藤原徹平+針谷將史+フジワラテッペイアーキテクツラボが設計した、栃木・那須塩原市の「那須塩原市まちなか交流センター/Kururu」です。
「地域交流センター」を構成するプログラムや規模は、その地域ごとに異なり、決まったビルディングタイプというものは存在しない。那須エリアは農作や酪農が特色で、食に関する人びとの意識も高く、今回のプロジェクトには、「人と食を育む交流の家」というテーマが与えられていた。フードコートやシェアキッチン、コンサートのためのステージや音楽室、多目的に使える和室や工作室、非日常的な利用としてのお祭り広場、などの機能が求められたが、それ以上に室名に還元できない多くの活動が想定された。ここでは、定型化されたサービスのための、室の集積としての「施設」ではなく、能動的な市民活動の場がせめぎ合い、目的を持たずに訪れる人びとの居場所にもなる、多中心の広場のような建築のあり方がふさわしいと考えた。
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以下、建築家によるテキストです。
「地域交流センター」を構成するプログラムや規模は、その地域ごとに異なり、決まったビルディングタイプというものは存在しない。那須エリアは農作や酪農が特色で、食に関する人びとの意識も高く、今回のプロジェクトには、「人と食を育む交流の家」というテーマが与えられていた。フードコートやシェアキッチン、コンサートのためのステージや音楽室、多目的に使える和室や工作室、非日常的な利用としてのお祭り広場、などの機能が求められたが、それ以上に室名に還元できない多くの活動が想定された。ここでは、定型化されたサービスのための、室の集積としての「施設」ではなく、能動的な市民活動の場がせめぎ合い、目的を持たずに訪れる人びとの居場所にもなる、多中心の広場のような建築のあり方がふさわしいと考えた。
重視したのは、外部・半外部空間を含めて、全体がひとつの空間として感じられること、空間のスケールが多様であること、である。ひとつの空間が状況に応じて様々な使い方ができ、同時に複数の団体や個人が利用していても、適度な距離感を保つことができる。構成は、敷地中央に長さ約50mの大屋根を、隣地側は天井を低く抑えたカテナリーの屋根を架けて大小の空間を一体化させるというシンプルなものだが、短辺方向の水平力を負担する構造をバットレスのように両翼に担わせることで、長辺方向における内外の連続性が強まり、来訪者を受け入れる大きな構えと、街路から連続する道のような雰囲気をつくっている。
柱には480×100mmという特徴的なスケールの長方形断面の鉄骨ビルトボックスを採用した。向きの異なる33本の柱が林立することで空間に方向性が生まれ、構造自体が居場所の拠り所となる。高さ6mの大屋根下では、建築物の天井としての意識が希薄になり、まるで都市の広場を使いこなすかのように、各々が自由に過ごしている。あらゆる属性の人びとがアクセス可能な、開放的な都市のインフラとしての建築である。
■建築概要
名称:那須塩原市まちなか交流センター
所在地:栃木県那須塩原市
用途:交流センター
竣工:2019年2月
構造:鉄骨造
規模:地上1階
敷地面積:3,723.27㎡
建築面積:1,621.49㎡
延床面積:1,318.04㎡
設計監理:藤原徹平+針谷將史+フジワラテッペイアーキテクツラボ
構造:佐藤淳構造設計事務所
設備:環境エンジニアリング
照明:岡安泉照明設計事務所
サイン:UMA/design farm
施工:DI・SANWA/宮沢特定建設工事共同企業体
撮影:西川公朗(特記なきものすべて)