SHARE 横山信介 / CANOMAによる、東京・渋谷区の美容院(シェアサロン)「GOTODAY SHAiRE SALON」
横山信介 / CANOMAが設計した、東京・渋谷区の美容院(シェアサロン)「GOTODAY SHAiRE SALON」です。
フリーランスとして活動する美容師のためのシェアサロンの計画です。
シェアリングエコノミーが一般化し、所有しない生活スタイルが広まりつつあります。
従来、開業のためには、改装工事や維持管理のため多額の資金が必要でした。また人口減少時代にも関わらず美容室が供給過多であり、開業のリスクが高まっている状況があります。
フリーランスの美容師は、店舗を持たないことでそのリスクを回避できるメリットがある一方、自身の名前を掲げ顧客を獲得する必要があります。そこで、フリーランスの特徴を補完し店舗によって美容師の価値が底上げされるような居場所を目指しました。
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以下、建築家によるテキストです。
フリーランスとして活動する美容師のためのシェアサロンの計画です。
シェアリングエコノミーが一般化し、所有しない生活スタイルが広まりつつあります。
従来、開業のためには、改装工事や維持管理のため多額の資金が必要でした。また人口減少時代にも関わらず美容室が供給過多であり、開業のリスクが高まっている状況があります。
フリーランスの美容師は、店舗を持たないことでそのリスクを回避できるメリットがある一方、自身の名前を掲げ顧客を獲得する必要があります。そこで、フリーランスの特徴を補完し店舗によって美容師の価値が底上げされるような居場所を目指しました。
そして、空間に「安心」「安定」「信用」等の印象を物質化するための言語として、「重み」「厚み」「奥行き」などにたどり着きます。
石の自然な歪みや、漆喰を平滑に抑えることで現れる艶による斑。壁出隅のRの大きさや、造作部材の構成や納まり等、そうしたマテリアルの質感や、エレメントの形状や色、大きさなどの検証を重ね、空間に「重み」「厚み」「奥行き」の要素を与えています。
個室形式を採用することにより1席あたりの面積が非効率になります。作業の最小寸法を所属美容師と共に実測し、個室やシャンプールームの高効率な配置を最優先にプランを決定しました。また、間仕切りによる圧迫感が生じないよう、透明ガラスと型板ガラスをバランスよく配置し、閉鎖性と開放性を両立させるよう配慮しています。
廊下に面して連続する個室の木製建具や、シャンプールームの小さな入口は、路地を通って家の中に入っていくような空間体験を生みます。シェアサロンは、各美容師に顧客がついているため、受付から見送りまですべてを一貫して担当します。個室へ誘導するシークエンスの中でプライベートサロンのような印象を与えることを意図しています。
シェアオフィスが乱立し、差別化が求められているように、今後シェアサロンも同じ状況になることが想像されます。
ヘアサロンの設計には機能的な検討事項がいくつも重なりますが、それらの条件を考慮し、個性を持った複数の美容師が共存することを受け入れる店舗にする必要があります。匿名的でありながら、個性的でもある空間を機能と共に成立させることに挑戦しています。
■建築概要
物件名:GOTODAY SHAiRE SALON
用途:美容院(シェアサロン)
設計:CANOMA 横山信介
施工:株式会社ハコリ
所在地:東京都渋谷区
竣工:2018年7月
延床面積:161㎡
写真:見学友宙