SHARE 大野力 / sinatoによる「TamaN」
以下、建築家によるテキストです。
築25年の集合住宅の1室をリノベーションした夫婦2人の為の住宅。
RC壁によって既に分節された既存躯体の中に、新たな木壁を1枚、玄関から室内全体を横断するように挿入し、それに沿って様々な場所が連続する構成とした。
木壁の厚みは35mm、それに対し既存RC壁の厚みは200mmであり、その壁厚の違いによって分節の強弱をつくると共に、木壁の開口によってそれぞれの場所の繋がり方を調整している。
部屋とは呼べないまでも、それぞれの場所は広さや明るさの違いによる僅かな固有性を有していて、住人はその時々の気分で適切な場所を選択しながら生活する。
また元々暗く狭かった玄関は、土間を広くとって北側にあった元の居室の窓と繋げて光を取り入れ、またそこから外の立木の緑が見えるようにすることで、外部の緑豊かな環境が室内に入った途端に分断されないよう考慮している。
■建築概要
設計:大野力 / sinato
施工:ヨシナガ工業
用途:住宅
面積:80.73m2
竣工:2012年1月
所在地:東京都多摩市