SHARE 木村松本建築設計事務所らによる、築20年を超えたハイツの一室を改修する計画「ハイツYの修理」(CS DESIGN AWARD2016のグランプリ作品)
all photos©増田好郎
木村松本建築設計事務所・MASAKIKATO・株式会社いとうともひさ・fabricscape・COCOが共同で設計・施工をした、大阪府高槻市の築20年を超えたハイツの一室を改修する計画「ハイツYの修理」です。この作品は、CS DESIGN AWARD2016のグランプリを受賞しています。この作品に用いられているIROMIZUはこちら。
(以下、入賞作品解説文)築20年超のハイツの一室を改修する計画である。建物物としての経年に加え、現在の賃貸市場ではニーズの少ない占有面積に対しての居室の多さ、細かく分断された間取りを取り壊すことなく再編する手法を模索した。
具体的には既存の間取りをそのままに、居室を横断するように挿入した木質素材の壁のみで各室の関係性を変化させ、様々な居住形態に対応するものへと更新する。
賃貸物件の必然である住み手の流動に対して、挿入した壁の素材であるラワン合板表面に貼られたIROMIZUの豊富な色数と、貼り重ねが可能な性質が応答する。合板という素材の特性である経年変化を透過しつつ貼り重ねることにより住まい手の変化の履歴を示し、経過してゆく時間を可視化する。また、貼られたIROMIZUは室内外の風景の映り込みや光の反射を表面上で現象させる。
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以下、建築家によるテキストです。
(以下、入賞作品解説文)
築20年超のハイツの一室を改修する計画である。建物物としての経年に加え、現在の賃貸市場ではニーズの少ない占有面積に対しての居室の多さ、細かく分断された間取りを取り壊すことなく再編する手法を模索した。
具体的には既存の間取りをそのままに、居室を横断するように挿入した木質素材の壁のみで各室の関係性を変化させ、様々な居住形態に対応するものへと更新する。
賃貸物件の必然である住み手の流動に対して、挿入した壁の素材であるラワン合板表面に貼られたIROMIZUの豊富な色数と、貼り重ねが可能な性質が応答する。合板という素材の特性である経年変化を透過しつつ貼り重ねることにより住まい手の変化の履歴を示し、経過してゆく時間を可視化する。また、貼られたIROMIZUは室内外の風景の映り込みや光の反射を表面上で現象させる。
このような壁仕上げ材としてのIROMIZUをはじめ、床材に用いたA4サイズの不揃いなセルフメイド・コンクリート平板など、本計画では従来の賃貸物件改修では用いられない材料選定を計画と共に行った。
これまでの、住まい手が変わる度に内装を「刷新すること」を常としていた賃貸物件の状況に対し、少しづつ手を加えながら「変化し続けられること」の可能性、つまり「修理」を持続してゆけることを価値とする提案である。
■建築概要
設計・施工者:
伊藤智寿(株式会社いとうともひさ)/施工・設計
加藤正基(MASAKIKATO)/設計・施工
木村吉成(木村松本建築設計事務所)/設計
松本尚子(木村松本建築設計事務所)/設計
山本紀代彦(fabricscape)/ファブリック・設計
渡辺翔太(COCO)/施工・設計
所在地::大阪府高槻市
主要用途 : 集合賃貸住宅のリノベーション
延床面積 : 52.47 m2 (1室)
階数:地上3階建ての3階
構造 : 鉄骨造/既存建物
竣工:2014年3月
写真クレジット:増田好郎 Yoshiro Masuda photography