SHARE 山本稜 / Spicy Architectsによる、東京の「LIGHT UP COFFEE 三鷹」。旧工場を改修した焙煎所兼カフェ。シャッターの開放で内外が繋がる既存空間を活かし、“ストリートラウンジ”としての店舗を志向。歴史ある焙煎機の活用も意図して訪問客が“焙煎の過程”を見られる平面計画とする
山本稜 / Spicy Architectsが設計した、東京・三鷹市の「LIGHT UP COFFEE 三鷹」です。
旧工場を改修した焙煎所兼カフェです。建築家は、シャッターの開放で内外が繋がる既存空間を活かし、“ストリートラウンジ”としての店舗を志向しました。また、歴史ある焙煎機の活用も意図して訪問客が“焙煎の過程”を見られる平面計画としました。店舗の場所はこちら(Google Map)。
自動車整備工場や電気店が営まれていた2階建ての建物をリノベーションし、1階を焙煎スペース兼カフェと生豆保管場、2階をコーヒー豆の梱包や発送作業場、事務所として利用する計画。今回設計を担当したのはその1階部分で、ライトアップコーヒーの設計をするのは2店舗目となる。
はじめに、ライトアップコーヒーの代表の川野さんから「Probat UG22という名前の1960年代ドイツ製のビンテージ焙煎機を購入したので、それに相応しい場所を作りたい」と連絡があった。この焙煎機は川野さんがコーヒーにのめり込むきっかけとなったお店から譲り受けたものと聞き、ロマンを感じた。
そんな焙煎機のストーリーを生かし、焙煎するプロセスを多くの人に気軽に見て、知ってもらうことで直に店のこだわりを伝えたいと考えた。そのために、焙煎スペースとカフェの間には壁は設けず、生豆からコーヒーになるまでの工程を見渡せる計画とした。
この建物は、以前自動車整備工場だった背景から道路に接する前面は全てシャッターで、天井まで開け放つことができた。シャッターを開けることで外部と何の隔たりも無い開放感のある空間が生まれ、自転車に乗った親子や犬の散歩をしているご近所さん達をとても近くに感じることができた。そして、この開放的な場所をカフェとすることで、街の中で自由にコーヒーを楽しみ、外にいるようなラフなコミュニケーションが生まれることを期待して「ストリートラウンジ」と題し設計をした。
以下の写真はクリックで拡大します
以下、建築家によるテキストです。
自動車整備工場や電気店が営まれていた2階建ての建物をリノベーションし、1階を焙煎スペース兼カフェと生豆保管場、2階をコーヒー豆の梱包や発送作業場、事務所として利用する計画。今回設計を担当したのはその1階部分で、ライトアップコーヒーの設計をするのは2店舗目となる。
はじめに、ライトアップコーヒーの代表の川野さんから「Probat UG22という名前の1960年代ドイツ製のビンテージ焙煎機を購入したので、それに相応しい場所を作りたい」と連絡があった。この焙煎機は川野さんがコーヒーにのめり込むきっかけとなったお店から譲り受けたものと聞き、ロマンを感じた。
そんな焙煎機のストーリーを生かし、焙煎するプロセスを多くの人に気軽に見て、知ってもらうことで直に店のこだわりを伝えたいと考えた。そのために、焙煎スペースとカフェの間には壁は設けず、生豆からコーヒーになるまでの工程を見渡せる計画とした。
この建物は、以前自動車整備工場だった背景から道路に接する前面は全てシャッターで、天井まで開け放つことができた。シャッターを開けることで外部と何の隔たりも無い開放感のある空間が生まれ、自転車に乗った親子や犬の散歩をしているご近所さん達をとても近くに感じることができた。そして、この開放的な場所をカフェとすることで、街の中で自由にコーヒーを楽しみ、外にいるようなラフなコミュニケーションが生まれることを期待して「ストリートラウンジ」と題し設計をした。
カフェスペースには、KIOSK、4mのハイテーブル、2人掛けのベンチを設けた。KIOSKは存在感のある焙煎機と対をなすように、前面道路に向けてシンボリックにつくった。大きなハイテーブルは、共有することでスタッフや隣の人と会話が生まれるように、ベンチは外にも手軽に持ち出せるようにつくった。また、がらんとした焙煎スペースに対してカフェスペースは素材を感じるために、節の強い無垢の杉材を使用した。それぞれの接合部を現場で手刻みで組むことによって、手作り感のある丁寧に作られたコーヒーに呼応する納まりとした。
焙煎スペースとカフェ、屋内と屋外、開けるところは開放することで、焙煎機の音や匂いとご近所さん達をシームレスに繋げるカフェとなった。
■建築概要
タイトル:LIGHT UP COFFEE 三鷹
場所:東京都三鷹市
機能:カフェ、焙煎所
設計:Spicy Architects 担当/山本稜、大澤さな子
施工:Souta Yoriki
延床面積:115.19m²
竣工:2023年9月
写真:楠瀬友将
種別 | 使用箇所 | 商品名(メーカー名) |
---|---|---|
内装・床 | 床 | 既存モルタル |
内装・壁 | 壁 | 既存モルタル壁+AEP塗装 |
内装・天井 | 天井 | 既存天井 |
内装・床 | KIOSK 床 | 既存モルタル |
内装・壁 | KIOSK 壁 | 杉板150×t13+OS[ワトコオイル](WATOCO) |
内装・天井 | KIOSK 天井 | 杉板150×t13+OS[ワトコオイル](WATOCO) |
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LIGHT UP COFFEE Mitaka
For the second LIGHT UP COFFEE shop, it was decided to renovate an old auto body shop to be able to also serve as a roastery. The first floor serves as a roasting space and cafe, with plenty of space for sitting and enjoying coffee or browsing the beans on display. The second floor of the building is used for packing, shipping and administration.
At first, Mr. Kawano of LIGHT UP COFFEE, contacted us, saying that he had purchased a vintage 1960s German-made roasting machine named “Probat UG22”. When we heard, that the machine had been sold to him by the store that sparked his interest in coffee and that he wanted to create a suitable space for it, we immediately felt a sense of romance. We wanted to make use of the story of the roasting machine and convey the store’s commitment to coffee to as many people as possible by allowing them to see and learn about the roasting process. For this reason, no walls were built between the roasting space and the cafe, so that visitors can watch the entire process from the green beans to the coffee they can sample in the cafe.
Because this building used to be an auto body shop, the front of the building bordering the street, is all shutters and can be opened up all the way to the ceiling. By opening the shutters, a space with a great sense of freedom was created, allowing us to feel very close to our neighbors passing by – a parent and child on a bicycle or a neighbor walking their dog. We designed this liberating space as a “street lounge” in the hope that by turning it into a cafe, people would enjoy coffee freely in the city, and that casual communication would occur, just as if they were outside.
The cafe space design includes a KIOSK, a 4-meter long table, bar stools and a bench for two. The KIOSK was symbolically placed facing the road in front of the building to form a counterpoint to the roasting machine, which has a strong presence further in the back. The long high-table was designed to be shared to encourage conversation among staff and neighbors, and the bench to be easily moved around and taken outside. In contrast to the roasting space, which has a strong factory feel, the cafe space is made of solid cedar wood with visible knots to give a sense of warmth through the materials used. Each joint was hand-cut and assembled on site to create a handmade feel that corresponds to the carefully crafted coffee.
By opening up the roasting space and the cafe, the indoor and outdoor spaces, the cafe seamlessly connects the neighbors with the sounds and smells of the roasting machine.
DATA
Title: LIGHT UP COFFEE Mitaka
Location: Mitaka-shi, Tokyo
Usage: Cafe, Roastery
Architects: Spicy Architects
Project Team: Ryo Yamamoto / Sanako Oosawa
Construction: Souta Yoriki
Total floor area: 115.19m²
Date of completion: September / 2023
Photo: Tomoyuki Kusunose