SHARE 石嶋設計室+のみぞ計画室+コト葉LAB.による、「グローバルキッズ飯田橋園・飯田橋学童クラブ」
all photos©黒住直臣
石嶋設計室+のみぞ計画室+コト葉LAB.(園庭)が設計した、「グローバルキッズ飯田橋園・飯田橋学童クラブ」です。
都心居住が進む東京都千代田区にある4階建3,000m2弱の既存事務所ビルを1棟丸ごと上階から学童クラブ、保育所、室内園庭、保育所運営会社の事務所に改修する計画で、2~4階は事務所から児童福祉施設に用途変更した。
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以下、建築家によるテキストです。
都心居住が進む東京都千代田区にある4階建3,000m2弱の既存事務所ビルを1棟丸ごと上階から学童クラブ、保育所、室内園庭、保育所運営会社の事務所に改修する計画で、2~4階は事務所から児童福祉施設に用途変更した。
3階の保育所は腰高の家具で間仕切ったワンルームタイプの間取り。各保育室が面する隣地境側の開口部は、隣地境界線からの離れが2m程度で、建築基準法上の採光はゼロである。したがって、採光が採れる面が道路側に限られるため、4,5歳児室と3歳児室の境目に大きな引戸を設け、2室1室として採光を確保した。
この園舎の特徴は2階の室内園庭にある。保育所の設置基準では代替遊戯場が近くにあれば、園庭を確保する必要はなく、都心では園庭がない保育所が多い。一方で、多くの代替公園では、禁止事項の羅列等、子どもの遊びに窮屈さを強いている。これらが園外での外遊びを遠のかせる状況をももたらし、子どものストレスの発散機会の減少や身体能力の低下を加速させている。園庭が持つ役割はとても大きい。幼少期の心身の発達には、日々の生活の中で繰り返される遊びを通して、環境を介した身体的な学びを経験する場所=「園庭」が特に重要となる。この園舎でも外部に園庭を確保することが不可能であったため、私たちは室内に園庭をつくることを提案した。
園庭は大きく2つのエリアで構成。起伏のある人工芝エリアは地面の凹凸がそのまま砂場や滑り面となり遊びを誘発する。一方、デッキエリアは、夏はプール、それ以外の季節はブランコやボール等の遊びの場とし、床面は防水+ゴム舗装とした。壁面は煉瓦•木•土によって構成し、園舎の外壁に見立てたデザインとしている。よじのぼれる煉瓦壁、鉄棒や登り棒となる鉄の木、壁面のジャングルジム、積み木へと変化するテーブル、季節や時間とともに変化する照明システムの導入等々、子どもたちのアクティビティを誘発する仕掛けをいたるところに配している。最後に、子どもたちとのワークショップによって足洗い場をつくりあげた。一緒に園庭をつくることで「自分たちの園庭」という愛着心が芽生え、今後ここで繰り広げられる活動が子どもたちにとっての原風景となってもらえれば幸いである。
■建築概要
敷地面積:1,250.05㎡
建築面積:839.00㎡
延べ床面積(申請部分):計1,670.24㎡
2階398.26㎡/3階635.99㎡/4階635.99㎡
定員:138名