all photos©沼田俊之
A.C.E. 波多野一級建築士事務所 / 波多野崇が設計した、京都府京都市の住宅「右京の家」です。この住宅は、第4回京都建築賞の京都建築賞部門の入賞作品です。
京都の中心部で育ち、近隣寺社の境内が幼少期の遊び場であったこともあり、私にとって伝統的な建築と空間は身近なものであった。
大学で建築を学び始めて以来、数多くの伝統建築や現代建築の空間を意識的に体験することにより、京都の気候風土に適応した豊かな建築とはどうあるべきかをを常に考え続けてきた。
京都の伝統建築の特徴との1つとして、素材や構造は簡素であっても、庭の演出によって空間のイメージは大きく異なるという点がある。今回の計画において参照した、敷地の比較的近くにある仁和寺の白書院、黒書院、竜安寺の石庭、等持院の回遊式庭園なども空間の性質は庭に依存していると言える。率直に、これらの空間体験から得られた考察を現代の住宅設計に生かしてみたいと考えて計画したのが「右京の家」である。