菅原大輔 / SUGAWARADAISUKE建築事務所が設計した、千葉の「アライプロバンス浦安 外構および休憩所」です。
埋立地の鉄工所を建替えた物流施設での計画です。建築家は、“人間の居場所”の創造を目指し、“土地の物語”と“人の物語”を編み直す設計を志向しました。そして、人々に安らぎを与える複数の庭と“記憶を象徴”する大屋根を持つ建築が作られました。施主企業の公式サイトはこちら。
鉄工所から建て替えられた物流倉庫の、外構と休憩所、バス待合所を計画した。
クライアントが営んでいた鉄工所という「人の物語」と、埋立地という「土地の物語」を編み直しながら、無機質なモノづくりの場所を有機質でヒューマンスケールな「人間の場所」に変換することを目指した。
道路沿いに広がる「道の庭」には、常緑樹を中心に植栽を混植し、無機質な工業団地の中に温かい表情をつくる。工事の残土で構成したバス待合所は、仕上がり面に不ぞろいの砂利や残置物を拾った奥深い陰影が現れ、洞窟のような原始的な空間をつくる。
これと対比的に、空を飛ぶ鏡面の大屋根は植物や街を映し込み、この土地に流れるさまざまな時間と色づきを増幅すると同時に、鉄骨造でしか実現できない構成は、クライアントとの「鉄工所」の記憶を象徴する。更に、これにデッキが取り付くことで多様な居場所群を生成し、施設内外の人々が思いおもいに佇む公園のような場を提供している。
※キャプション内の解説は、SUGAWARADAISUKE建築事務所によるものです
以下の写真はクリックで拡大します
以下、建築家によるテキストです。
無機質なエリアに人間の居場所群をつくる
鉄工所から建て替えられた物流倉庫の、外構と休憩所、バス待合所を計画した。
クライアントが営んでいた鉄工所という「人の物語」と、埋立地という「土地の物語」を編み直しながら、無機質なモノづくりの場所を有機質でヒューマンスケールな「人間の場所」に変換することを目指した。
道路沿いに広がる「道の庭」には、常緑樹を中心に植栽を混植し、無機質な工業団地の中に温かい表情をつくる。工事の残土で構成したバス待合所は、仕上がり面に不ぞろいの砂利や残置物を拾った奥深い陰影が現れ、洞窟のような原始的な空間をつくる。
これと対比的に、空を飛ぶ鏡面の大屋根は植物や街を映し込み、この土地に流れるさまざまな時間と色づきを増幅すると同時に、鉄骨造でしか実現できない構成は、クライアントとの「鉄工所」の記憶を象徴する。更に、これにデッキが取り付くことで多様な居場所群を生成し、施設内外の人々が思いおもいに佇む公園のような場を提供している。
回遊式庭園である「四季の庭」は、季節によって色付きが変化する植栽で構成し、物流施設本館までヒューマンスケールの豊かなシークエンスをつくり出す。
東京湾に面する「海の庭」は、働く人々の憩いの場を提供するだけでなく、かつて東京の表であった水辺に新しい顔を取り戻すことを目指し、海風に強いトロピカルな植物によって特徴的な表情をつくった。
工業用地に求められる広大な緑地を積極的に活用し、海と土地と人間の営みの物語を編み直すことで、無機質な場所に人間の居場所群を生成することができた。これは、人を第一に考える企業姿勢を示した、工業系地区の未来の風景とも言える。
■建築概要
作品タイトル:アライプロバンス浦安 外構および休憩所
住所:千葉県浦安市港69
用途:倉庫
経営者:株式会社アライプロバンス
クリエイティブディレクション:SUGAWARADAISUKE建築事務所 菅原大輔
設計・監理:SUGAWARADAISUKE建築事務所 菅原大輔、藤坂美佳、上田将之
構造設計:テクトニカ 鈴木芳典、鶴田翔
設備設計:西松建設
外構計画:GAヤマザキ 山﨑誠子、岩男宏美
照明計画:灯デザイン 早川亜紀
左官:ぬり貫
本体工事とのデザイン調整:西松建設 清水勇貴、野老菜実、林拓弥
施工:西松建設
電気設備:ZO設計室
照明器具:灯デザイン
工事種別:新築
地域地区:準工業地域
構造と規模:RC造一部S造 平屋建て
敷地面積:1万4878.49㎡
建築面積:35.12㎡(道の庭)
床面積:27.34㎡
工期:2021年7月01日~10月31日
竣工:2021年10月31日
撮影:楠瀬友将