田辺雄之建築設計事務所が設計した、神奈川・鎌倉市の商業施設「鎌倉笹目座 / Kamakura Sasameza」です。建物の場所はこちら(GoogleMap)。
鎌倉笹目座/SASAMEZAは神奈川県鎌倉市笹目に位置する東西2棟(全8テナント)の木造2階建商業施設。
敷地は鎌倉中心部から長谷の大仏へ向かうバス通りである由比ガ浜通りに面している。この通りには明治、大正、昭和初期の鎌倉別荘文化を今なお感じさせる商店がいくつか点在する。それら商店の多くは二重屋根/二重庇を持つファサードで、垂直に伸びるビルディングタイプとは異なった、町のスケールをつくりだしている。
そこで今回の建物のファサードにも、角度や視線の高さによって内部が見え隠れする二重屋根/二重庇を設ける計画とした。
内部空間には構造材の見える化(オフセット柱+長押)により、各戸に異なるテナントが入居しそれぞれがインテリアデザインを施したとしても、建物全体の統一感を保つことができる。
鎌倉時代までに多く見られた和様建築において、長押は現在のような装飾的な意味合いで取り付けられていたわけではなく、柱を前後から挟み込んで横架材として横揺れ防止の効果を狙い用いられていたと考えられている。
今回の長押はこの地においてそれを現代的に再現したかたちでもある。また木造の屋外階段、二重屋根/二重庇、外壁にウッドデッキ等この建物で使われている屋外部分の木材は、留め方やブラケットを工夫することで更新可能な納まりとしている。