谷山直義・植原亮輔・安東陽子らが審査する、受賞作品が商品化の可能性もある「第4回サンゲツ壁紙デザインアワード」が壁紙のデザインを募集中。大賞の賞金は100万円
谷山直義・植原亮輔・安東陽子らが審査する、受賞作品が商品化の可能性もある「第4回サンゲツ壁紙デザインアワード」が壁紙のデザインを募集中。大賞の賞金は100万円サンゲツ壁紙デザインアワード2020ビジュアル。

谷山直義・植原亮輔・安東陽子らが審査する、受賞作品が商品化の可能性もある「第4回サンゲツ壁紙デザインアワード」が壁紙のデザインを募集しています。大賞の賞金は100万円です。WEBエントリー受付は2020年9月18日18:00まで。【ap・ad】

サンゲツは、住宅、商業施設、オフィス、ホテル、医療福祉施設など、さまざまな空間で使われるインテリア素材を提供し、人々が空間をデザインするよろこびをお届けしてきました。
単にインテリア素材を供給するのではなく、人々がそのインテリア素材を使い、デザインし、その空間で楽しみ、安らぎを得ること。それがサンゲツの社会での役割と考え「Joy of Design デザインするよろこびを」をブランドコンセプトに掲げ、豊かな生活文化の創造を目指しています。
その企業活動の一環として、2017年に『サンゲツ壁紙デザインアワード』を立ち上げました。

みなさまの応募作品からまだまだ広がる壁紙の可能性を実感し、今年も『第4回サンゲツ壁紙デザインアワード』を開催します。

[テーマ]
『Joy of Design』
[課 題]
『Joy of Design』をテーマに「壁紙」というプロダクトの特性をふまえ、「誰が何をしてどのように
過ごすための空間か?」を想定し、壁紙をデザインしてください。
壁紙は単体で成立するものではありません。空間に貼られることで、初めて壁紙として成立します。
気持ちが明るくなる病室、心に残るホテル、活発なコミュニケーションが生まれる教室、仕事がはかどるオフィス。壁紙ひとつで、居心地をつくることも、人々の表情を変えることもできます。
壁紙というプロダクト単体ではなく、想定した空間内における意義や効果を考えたうえで、壁紙をデザインし、デザインコンセプトを説明してください。

商品化された過去の受賞作品や審査風景の様子も下記に紹介します。

辻琢磨による連載エッセイ “川の向こう側で建築を学ぶ日々” 第4回「建築を『つくってもらう』ことの難しさ」
辻琢磨による連載エッセイ “川の向こう側で建築を学ぶ日々” 第4回「建築を『つくってもらう』ことの難しさ」

建築を「つくってもらう」ことの難しさ

text:辻琢磨

 
つくる人がいて初めて建築が生まれる

ここまで、初回の導入から、判断基準の話、事務所の見せ方の話と続けて紹介してきたが、今回は施工者との関わり方について筆を進めたい。

一般的には、設計者が「施工者」としてやりとりするのは工務店やゼネコンの監督さんであるが、実は、厳密に言えば彼らはつくる人ではない。どういうことか説明しよう。

意図をつくり手に伝えるとした時、設計事務所のボスは、まず現場担当のスタッフに設計意図を伝え、担当スタッフが現場監督さんと話し、監督さんが実際につくる人(各業種のリーダー)に作業内容を伝え、そのリーダーがチームメンバーに伝える、という幾重にも連なる伝言ゲームで工事現場は動いていて、現場監督はその中継人であるということだ。

そしてその伝言ゲームの人数は建築の規模に比して増える。時には自ら汗を流す建築家や監督さんもいるかもしれないが、あくまでも我々設計者の仕事は設計することであり、現場監督の仕事は工程と予算とつくることをコントロールすることである。実際に重たいハーネスを背負いヘルメットを被って汗を流し10時と12時と15時に一服を挟みながら身体を動かすのは職人さんである。現場監督の先にいる彼らの存在を設計者は忘れてはならない。それを前提に、下記読み進めていただければ幸いだ。

 
施工者との理想的な関係とは

建築という複合芸術は、お金と要求を出す施主がいて、空間に置き換える設計者がいて、それを実現する施工者がいて初めて建てることができる。その三者のバランスが、特に「予算」という共通言語で結ばれるからこそ、建築はある種の緊張感を持って立ち上がる。

理想的な関係は、大変理解ある施主が潤沢の予算をこれまた理解ある施工者に預け、設計者が存分にその力量を発揮して名作が生まれる。というものだが、現実にはそのような機会はめったに無い。

施主はできるだけ良い建築をそれに見合う価格で手に入れたい、施工者は効率良く適正な利益を生み出したい、設計者はその間に揺られながらも作品とすべく、見積もりを何度も取って調整を重ね、晴れて着工となるのがほとんどだろう。

 
見積もりの存在意義

僕が独立したての頃は、この「見積もり」というルールが何故存在しているのかよくわからなかったのだが、それこそ渡辺さんに事細かく教えてもらって、どうやって見積もりをコントロールするのかや、見積もりが予定予算より超過した場合の施主対応などについてよくアドバイスをもらっていた。
このエッセイの読者の中にももしかしたら見積もりって何?という人がいるかもしれないので、僕なりに少し説明しておく。

まず、建築家が設計する建築(建物ではない)は、スーツで言うフルオーダーメイドのような「一点物」で、且つ建築を構成する部品(工種)がとてもたくさんあるので、設計して建築についての詳細情報が決定されてからでないと値段が決まってこない。基礎はいくら、柱はいくらで、内装の床や壁はこの仕上げ、キッチン、トイレ、蛇口、それぞれの機器はこれでいきます、外装材はこれ、屋根はこれと、、まずもって形が決まっていないと何も進まないし、形が決まっていたとしても、その他にも決めるべき箇所は山のようにある。設計者はまず施主との対話の中で設計案をまとめ、その机上の建物をつくると果たしていくらかかるのかを施工者に考えてもらうのだ。この作業が見積もりである。

だいたい建築家は誰もやったことのない独創的な建築を目指す(そうでなければ作家性が成り立たず、ハウスメーカーや工務店が設計した方が早いし安い)ので、この見積もりが結構高くなるのが一般的だ。施工者としては誰もやったことのない施工が想定されればされるほど、見積もりもその難易度に応じて設定することになるからである。だから何度も調整して優先順位の低い要素から最低限の機能を満たした上で減額していく。これがVE (Value Engineering)である。

この時設計者は施工者に対して例えば「この建築は新しいカタチをしているけれど、よくよく考えると一般的な工法でできますよ」だとか、「一見複雑に見えますが実は単純な幾何学の反復なので簡単に施工できますよ」といった言葉とアイデアで、独創的ながらもなるべく見積もりを抑える努力をしつつ、出てきた見積もりが正しく適切に見積もられているかを精査する役割を担っている。

武田幸司 / Ginga architectsによる、宮城・仙台市の住宅「SGA フタ+ハコ/回遊する住まい」
武田幸司 / Ginga architectsによる、宮城・仙台市の住宅「SGA フタ+ハコ/回遊する住まい」 photo©小関克朗
武田幸司 / Ginga architectsによる、宮城・仙台市の住宅「SGA フタ+ハコ/回遊する住まい」 photo©小関克朗

武田幸司 / Ginga architectsが設計した、宮城・仙台市の住宅「SGA フタ+ハコ/回遊する住まい」です。

周りには緑も多く、住宅地の東の際にあることから、東側の崖越しに眺望が大変良い敷地であった。しかし、東西が市道に挟まれた敷地であり、プライバシーを確保しながら、眺望の良さを最大限に生かす、閉じながら開くような住まいを求められた。

そこで、プライバシーの高い中庭やテラスのような半外部空間を内包する低めの『ハコ』と、庇がある『フタ』ような大屋根、それらを建ぺい率一杯まで広げ、『ハコ』から『フタ』をパカっと持ち上げたように見えるシンプルな建ち方とした。

建築家によるテキストより
小堀哲夫・山﨑健太郎・西田司が出演する、書籍『”山”と”谷”を楽しむ建築家の人生』の出版記念オンライントークイベントが、代官山蔦屋書店主催で開催
小堀哲夫・山﨑健太郎・西田司が出演する、書籍『”山”と”谷”を楽しむ建築家の人生』の出版記念オンライントークイベントが、代官山蔦屋書店主催で開催

小堀哲夫山﨑健太郎西田司が出演する、書籍『“山”と”谷”を楽しむ建築家の人生』の出版記念オンライントークイベントが、代官山蔦屋書店主催で開催されます。開催日は2020年7月13日。事前に参加券の購入が必要です。

社会とともに変わっていく価値観や経済状況に振り回されず、創造的な生き方を実践している建築家たちの姿を描き出した『”山”と”谷”を楽しむ建築家の人生』。

今回のトークイベントでは、登山や海外での実測調査など、好奇心の赴くままに活動していたら、いつの間にか建築にハマっていたという小堀哲夫さんをゲストに招き、建築を目指してからの人生の“山”と“谷”についてのお話に加え、コロナ禍での設計者の働き方などについて編者の山﨑 健太郎さん、西田 司さんと議論いただきます。

大学で建築を学んでいる学生たち、あるいは独立して迷われている方や、これから建築の仕事を通して、どうやって前向きに生きていこうかと悩んだり、不安に思っている若い人たちに参加いただけたらと思います。

小室舞 / KOMPASによる、東京の住宅改修「世田谷のリノベーション」
小室舞 / KOMPASによる、東京の住宅改修「世田谷のリノベーション」 photo©市川靖史
小室舞 / KOMPASによる、東京の住宅改修「世田谷のリノベーション」 photo©市川靖史

小室舞 / KOMPASが設計した、東京の住宅改修「世田谷のリノベーション」です。

1階で歯科医院を営む施主家族が暮らす、元々二世帯住宅だった築18年鉄骨造3階建ての店舗併用住宅の住居部分の改修計画です。3人家族の暮らしと不相応な二世帯住宅の間取りの改善、夏暑く冬寒く昼間から暗いという環境の改善、量販住宅的な空間の質の改善、という3つが改修の主目的でした。

リノベーションで木造やRCの既存躯体を露出して活かす手法は一般的ですが、耐火被覆で露出できない鉄骨造かつ内断熱を追加する必要により全面に内装を施さなければいけない状況の中で、どうやって単なる張りぼてでなく各内装に必然性を持たせられるのか、また、ワンルームという間取り内にどれだけ多様性や奥行きを共存させるかが内装における課題となりました。
まず、2・3階それぞれが家族用に計画された既存に対し、2階をパブリックな場としてのリビングダイニング、3階を寝室などのプライベートな場として使い分けることとし、予算の都合上プライベート側はなるべく既存を利用することとしました。

建築家によるテキストより
河原泰建築研究室が最優秀提案者に選定された、島根・安来市の「やすぎはく愛クリニック」設計プロポーザルの提案の画像
河原泰建築研究室が最優秀提案者に選定された、島根・安来市の「やすぎはく愛クリニック」設計プロポーザルの提案の画像 image©河原泰建築研究室

河原泰建築研究室が最優秀提案者に選定された、島根・安来市の「やすぎはく愛クリニック」設計プロポーザルの提案の画像です。

さくらアーケードのクリニック(やすぎはく愛クリニック増改築工事プロポーザル)

内科・整形外科の外来診療と人間ドッグなどを行う健診センターという2つの機能をもつクリニックのプロポーザル提案です。
外来診察ゾーンは既存建物を活用しながら大改修を行い、それに併設するような形で健診センターを新築する提案です。
健診センターは、予防医療推進の見地から、誰もがふらっと気軽に訪れることができる建物とするため、さくらアーケードと呼ぶ大屋根の下のコリドーから個々に独立した屋根をもつ健診小部屋を巡るショッピングモールのようなつくりとすることを提案しています。

建築家によるテキストより

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