SHARE 水谷元 / atelier HUGEによる、福岡の戸建て住宅をリノベーションした診療所兼用住宅「美しが丘の住宅」
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水谷元 / atelier HUGEによる、福岡の戸建て住宅をリノベーションした診療所兼用住宅「美しが丘の住宅」です。
床面積に見合った体感を得られるようにすることはもちろんだが、整理された郊外の街並に対して比較的閉じられた内部空間を、暮らしに多様性を生みながら日常的なシーンを楽しめる空間にすることを目指した。診療所と住居を隔てる家具や水廻り空間は中庭を囲む大きなボリュームと対等な関係をつくるように天井から独立したボリュームとして構成し、天井面を連続させることで水平な広がりを感じさせるようにしている。限られた予算の中でボリュームの配置を工夫し、プライバシーの確保が必要な寝室や診療所を除いて中庭と一体的な利用ができるようになった。また、エントランスホールからキッチンを結ぶ軸を設定し、北側で暗かったキッチンに開口を設けることで視野の広がりを確保した。
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以下、建築家によるテキストです。
郊外に建つ戸建て住宅のリノベーションである。御子息の経営する診療所を含む御両親と御子息家族とネコ達が暮らすための2世帯住宅として改修した。
2階に寝室のある2階建ての建物だが1階部分だけでも40坪程の十分な面積があるにも関わらず室内は狭く感じられ、1階部分のみを予算内で改修することとなった。4m×4mの中庭が中央に位置し、それを囲む居室は小さく、最も長い時間を過ごすというダイニングは小さい上に中庭とは廊下で隔てられていた。また、ダイニングと玄関の開口は中庭に出入りできない仕様で居室と一体的な利用が不可能だった。
床面積に見合った体感を得られるようにすることはもちろんだが、整理された郊外の街並に対して比較的閉じられた内部空間を、暮らしに多様性を生みながら日常的なシーンを楽しめる空間にすることを目指した。診療所と住居を隔てる家具や水廻り空間は中庭を囲む大きなボリュームと対等な関係をつくるように天井から独立したボリュームとして構成し、天井面を連続させることで水平な広がりを感じさせるようにしている。限られた予算の中でボリュームの配置を工夫し、プライバシーの確保が必要な寝室や診療所を除いて中庭と一体的な利用ができるようになった。また、エントランスホールからキッチンを結ぶ軸を設定し、北側で暗かったキッチンに開口を設けることで視野の広がりを確保した。
御両親と御子息ご家族の関係は良好で家族は寝室で就寝する以外は”居間”で過ごす。御子息ご家族には小さなお子さんがいらっしゃり、将来的に家族構成の変化が考えられ、中庭を含めた住居全体を”居間”として暮らすことも想定している。現在は室内で飼われていたネコたちが外部(中庭)への出入りが自由となり、人間よりも喜んでいるとのことである。
■建築概要
建物名称:美しが丘の住宅
設計:水谷元/atelier HUGE
主要用途:診療所兼用住宅
工事種別:改修工事(リノベーション)
所在:福岡県
施行床面積:126.18㎡
施行:株式会社凸凹
竣工:2017.6
写真:針金洋介