとし、研究成果の成長発展や技術融合のシンボルとした。柱と梁がシームレスに連続するフラットバー鋼材の幹と枝はガラス屋根を支え、葉に見立てた発電セルと樹状架構により、光が木漏れ日のように入る明るく開放的なエントランスキャノピーとした。この複雑な形態の実現にあたって、設計から施工まで一貫したデジタル活用により高い建物品質を確保した。
ゼロエミッション志向のリノベーションにおいて、CO2排出と廃棄物削減を図るため、既存躯体と仕上げを活かしながら、老朽化した空間を再生した。また、更新する仕上げ材には木材を積極的に利用し、炭素固定による新たな価値を付加した。設計プロセスでは、複数の検討案を同時にシミュレーション・評価ができる当社開発の検証システムを用い、最適な省エネルギー提案を行った。
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以下、建築家によるテキストです。
脱炭素社会に向けた国家プロジェクト
本プロジェクトは、世界の叡智を結集し国際共同研究を実施する場として、2019年「グリーンイノベーション・サミット」において提案された「ゼロエミッション国際共同研究センター(研究センター長:吉野彰博士)」を産業技術総合研究所(以下,産総研)つくば西事業所に整備するものである。つくば西事業所の中央に位置する本館と別棟群(1976〜80年竣工)および本館車寄せ回りの改修・更新が整備対象である。
産総研は日本の産業や社会に役立つ技術の創出とその実用化をはじめ、国家戦略等に基づきナショナルイノベーションシステムの中核的・先駆的な立場で研究開発を行う、国内最大級の公的研究機関である。
サステナブル・リノベーション
脱炭素社会の実現に向け、エネルギー・環境分野における最先端の研究が行われる産総研のリノベーションにあたりサステナブルな社会の構築への次世代型リノベーションを意図し、「脱炭素社会へ向けたシンボルの構築」「ゼロエミッション志向」「Net Zeroリノベーション」の3つのテーマを設定した。
本館エントランスキャノピーは、産総研の歴史を物語る敷地内の豊饒な樹々をモチーフに得た有機的な樹状デザインとし、研究成果の成長発展や技術融合のシンボルとした。柱と梁がシームレスに連続するフラットバー鋼材の幹と枝はガラス屋根を支え、葉に見立てた発電セルと樹状架構により、光が木漏れ日のように入る明るく開放的なエントランスキャノピーとした。この複雑な形態の実現にあたって、設計から施工まで一貫したデジタル活用により高い建物品質を確保した。
ゼロエミッション志向のリノベーションにおいて、CO2排出と廃棄物削減を図るため、既存躯体と仕上げを活かしながら、老朽化した空間を再生した。また、更新する仕上げ材には木材を積極的に利用し、炭素固定による新たな価値を付加した。設計プロセスでは、複数の検討案を同時にシミュレーション・評価ができる当社開発の検証システムを用い、最適な省エネルギー提案を行った。
別棟西-4A棟において、軒の深い庇を持つ建物特性を活かし、各種省エネ技術と屋上太陽光パネルの創エネにより「ZEB」を達成、Net Zeroリノベーションを実現した。
■建築概要
作品名:産業技術総合研究所 ゼロエミッション国際共同研究センター
英文作品名:AIST GLOBAL ZERO EMISSION RESEARCH CENTER(GZR)
所在地:茨城県つくば市小野川16-1
主要用途:研究所
設計施工:清水建設
構造:鉄骨造/RC造(既存)
敷地面積:262,416.52m2
建築面積:51,951.69m2
延床面積:93,508.43m2
工期:2020年3月〜2021年3月
写真:新建築社写真部