伊藤維建築設計事務所の会場構成による、大丸京都店での「余白のある暮らし博」です。
コロナ禍以後の“豊かさ”を提案する展示です。建築家は、“低いワンルーム空間”を活かし、様々な高さのテーブルを用いて物に向き合うスケールと全体を一望するスケールを共存させました。また、地域の資材等を転用し想像の広がりを喚起する事も意図されました。(会期は終了しています)
大丸京都店の主催、mui Labのディレクションによる、コロナ禍を経たこれからの暮らしに「余白」をもつ豊かさを、様々なプロダクト・作品・イベントなどを通して提示する展覧会「余白のある暮らし博」のメイン会場構成を行った。
異なる物々を同居させ展示するにあたり、百貨店催事スペースの「低いワンルーム空間」の特徴を活かし、壁を立てて間仕切る代わりに、高さの異なる大きめのテーブルを配列することで、物ひとつひとつに向き合う小さなスケールと、大きな気積を感じつつ全体を一望できる大きなスケールとを共存させることを考えた。
また、北山杉で知られる中川地区の組合から購入・借用した丸太や一枚板などを転用してベンチやスツール、仕切りを設えたり、アパレル縫製企業から出た余剰材を再構成し、アクセントとなるファブリックを各所に配したりするなど、地域で古くから作られているもの、生産流通の傍らで余りとしてい廃棄されるものなどの再解釈・転用によって、展示物とともに、地域や時間的な広がり・想像が重なっていくことを企図している。
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以下、建築家によるテキストです。
大丸京都店の主催、mui Labのディレクションによる、コロナ禍を経たこれからの暮らしに「余白」をもつ豊かさを、様々なプロダクト・作品・イベントなどを通して提示する展覧会「余白のある暮らし博」のメイン会場構成を行った。
異なる物々を同居させ展示するにあたり、百貨店催事スペースの「低いワンルーム空間」の特徴を活かし、壁を立てて間仕切る代わりに、高さの異なる大きめのテーブルを配列することで、物ひとつひとつに向き合う小さなスケールと、大きな気積を感じつつ全体を一望できる大きなスケールとを共存させることを考えた。
非対称の出入り口や避難経路の条件に対し、斜めのグリッドにのせることで動線を構成し、またその中に防汚対策も兼ねたカーペットでいくつかの領域を点在させている。
テーブルの大きさは、装飾大工が持つ木製台の規格寸および天面に使った塩ビシート(裏面)の幅寸法で決定した。
また、北山杉で知られる中川地区の組合から購入・借用した丸太や一枚板などを転用してベンチやスツール、仕切りを設えたり、アパレル縫製企業から出た余剰材を再構成し、アクセントとなるファブリックを各所に配したりするなど、地域で古くから作られているもの、生産流通の傍らで余りとしてい廃棄されるものなどの再解釈・転用によって、展示物とともに、地域や時間的な広がり・想像が重なっていくことを企図している。
■建築概要
題名:余白のある暮らし博
所在地:京都府京都市
主用途:展覧会会場構成
設計:伊藤維建築設計事務所
担当:伊藤維・畑澤里香
グラフィックデザイン:side inc. 大木陽平
主催:大丸京都店
ディレクション:mui Lab 株式会社
協力:北山丸太生産協同組合 / SCANDEX
施工:大丸装飾部・生活工学研究所
階数:地上1階
延床面積:600㎡
設計:2021年12月~2022年2月
工事:2022年3月
会期:「余白のある暮らし博:DAIMARU」2022年3月9日~21日
写真:奥田正治