長坂常 / スキーマ建築計画が設計した、東京・神宮前の商業施設GYRE内の店舗「ヘイトウキョウ」です。お店のウェブサイトはこちら。
デンマーク発のインテリアプロダクトブランド「HAY」の期間限定での東京出店となる「HAY TOKYO」の空間デザインを担当した。その展示スペースは少しずつ外部とのコラボレーションを行いながらコンテンツを増やし日々刻々と成長してゆく、永遠に動き続ける店舗空間を想定した新たな提案である。そこでわれわれは人のアクティビティを誘発する「インターフェース」という可動システムを使いながら空間を構成している。インターフェースとは建築とも家具とも言えない、中間くらいのもので、動かせるけど仕組みを知る管理側でしか動かすことのできない什器システムのことを言う。
エントランスのデザインに関しては、地下への誘導を強くするために、今までその存在に気づかれていなかった地下への専用階段を認知させることを目指した。次の改修のフェーズで大幅に改修されることから、壊されるものである前提で、すでにサインであふれかえる表参道において、サインで誘導を計画するのではなく、この街の中でやってはならないと思われているような行為を行うことで目を引き認知させようと考え、既存の階段と階段まわりの壁全面をスプレーで塗装した。
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以下、建築家によるテキストです。
「HAY TOKYO」
デンマーク発のインテリアプロダクトブランド「HAY」の期間限定での東京出店となる「HAY TOKYO」の空間デザインを担当した。その展示スペースは少しずつ外部とのコラボレーションを行いながらコンテンツを増やし日々刻々と成長してゆく、永遠に動き続ける店舗空間を想定した新たな提案である。そこでわれわれは人のアクティビティを誘発する「インターフェース」という可動システムを使いながら空間を構成している。インターフェースとは建築とも家具とも言えない、中間くらいのもので、動かせるけど仕組みを知る管理側でしか動かすことのできない什器システムのことを言う。まず一つのインターフェースとして、1200ピッチで穴をあけたレースウェイをH=2750の高さに1200ピッチで配置し、単管パイプを立ててパネルで繋ぐことで、どこにでも壁を立てられる構成にしている。レースウェイは配線ダクトを置き、照明用の配線を収容するだけでなくドラム式延長コードを使ってフロア用の電源を床面まで落とし、必要に応じて使えるようにしている。またもう一つのインターフェースとして、普通に手では動かせないけれど、ハンドリフターを使えば一人で運べる、レジカウンターや椅子のディスプレイ棚、植木鉢など、一連のリフター仕様の什器がある。この2種類のインターフェースで構成された空間は、カフェ部分以外は一晩ですべて空にすることができるため、ライブを行うために室内の半分を空にしたいという要望にも応えられる。また、もちろん毎日マーケットの動向に合わせお店のレイアウトを変えることもできる。このようなシステムで構成されているため、外部とコラボレーションをしながら一年を通して成長し続けることができる。エントランスのデザインに関しては、地下への誘導を強くするために、今までその存在に気づかれていなかった地下への専用階段を認知させることを目指した。次の改修のフェーズで大幅に改修されることから、壊されるものである前提で、すでにサインであふれかえる表参道において、サインで誘導を計画するのではなく、この街の中でやってはならないと思われているような行為を行うことで目を引き認知させようと考え、既存の階段と階段まわりの壁全面をスプレーで塗装した。
■建築概要
題名:ヘイトウキョウ
設計:長坂常/スキーマ建築計画
担当:會田 倫久
所在地:東京都 渋谷区 神宮前 5-10-1 GYRE地下1階
主用途:物販店舗・飲食店舗
施工:株式会社ディー・ブレーン
階数:1階
延床面積:1110.9㎡
構造:SRC造
竣工:2018年10月
写真:西将隆