SHARE 西久保毅人 / ニコ設計室による、プリズミックギャラリーでの建築展「それはあなたの言葉から」。施主の発した“言葉を定規に設計”してきた建築家の展示。自身の手掛けた建築の“小ささ”を意識させる為に、会場の中心に“大きな猫”のオブジェを配置。子ども達でも楽しめるように“ごろごろできる”場も作る
- 日程
- 2024年9月7日(土)–10月19日(土)
西久保毅人 / ニコ設計室による、プリズミックギャラリーでの建築展「それはあなたの言葉から 世界をHAPPYにするちいさな建築」です。
施主の発した“言葉を定規に設計”してきた建築家の展示です。建築家は、自身の手掛けた建築の“小ささ”を意識させる為に、会場の中心に“大きな猫”のオブジェを配置しました。また、子ども達でも楽しめるように“ごろごろできる”場も作りました。開催期間は、2024年10月19日まで(期間中休廊日あり)。入場無料です。展覧会の公式ページはこちら。
展示のテーマのひとつ目は、言葉です。
これまでそれぞれの建主さんに頂いたたくさんの素敵な言葉を定規に設計をしてきました。それは要望というよりも、ちょっとした雑談の際にこぼれ落ち、僕が拾い集めた言葉達です。たとえば「敷地は地球のものだと思うんですよ!」「家を作る事でご近所に貢献したいんです!」「えんがわって素敵ですね、縁のある側っていう言葉も!」「家には無駄なところもたくさん欲しいんです!」「街の子ども達が立ち寄りたくなる家にしたいんです!」などなど。
ふたつ目のの展示のテーマは、「大きいはちいさい ちいさいは大きい」です。
ちいさな建築、とは言うものの、実際はちいさな建築だって人間からしたら随分大きな存在です。そして一般的な建築の展覧会は実物を展示不可能なため、模型、写真、図面、説明文での構成になってしまいます。そこで会場の中心には、大きな猫を作りました。僕たちの暮らしや街の中で、一番身近でちいさな存在の動物である猫を、ギャラリーで一番大きな存在として拡大して作る事で、体感縮尺を反転させ建築がとてもちいさな存在に見えるといいなと考えました。
最後にみっつ目のテーマは、子ども達も楽しめるギャラリー空間です。
ギャラリーや美術館に子ども達を連れて行くと、すぐに「帰るー、もう帰るーつまんなーい」の大合唱がはじまります。僕も3人の子供達を連れて行ったギャラリーで何度イラッとされた事か。そりゃそうですよね!真っ白な音の響く空間で、大人の目線に作品が飾られ、ちょっとでも声を出したり、触ると怒られますから。座る場所も、ごろごろする場所もない。寝転んだらまた怒られる。
今回、そんな一般的なギャラリーとは真逆の空間を作りたいと思いました。
以下の写真はクリックで拡大します
以下、建築家によるテキストです。
展示計画について
展示のテーマのひとつ目は、言葉です。
これまでそれぞれの建主さんに頂いたたくさんの素敵な言葉を定規に設計をしてきました。それは要望というよりも、ちょっとした雑談の際にこぼれ落ち、僕が拾い集めた言葉達です。たとえば「敷地は地球のものだと思うんですよ!」「家を作る事でご近所に貢献したいんです!」「えんがわって素敵ですね、縁のある側っていう言葉も!」「家には無駄なところもたくさん欲しいんです!」「街の子ども達が立ち寄りたくなる家にしたいんです!」などなど。
そんな言葉に向かって100件以上のちいさな建築を作ってきました。場当たり的で個別的な手法のようですが、俯瞰すると建築と街や地球とのつながりを導くようで、共有可能な言葉でもあります。大切なのは個人からこぼれ落ちた言葉だからこそ愛着が生まれ、街に物語が根付くのです。だから建築よりも言葉が主役の展覧会にしたいと思いました。壁面のいたるところに貼られた吹き出しの中の言葉は、実際に建主さんから発せられた言葉達です。
ふたつ目の展示のテーマは、「大きいはちいさい ちいさいは大きい」です。
ちいさな建築、とは言うものの、実際はちいさな建築だって人間からしたら随分大きな存在です。そして一般的な建築の展覧会は実物を展示不可能なため、模型、写真、図面、説明文での構成になってしまいます。そこで会場の中心には、大きな猫を作りました。僕たちの暮らしや街の中で、一番身近でちいさな存在の動物である猫を、ギャラリーで一番大きな存在として拡大して作る事で、体感縮尺を反転させ建築がとてもちいさな存在に見えるといいなと考えました。まるで猫の周りにいる昆虫達のようなちいさな建築達。虫探しをするように、本当にちいさな建築と出会って欲しいなと思いました。
最後にみっつ目のテーマは、子ども達も楽しめるギャラリー空間です。
ギャラリーや美術館に子ども達を連れて行くと、すぐに「帰るー、もう帰るーつまんなーい」の大合唱がはじまります。僕も3人の子ども達を連れて行ったギャラリーで何度イラッとされた事か。そりゃそうですよね!真っ白な音の響く空間で、大人の目線に作品が飾られ、ちょっとでも声を出したり、触ると怒られますから。座る場所も、ごろごろする場所もない。寝転んだらまた怒られる。
今回、そんな一般的なギャラリーとは真逆の空間を作りたいと思いました。ギャラリー空間に小さくて丸いたくさんの園側を作り、靴を脱いでごろごろできるようにしました。展示物も低い場所にもたくさんあって、多少さわっても大丈夫にしました。触れるものもたくさんあります。縁側は、柔らかい和紙や、木の板でできています。おまけに大きな猫には、自由に登ったって大丈夫!猫の周りで隠れたり、ぐるぐる回ったり。
そんな3つの想いを重ね合わせたような展覧会になるといいなと思いました。
スタートして3週間が経ちました。親子連れでご来場された子ども達は和紙の縁側で絵を描いたり、猫に登ったり降りたり、猫の周りでごろごろしたり。こんなに子ども達が帰りたがらないのは初めてです!という多くの声を頂いています。想像以上に「縁日」のような展覧会になりました。
(西久保毅人)
■展覧会概要
会期:2024年9月7日(土)~2024年10月19日(土)
開廊時間:平日10:00~18:00(月曜12:00~18:00)
会期中の土曜、日曜、祝日 は在廊予定です。
詳しくはInstagram、HPにて告知します。
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展示設営協力者一覧
設計:ニコ設計室 担当:高谷竜太
大工工事:長谷川康孝
木材提供:村上建築工房
大きな猫の原案、制作アドバイス:芝田左官店
スチール展示台作成:小原歩、平鍛治
大きな猫、展示什器制作、指導全般:深沢義一
和紙提供:ハタノワタル
作業場所提供:たつみ木材
設営作業:吉本脩佑 吉本脩佑建築設計事務所
植物提供:高橋園
設営作業:近藤結(武蔵野美術大学)、藤巻胡桃(明治大学)、田島暖大(日本大学)