榊原節子建築研究所による、大阪市の、設計者の事務所兼自邸「大開のアトリエ住居」。商店街の建物を改修。街に開かれた仕事と暮らしが連続する建築を目指し、既存スラブの一部を撤去した“空まで抜ける外部空間”を考案。“足し算”と“引き算”で過去と未来が混ざる重層的な場を作る photo©小川重雄
榊原節子建築研究所による、大阪市の、設計者の事務所兼自邸「大開のアトリエ住居」。商店街の建物を改修。街に開かれた仕事と暮らしが連続する建築を目指し、既存スラブの一部を撤去した“空まで抜ける外部空間”を考案。“足し算”と“引き算”で過去と未来が混ざる重層的な場を作る photo©小川重雄
榊原節子建築研究所による、大阪市の、設計者の事務所兼自邸「大開のアトリエ住居」。商店街の建物を改修。街に開かれた仕事と暮らしが連続する建築を目指し、既存スラブの一部を撤去した“空まで抜ける外部空間”を考案。“足し算”と“引き算”で過去と未来が混ざる重層的な場を作る photo©中山保寛
榊原節子建築研究所 が設計した、大阪市の、設計者の事務所兼自邸「大開のアトリエ住居」です。
商店街の建物を改修する計画です。建築家は、街に開かれた仕事と暮らしが連続する建築を目指し、既存スラブの一部を撤去した“空まで抜ける外部空間”を考案しました。また、“足し算”と“引き算”で過去と未来が混ざる重層的な場を作る事も意図されました。
設計者のアトリエと居宅である。
事務所を開いて10年が過ぎた今、仕事と暮らしに境界を設けず、街の空気に身を置きながら、日々多くの人と交わることを望むようになった。そして駅からつづく下町の商店街に面した、築40年余りの鉄骨2階建の建物を改修することに至った。
改修とは、大雑把にいえば既存建物に“足し算”と“引き算”をほどこすことだ。一方で、数式のように一定の解がないのは、建物が辿った時間軸が、改修による一つひとつの行為に異なる変数として作用し、過去と未来が混ざりあう重層的な場がつくられるからではないか。
建物の調査を進め、過去の記憶を探るように内部の設えを取り除いていった。やがて鉄の骨格が現れたとき、新築時を彷彿させる力強さと、余分なものが削ぎ落とされた廃墟のような儚さの両方を感じた。この同一性こそが時間を経た建物がもつ魅了と感じ、元の躯体を覆うことなく現している。1階のアトリエは建設当時のままとし、2階居宅は必要最小限の設備機能を入れ子状に配することで、ひと続きの空間として構築した。
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榊原節子建築研究所による、大阪市の、設計者の事務所兼自邸「大開のアトリエ住居」。商店街の建物を改修。街に開かれた仕事と暮らしが連続する建築を目指し、既存スラブの一部を撤去した“空まで抜ける外部空間”を考案。“足し算”と“引き算”で過去と未来が混ざる重層的な場を作る photo©小川重雄
榊原節子建築研究所による、大阪市の、設計者の事務所兼自邸「大開のアトリエ住居」。商店街の建物を改修。街に開かれた仕事と暮らしが連続する建築を目指し、既存スラブの一部を撤去した“空まで抜ける外部空間”を考案。“足し算”と“引き算”で過去と未来が混ざる重層的な場を作る photo©小川重雄
榊原節子建築研究所による、大阪市の、設計者の事務所兼自邸「大開のアトリエ住居」。商店街の建物を改修。街に開かれた仕事と暮らしが連続する建築を目指し、既存スラブの一部を撤去した“空まで抜ける外部空間”を考案。“足し算”と“引き算”で過去と未来が混ざる重層的な場を作る photo©小川重雄
榊原節子建築研究所による、大阪市の、設計者の事務所兼自邸「大開のアトリエ住居」。商店街の建物を改修。街に開かれた仕事と暮らしが連続する建築を目指し、既存スラブの一部を撤去した“空まで抜ける外部空間”を考案。“足し算”と“引き算”で過去と未来が混ざる重層的な場を作る photo©小川重雄
榊原節子建築研究所による、大阪市の、設計者の事務所兼自邸「大開のアトリエ住居」。商店街の建物を改修。街に開かれた仕事と暮らしが連続する建築を目指し、既存スラブの一部を撤去した“空まで抜ける外部空間”を考案。“足し算”と“引き算”で過去と未来が混ざる重層的な場を作る photo©中山保寛
榊原節子建築研究所による、大阪市の、設計者の事務所兼自邸「大開のアトリエ住居」。商店街の建物を改修。街に開かれた仕事と暮らしが連続する建築を目指し、既存スラブの一部を撤去した“空まで抜ける外部空間”を考案。“足し算”と“引き算”で過去と未来が混ざる重層的な場を作る photo©小川重雄
榊原節子建築研究所による、大阪市の、設計者の事務所兼自邸「大開のアトリエ住居」。商店街の建物を改修。街に開かれた仕事と暮らしが連続する建築を目指し、既存スラブの一部を撤去した“空まで抜ける外部空間”を考案。“足し算”と“引き算”で過去と未来が混ざる重層的な場を作る photo©中山保寛
榊原節子建築研究所による、大阪市の、設計者の事務所兼自邸「大開のアトリエ住居」。商店街の建物を改修。街に開かれた仕事と暮らしが連続する建築を目指し、既存スラブの一部を撤去した“空まで抜ける外部空間”を考案。“足し算”と“引き算”で過去と未来が混ざる重層的な場を作る photo©小川重雄
榊原節子建築研究所による、大阪市の、設計者の事務所兼自邸「大開のアトリエ住居」。商店街の建物を改修。街に開かれた仕事と暮らしが連続する建築を目指し、既存スラブの一部を撤去した“空まで抜ける外部空間”を考案。“足し算”と“引き算”で過去と未来が混ざる重層的な場を作る photo©中山保寛
榊原節子建築研究所による、大阪市の、設計者の事務所兼自邸「大開のアトリエ住居」。商店街の建物を改修。街に開かれた仕事と暮らしが連続する建築を目指し、既存スラブの一部を撤去した“空まで抜ける外部空間”を考案。“足し算”と“引き算”で過去と未来が混ざる重層的な場を作る photo©小川重雄
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榊原節子建築研究所による、大阪市の、設計者の事務所兼自邸「大開のアトリエ住居」。商店街の建物を改修。街に開かれた仕事と暮らしが連続する建築を目指し、既存スラブの一部を撤去した“空まで抜ける外部空間”を考案。“足し算”と“引き算”で過去と未来が混ざる重層的な場を作る photo©小川重雄
榊原節子建築研究所による、大阪市の、設計者の事務所兼自邸「大開のアトリエ住居」。商店街の建物を改修。街に開かれた仕事と暮らしが連続する建築を目指し、既存スラブの一部を撤去した“空まで抜ける外部空間”を考案。“足し算”と“引き算”で過去と未来が混ざる重層的な場を作る photo©小川重雄
榊原節子建築研究所による、大阪市の、設計者の事務所兼自邸「大開のアトリエ住居」。商店街の建物を改修。街に開かれた仕事と暮らしが連続する建築を目指し、既存スラブの一部を撤去した“空まで抜ける外部空間”を考案。“足し算”と“引き算”で過去と未来が混ざる重層的な場を作る photo©小川重雄
榊原節子建築研究所による、大阪市の、設計者の事務所兼自邸「大開のアトリエ住居」。商店街の建物を改修。街に開かれた仕事と暮らしが連続する建築を目指し、既存スラブの一部を撤去した“空まで抜ける外部空間”を考案。“足し算”と“引き算”で過去と未来が混ざる重層的な場を作る photo©小川重雄
榊原節子建築研究所による、大阪市の、設計者の事務所兼自邸「大開のアトリエ住居」。商店街の建物を改修。街に開かれた仕事と暮らしが連続する建築を目指し、既存スラブの一部を撤去した“空まで抜ける外部空間”を考案。“足し算”と“引き算”で過去と未来が混ざる重層的な場を作る photo©小川重雄
榊原節子建築研究所による、大阪市の、設計者の事務所兼自邸「大開のアトリエ住居」。商店街の建物を改修。街に開かれた仕事と暮らしが連続する建築を目指し、既存スラブの一部を撤去した“空まで抜ける外部空間”を考案。“足し算”と“引き算”で過去と未来が混ざる重層的な場を作る photo©中山保寛
榊原節子建築研究所による、大阪市の、設計者の事務所兼自邸「大開のアトリエ住居」。商店街の建物を改修。街に開かれた仕事と暮らしが連続する建築を目指し、既存スラブの一部を撤去した“空まで抜ける外部空間”を考案。“足し算”と“引き算”で過去と未来が混ざる重層的な場を作る photo©中山保寛
榊原節子建築研究所による、大阪市の、設計者の事務所兼自邸「大開のアトリエ住居」。商店街の建物を改修。街に開かれた仕事と暮らしが連続する建築を目指し、既存スラブの一部を撤去した“空まで抜ける外部空間”を考案。“足し算”と“引き算”で過去と未来が混ざる重層的な場を作る photo©中山保寛
榊原節子建築研究所による、大阪市の、設計者の事務所兼自邸「大開のアトリエ住居」。商店街の建物を改修。街に開かれた仕事と暮らしが連続する建築を目指し、既存スラブの一部を撤去した“空まで抜ける外部空間”を考案。“足し算”と“引き算”で過去と未来が混ざる重層的な場を作る photo©小川重雄
榊原節子建築研究所による、大阪市の、設計者の事務所兼自邸「大開のアトリエ住居」。商店街の建物を改修。街に開かれた仕事と暮らしが連続する建築を目指し、既存スラブの一部を撤去した“空まで抜ける外部空間”を考案。“足し算”と“引き算”で過去と未来が混ざる重層的な場を作る photo©小川重雄
榊原節子建築研究所による、大阪市の、設計者の事務所兼自邸「大開のアトリエ住居」。商店街の建物を改修。街に開かれた仕事と暮らしが連続する建築を目指し、既存スラブの一部を撤去した“空まで抜ける外部空間”を考案。“足し算”と“引き算”で過去と未来が混ざる重層的な場を作る image©榊原節子建築研究所
榊原節子建築研究所による、大阪市の、設計者の事務所兼自邸「大開のアトリエ住居」。商店街の建物を改修。街に開かれた仕事と暮らしが連続する建築を目指し、既存スラブの一部を撤去した“空まで抜ける外部空間”を考案。“足し算”と“引き算”で過去と未来が混ざる重層的な場を作る image©榊原節子建築研究所
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榊原節子建築研究所による、大阪市の、設計者の事務所兼自邸「大開のアトリエ住居」。商店街の建物を改修。街に開かれた仕事と暮らしが連続する建築を目指し、既存スラブの一部を撤去した“空まで抜ける外部空間”を考案。“足し算”と“引き算”で過去と未来が混ざる重層的な場を作る image©榊原節子建築研究所
榊原節子建築研究所による、大阪市の、設計者の事務所兼自邸「大開のアトリエ住居」。商店街の建物を改修。街に開かれた仕事と暮らしが連続する建築を目指し、既存スラブの一部を撤去した“空まで抜ける外部空間”を考案。“足し算”と“引き算”で過去と未来が混ざる重層的な場を作る image©榊原節子建築研究所
以下、建築家によるテキストです。
過去と未来が混ざり合う重層性
設計者のアトリエと居宅である。
事務所を開いて10年が過ぎた今、仕事と暮らしに境界を設けず、街の空気に身を置きながら、日々多くの人と交わることを望むようになった。そして駅からつづく下町の商店街に面した、築40年余りの鉄骨2階建の建物を改修することに至った。
改修とは、大雑把にいえば既存建物に“足し算”と“引き算”をほどこすことだ。一方で、数式のように一定の解がないのは、建物が辿った時間軸が、改修による一つひとつの行為に異なる変数として作用し、過去と未来が混ざりあう重層的な場がつくられるからではないか。
建物の調査を進め、過去の記憶を探るように内部の設えを取り除いていった。やがて鉄の骨格が現れたとき、新築時を彷彿させる力強さと、余分なものが削ぎ落とされた廃墟のような儚さの両方を感じた。この同一性こそが時間を経た建物がもつ魅了と感じ、元の躯体を覆うことなく現している。1階のアトリエは建設当時のままとし、2階居宅は必要最小限の設備機能を入れ子状に配することで、ひと続きの空間として構築した。
そのうえで、街に開いた暮らしを求め、内外の連続性を考えた。前面の通りから屋上まで一直線上に結ぶ階段は、既存の2階や屋上スラブを撤去し、空まで抜ける外部空間とした。密集する家並みに現れた「抜け」は、風や光、街の気配を奥まで引き込むと同時に、屋内の様子や階段の昇り降りの動きといった、暮らしの一面を映し出す装置となっている。この吹抜けを挟む長手方向の壁の一つは既存のものだが、下部は視界が抜けるように切り取り、かつての窓は撤去し「穴」として残す“引き算”をした結果、外壁としての機能を失う代わりに、建物の記憶をとどめる役割を得た。
もう一方の壁は、連続する大きな開口部とし、内外をつなぐスクリーンのように“足し算”として新設した。新旧の壁の重なり合いは、隣家との関係性のレイヤーとなり、これまで無意識であった建物間の隙間を顕在化させる役割を担っている。
自らの「器」を構えるにあたり、建物が辿ってきた時間と、これから始まる暮らしとを重ねあわせ、過去と未来が交錯するあり方を大切にした。暮らしはじめて間もないが、日々起こる「今」の連続が、自身や建物、街の記憶として積み重なっていくことを実感している。
■建築概要
題名:大開のアトリエ住居
所在地:大阪府大阪市福島区
主用途:事務所併用住宅
設計・監理:榊原節子建築研究所 担当/榊原節子
構造監修:tmsd萬田隆構造設計事務所 担当/萬田隆
施工:株式会社いなせ建設
構造:鉄骨ラーメン構造
階数:地上2階
敷地面積:64.04㎡
建築面積:51.04㎡
延床面積:85.69㎡
設計期間:2019年9月~2020年4月
施工期間:2020年5月~2020年10月
写真:小川重雄、中山保寛
建材情報 種別 使用箇所 商品名(メーカー名) 外装・屋根 屋根 既存FRP防水の上 シート防水:ロクシート (田島ルーフィング )
外装・屋根 雨よけ ポリカーボネート折板 透明マット色 (タキノンシーアイ )
外装・壁 南面既存外壁 既存タイル壁の上 水性シリコン塗装
外装・壁 既存外壁 ALC壁補修
外装・壁 新設外壁 無塗装サイディングの上 リシン吹付
外装・建具 開口部 ビル用アルミサッシ (LIXIL )
鋼製サッシ
スチールサッシ
住宅用アルミサッシ
※いずれも防火設備仕様
内装・床 1階アトリエ床 モルタル金ゴテ押え 撥水材
内装・床 2階食堂・居間床 複合フローリング t12:ブラックウォールナットフローリング (アイオーシー )
内装・壁 1階アトリエ壁 既存ALCの上 吹付ウレタン断熱材現しの上 EP
内装・壁 2階食堂・居間壁 モイスNT内装材 (アイカ工業 )
内装・天井 1階アトリエ天井 既存ALC 現しのまま
内装・天井 2階食堂・居間天井 ラワン合板t5.5 CL
内装・造作家具 1階アトリエ本棚 棚柱:電気用穴あきアングル40*40
棚板:ラワンランバーt18 CL
内装・造作家具 1階アトリエテーブル 天板:ラワンベニヤt30 CL
脚:現場打ちコンクリート t100
内装・造作家具 キッチン家具 ラワン合板t24加工 CL
天板:SUSPL-1.0張り
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