NOIZによる、京都市の宿泊施設「ABiz Hotel」。歴史的風情と現代の賑わいを併せ持つ地域に計画。新旧の性質の共存を求め、伝統建築の要素を抽象化して再構成したファサードを持つ建築を考案。縦格子等に“川面の揺らめき”を思い描いたデジタルパターンも用いる 外観 photo©高木康広
NOIZによる、京都市の宿泊施設「ABiz Hotel」。歴史的風情と現代の賑わいを併せ持つ地域に計画。新旧の性質の共存を求め、伝統建築の要素を抽象化して再構成したファサードを持つ建築を考案。縦格子等に“川面の揺らめき”を思い描いたデジタルパターンも用いる 縦格子の詳細 photo©高木康広
NOIZによる、京都市の宿泊施設「ABiz Hotel」。歴史的風情と現代の賑わいを併せ持つ地域に計画。新旧の性質の共存を求め、伝統建築の要素を抽象化して再構成したファサードを持つ建築を考案。縦格子等に“川面の揺らめき”を思い描いたデジタルパターンも用いる 客室(洋室) photo©高木康広
NOIZによる、京都市の宿泊施設「ABiz Hotel」。歴史的風情と現代の賑わいを併せ持つ地域に計画。新旧の性質の共存を求め、伝統建築の要素を抽象化して再構成したファサードを持つ建築を考案。縦格子等に“川面の揺らめき”を思い描いたデジタルパターンも用いる 地下1階、大浴場 photo©高木康広
NOIZ が設計した、京都市の宿泊施設「ABiz Hotel」です。
歴史的風情と現代の賑わいを併せ持つ地域に計画されました。建築家は、新旧の性質の共存を求め、伝統建築の要素を抽象化して再構成したファサードを持つ建築を考案しました。また、縦格子等に“川面の揺らめき”を思い描いたデジタルパターンも用いられました。施設の公式サイトはこちら 。
敷地は京都市内の高瀬川沿いの木屋町通りに面する。
周辺には先斗町を象徴する歌舞練場や、花街を継承する繁華街として多くの飲食店があり、歴史的風情と現代の賑わい、四季折々の表情を楽しむことができる立地である。
ホテルとしては周辺の観光の足掛かりとしてのいわゆるビジネスホテル的な位置づけであり、最小限の大きさの客室40室に、大浴場などの付帯設備がつくというシンプルなプログラムである。
奥行方向に長い敷地に合わせて立ち上げられたコンクリートの重厚感のあるボリュームは、京都の歴史的景観を意識した平入切妻の大屋根と、各階水平方向に長く伸びるアルミの軒庇によってリズミカルに分節される。ここでは屋根や庇といった伝統日本建築の建築要素を、極限まで薄く抽象化した幾何学形態として再構成しており、それによってつくりだされる深い陰翳によってファサードが印象付けられることを意図した。
高瀬川と鴨川に挟まれた場所性に対応し、階段室の縦格子や廊下の天井ルーバー、客室の障子の組子などに、川面の揺らめきをイメージした揺らぎのある繊細なデジタルパターンをあてている。
建物内部は均等に並べられた客室の界壁がそのままRC壁式構造の壁として立ち上がっており、客室内には一切柱梁型などがなく、要素を切り詰めたデザインと合わせ、実際より空間の広がりを感じられるようになっている。
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NOIZによる、京都市の宿泊施設「ABiz Hotel」。歴史的風情と現代の賑わいを併せ持つ地域に計画。新旧の性質の共存を求め、伝統建築の要素を抽象化して再構成したファサードを持つ建築を考案。縦格子等に“川面の揺らめき”を思い描いたデジタルパターンも用いる 外観 photo©高木康広
NOIZによる、京都市の宿泊施設「ABiz Hotel」。歴史的風情と現代の賑わいを併せ持つ地域に計画。新旧の性質の共存を求め、伝統建築の要素を抽象化して再構成したファサードを持つ建築を考案。縦格子等に“川面の揺らめき”を思い描いたデジタルパターンも用いる 外観 photo©高木康広
NOIZによる、京都市の宿泊施設「ABiz Hotel」。歴史的風情と現代の賑わいを併せ持つ地域に計画。新旧の性質の共存を求め、伝統建築の要素を抽象化して再構成したファサードを持つ建築を考案。縦格子等に“川面の揺らめき”を思い描いたデジタルパターンも用いる 道路塀 photo©高木康広
NOIZによる、京都市の宿泊施設「ABiz Hotel」。歴史的風情と現代の賑わいを併せ持つ地域に計画。新旧の性質の共存を求め、伝統建築の要素を抽象化して再構成したファサードを持つ建築を考案。縦格子等に“川面の揺らめき”を思い描いたデジタルパターンも用いる 道路塀 photo©高木康広
NOIZによる、京都市の宿泊施設「ABiz Hotel」。歴史的風情と現代の賑わいを併せ持つ地域に計画。新旧の性質の共存を求め、伝統建築の要素を抽象化して再構成したファサードを持つ建築を考案。縦格子等に“川面の揺らめき”を思い描いたデジタルパターンも用いる 外観 photo©高木康広
NOIZによる、京都市の宿泊施設「ABiz Hotel」。歴史的風情と現代の賑わいを併せ持つ地域に計画。新旧の性質の共存を求め、伝統建築の要素を抽象化して再構成したファサードを持つ建築を考案。縦格子等に“川面の揺らめき”を思い描いたデジタルパターンも用いる 外観、ファサードを見上げる。 photo©高木康広
NOIZによる、京都市の宿泊施設「ABiz Hotel」。歴史的風情と現代の賑わいを併せ持つ地域に計画。新旧の性質の共存を求め、伝統建築の要素を抽象化して再構成したファサードを持つ建築を考案。縦格子等に“川面の揺らめき”を思い描いたデジタルパターンも用いる 縦格子の詳細 photo©高木康広
NOIZによる、京都市の宿泊施設「ABiz Hotel」。歴史的風情と現代の賑わいを併せ持つ地域に計画。新旧の性質の共存を求め、伝統建築の要素を抽象化して再構成したファサードを持つ建築を考案。縦格子等に“川面の揺らめき”を思い描いたデジタルパターンも用いる 縦格子の詳細 photo©高木康広
NOIZによる、京都市の宿泊施設「ABiz Hotel」。歴史的風情と現代の賑わいを併せ持つ地域に計画。新旧の性質の共存を求め、伝統建築の要素を抽象化して再構成したファサードを持つ建築を考案。縦格子等に“川面の揺らめき”を思い描いたデジタルパターンも用いる 縦格子の詳細 photo©高木康広
NOIZによる、京都市の宿泊施設「ABiz Hotel」。歴史的風情と現代の賑わいを併せ持つ地域に計画。新旧の性質の共存を求め、伝統建築の要素を抽象化して再構成したファサードを持つ建築を考案。縦格子等に“川面の揺らめき”を思い描いたデジタルパターンも用いる 外観、エントランスを見る。 photo©高木康広
NOIZによる、京都市の宿泊施設「ABiz Hotel」。歴史的風情と現代の賑わいを併せ持つ地域に計画。新旧の性質の共存を求め、伝統建築の要素を抽象化して再構成したファサードを持つ建築を考案。縦格子等に“川面の揺らめき”を思い描いたデジタルパターンも用いる 1階、レセプション photo©高木康広
NOIZによる、京都市の宿泊施設「ABiz Hotel」。歴史的風情と現代の賑わいを併せ持つ地域に計画。新旧の性質の共存を求め、伝統建築の要素を抽象化して再構成したファサードを持つ建築を考案。縦格子等に“川面の揺らめき”を思い描いたデジタルパターンも用いる 廊下 photo©高木康広
NOIZによる、京都市の宿泊施設「ABiz Hotel」。歴史的風情と現代の賑わいを併せ持つ地域に計画。新旧の性質の共存を求め、伝統建築の要素を抽象化して再構成したファサードを持つ建築を考案。縦格子等に“川面の揺らめき”を思い描いたデジタルパターンも用いる 廊下の天井 photo©高木康広
NOIZによる、京都市の宿泊施設「ABiz Hotel」。歴史的風情と現代の賑わいを併せ持つ地域に計画。新旧の性質の共存を求め、伝統建築の要素を抽象化して再構成したファサードを持つ建築を考案。縦格子等に“川面の揺らめき”を思い描いたデジタルパターンも用いる 客室(洋室) photo©高木康広
NOIZによる、京都市の宿泊施設「ABiz Hotel」。歴史的風情と現代の賑わいを併せ持つ地域に計画。新旧の性質の共存を求め、伝統建築の要素を抽象化して再構成したファサードを持つ建築を考案。縦格子等に“川面の揺らめき”を思い描いたデジタルパターンも用いる 客室(洋室) photo©高木康広
NOIZによる、京都市の宿泊施設「ABiz Hotel」。歴史的風情と現代の賑わいを併せ持つ地域に計画。新旧の性質の共存を求め、伝統建築の要素を抽象化して再構成したファサードを持つ建築を考案。縦格子等に“川面の揺らめき”を思い描いたデジタルパターンも用いる 客室(洋室) photo©高木康広
NOIZによる、京都市の宿泊施設「ABiz Hotel」。歴史的風情と現代の賑わいを併せ持つ地域に計画。新旧の性質の共存を求め、伝統建築の要素を抽象化して再構成したファサードを持つ建築を考案。縦格子等に“川面の揺らめき”を思い描いたデジタルパターンも用いる 廊下 photo©高木康広
NOIZによる、京都市の宿泊施設「ABiz Hotel」。歴史的風情と現代の賑わいを併せ持つ地域に計画。新旧の性質の共存を求め、伝統建築の要素を抽象化して再構成したファサードを持つ建築を考案。縦格子等に“川面の揺らめき”を思い描いたデジタルパターンも用いる 客室(和室) photo©高木康広
NOIZによる、京都市の宿泊施設「ABiz Hotel」。歴史的風情と現代の賑わいを併せ持つ地域に計画。新旧の性質の共存を求め、伝統建築の要素を抽象化して再構成したファサードを持つ建築を考案。縦格子等に“川面の揺らめき”を思い描いたデジタルパターンも用いる 客室(和室) photo©高木康広
NOIZによる、京都市の宿泊施設「ABiz Hotel」。歴史的風情と現代の賑わいを併せ持つ地域に計画。新旧の性質の共存を求め、伝統建築の要素を抽象化して再構成したファサードを持つ建築を考案。縦格子等に“川面の揺らめき”を思い描いたデジタルパターンも用いる 客室(和室) photo©高木康広
NOIZによる、京都市の宿泊施設「ABiz Hotel」。歴史的風情と現代の賑わいを併せ持つ地域に計画。新旧の性質の共存を求め、伝統建築の要素を抽象化して再構成したファサードを持つ建築を考案。縦格子等に“川面の揺らめき”を思い描いたデジタルパターンも用いる 客室(和室) photo©高木康広
NOIZによる、京都市の宿泊施設「ABiz Hotel」。歴史的風情と現代の賑わいを併せ持つ地域に計画。新旧の性質の共存を求め、伝統建築の要素を抽象化して再構成したファサードを持つ建築を考案。縦格子等に“川面の揺らめき”を思い描いたデジタルパターンも用いる 客室(和室) photo©高木康広
NOIZによる、京都市の宿泊施設「ABiz Hotel」。歴史的風情と現代の賑わいを併せ持つ地域に計画。新旧の性質の共存を求め、伝統建築の要素を抽象化して再構成したファサードを持つ建築を考案。縦格子等に“川面の揺らめき”を思い描いたデジタルパターンも用いる 廊下 photo©高木康広
NOIZによる、京都市の宿泊施設「ABiz Hotel」。歴史的風情と現代の賑わいを併せ持つ地域に計画。新旧の性質の共存を求め、伝統建築の要素を抽象化して再構成したファサードを持つ建築を考案。縦格子等に“川面の揺らめき”を思い描いたデジタルパターンも用いる 地下1階、脱衣所 photo©高木康広
NOIZによる、京都市の宿泊施設「ABiz Hotel」。歴史的風情と現代の賑わいを併せ持つ地域に計画。新旧の性質の共存を求め、伝統建築の要素を抽象化して再構成したファサードを持つ建築を考案。縦格子等に“川面の揺らめき”を思い描いたデジタルパターンも用いる 地下1階、大浴場 photo©高木康広
NOIZによる、京都市の宿泊施設「ABiz Hotel」。歴史的風情と現代の賑わいを併せ持つ地域に計画。新旧の性質の共存を求め、伝統建築の要素を抽象化して再構成したファサードを持つ建築を考案。縦格子等に“川面の揺らめき”を思い描いたデジタルパターンも用いる 地下1階、大浴場 photo©高木康広
NOIZによる、京都市の宿泊施設「ABiz Hotel」。歴史的風情と現代の賑わいを併せ持つ地域に計画。新旧の性質の共存を求め、伝統建築の要素を抽象化して再構成したファサードを持つ建築を考案。縦格子等に“川面の揺らめき”を思い描いたデジタルパターンも用いる 地下1階、大浴場 photo©高木康広
NOIZによる、京都市の宿泊施設「ABiz Hotel」。歴史的風情と現代の賑わいを併せ持つ地域に計画。新旧の性質の共存を求め、伝統建築の要素を抽象化して再構成したファサードを持つ建築を考案。縦格子等に“川面の揺らめき”を思い描いたデジタルパターンも用いる 地下1階、大浴場 photo©高木康広
NOIZによる、京都市の宿泊施設「ABiz Hotel」。歴史的風情と現代の賑わいを併せ持つ地域に計画。新旧の性質の共存を求め、伝統建築の要素を抽象化して再構成したファサードを持つ建築を考案。縦格子等に“川面の揺らめき”を思い描いたデジタルパターンも用いる 外観、夜景 photo©高木康広
NOIZによる、京都市の宿泊施設「ABiz Hotel」。歴史的風情と現代の賑わいを併せ持つ地域に計画。新旧の性質の共存を求め、伝統建築の要素を抽象化して再構成したファサードを持つ建築を考案。縦格子等に“川面の揺らめき”を思い描いたデジタルパターンも用いる 外観、夜景 photo©高木康広
NOIZによる、京都市の宿泊施設「ABiz Hotel」。歴史的風情と現代の賑わいを併せ持つ地域に計画。新旧の性質の共存を求め、伝統建築の要素を抽象化して再構成したファサードを持つ建築を考案。縦格子等に“川面の揺らめき”を思い描いたデジタルパターンも用いる 平面図 image©NOIZ
NOIZによる、京都市の宿泊施設「ABiz Hotel」。歴史的風情と現代の賑わいを併せ持つ地域に計画。新旧の性質の共存を求め、伝統建築の要素を抽象化して再構成したファサードを持つ建築を考案。縦格子等に“川面の揺らめき”を思い描いたデジタルパターンも用いる 断面図、立面図 image©NOIZ
VIDEO
video©酒井康介
以下、建築家によるテキストです。
敷地は京都市内の高瀬川沿いの木屋町通りに面する。
周辺には先斗町を象徴する歌舞練場や、花街を継承する繁華街として多くの飲食店があり、歴史的風情と現代の賑わい、四季折々の表情を楽しむことができる立地である。
ホテルとしては周辺の観光の足掛かりとしてのいわゆるビジネスホテル的な位置づけであり、最小限の大きさの客室40室に、大浴場などの付帯設備がつくというシンプルなプログラムである。
奥行方向に長い敷地に合わせて立ち上げられたコンクリートの重厚感のあるボリュームは、京都の歴史的景観を意識した平入切妻の大屋根と、各階水平方向に長く伸びるアルミの軒庇によってリズミカルに分節される。ここでは屋根や庇といった伝統日本建築の建築要素を、極限まで薄く抽象化した幾何学形態として再構成しており、それによってつくりだされる深い陰翳によってファサードが印象付けられることを意図した。
高瀬川と鴨川に挟まれた場所性に対応し、階段室の縦格子や廊下の天井ルーバー、客室の障子の組子などに、川面の揺らめきをイメージした揺らぎのある繊細なデジタルパターンをあてている。
建物内部は均等に並べられた客室の界壁がそのままRC壁式構造の壁として立ち上がっており、客室内には一切柱梁型などがなく、要素を切り詰めたデザインと合わせ、実際より空間の広がりを感じられるようになっている。
先斗町歌舞練場への路地に沿って立つ道路塀は、アルミ押出材の板材を山型に内外交互に並べ、笠木でつなぐことで構成される。京町屋の足元を守る犬矢来、あるいは伝統的な大和塀を現代的に翻案したものである。
歴史性と現代性、重さと軽さ、洞窟性と開放性といった相反する性質を不可分な一つの建築の中にあわせもつことで、過去、現在、未来へと続く時間軸の中で、価値や意味が変転しても耐えうるような持続可能性をもち、なおかつ旅の非日常感を最大化されるようなホテルにしたいと考えた。
■建築概要
建物名称:ABiz Hotel
所在地:京都府京都市中京区材木町178-4
主要用途:ホテル
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設計
建築・監理:NOIZ(豊田啓介、蔡佳萱、酒井康介) 担当/酒井康介、瀬谷敦※、丸山浩央※(※元所員)
構造:満田衛資構造計画研究所 担当/満田衛資、江畑和弘
設備:ZO設計室 担当/伊藤教子、高本美和
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施工
建築:SRTコーポレーション 担当/西野佑亮
衛生:田中設備 担当/田中透
空調・電気:ミナミ電気設備 担当/南晋一
鋼製建具:ダイセン工業 担当/山本尚彦
金属:改技研 担当/西山幸一
内装:ANDas 担当/佐々木親章
造作家具:COLORFUL 担当/八木一哉
昇降機:たけびし 担当/竹内智久
主体構造:RC壁式構造
基礎:直接基礎
地域地区:商業地域 準防火区域
階数:地下1階地上5階
最高高:17,840mm
軒高:14,810mm
天井高:2,550mm
道路幅員:東側9.0m
敷地面積:202.09㎡
建築面積:157.40㎡
延床面積:835.18㎡
建蔽率:77.89%(許容80.00%)
容積率:394.97%(許容400.00%)
設計期間:2017年6月~2019年3月
工事期間:2019年8月~2023年3月
写真:高木康広
動画:酒井康介