長坂常 / スキーマ建築計画による、東京・銀座の、レストラン兼ショップ「ギンザ・イニット」。レトルト食品を食事として提供し販売もする店舗で、レトルトとの共通性をダイノックフィルムに見出し全面的に使用、内装制限もクリアしフィルムだからこその木目表現を追求
長坂常 / スキーマ建築計画による、東京・銀座の、レストラン兼ショップ「ギンザ・イニット」。レトルト食品を食事として提供し販売もする店舗で、レトルトとの共通性をダイノックフィルムに見出し全面的に使用、内装制限もクリアしフィルムだからこその木目表現を追求 photo©河野政人 / ナカサアンドパートナーズ
長坂常 / スキーマ建築計画による、東京・銀座の、レストラン兼ショップ「ギンザ・イニット」。レトルト食品を食事として提供し販売もする店舗で、レトルトとの共通性をダイノックフィルムに見出し全面的に使用、内装制限もクリアしフィルムだからこその木目表現を追求 photo©河野政人 / ナカサアンドパートナーズ
長坂常 / スキーマ建築計画による、東京・銀座の、レストラン兼ショップ「ギンザ・イニット」。レトルト食品を食事として提供し販売もする店舗で、レトルトとの共通性をダイノックフィルムに見出し全面的に使用、内装制限もクリアしフィルムだからこその木目表現を追求 photo©河野政人 / ナカサアンドパートナーズ

長坂常 / スキーマ建築計画が設計した、東京・銀座の、レストラン兼ショップ「ギンザ・イニット」です。。レトルト食品を食事として提供し販売もする店舗で、レトルトとの共通性をダイノックフィルムに見出し全面的に使用、内装制限もクリアしフィルムだからこその木目表現も追求されました。店舗の公式サイトはこちら

非常食用に開発されたレトルト食品“IZAMESHI”の有料試食店、つまりレストラン兼ショップを設計させていただいた。2階ではアウトドア商品を販売する。

建築家によるテキストより

その商品特徴が多くの生活者のニーズに応えることから消費が大きく伸び、いまや一般の家庭では欠かせない食品のひとつとなっている。

ただ、それをレストランで出すことによって、ショップでその非常食は売れるが、レストランは繁盛するのか?と疑問に思ったが、それは今度は味勝負となるのであろう。すでにそれは新宿の姉妹店で証明済みでたくさんのお客さんで賑わう。味に信用があるとすると、誰が調理しても変わらない味になるのはむしろメリットになる。そして、よくよく考えてみると町にある多くのチェーン店がそのレトルトで料理を提供していることを思い出し、こんな鮮やかにその裏を見せて売りにしていくビジネスに感服させられた。

建築家によるテキストより

ふと思い出したのが、10年ほど前にタケオキクチのフラッグシップストアを渋谷で計画したとき、初めてあった時に武先生が「Aesop青山店素敵ですね。あの色まちまちの木の棚が好きです。一軒の家を壊した時に出てきた廃材で作ったんでしょ?面白いねえ」と言われながら「でも、代官山蔦屋も不思議と居心地がよく好きなんだよね。嘘だってわかっていてもあの木目が与える人への影響は大きく癒されるんだよね。長坂くんはどう思う?」って言われ、全く予想していなかった質問に面食らい答えを濁したことを覚えている。

それから、ことあるたびにその言葉を思い出すのだが、それを実作で実感することのできる機会がやってきた。レトルトとダイノックフィルムという二つの存在に共通項を感じダイノックフィルムをふんだんに使ったお店をここで計画した。

建築家によるテキストより
玉上貴人 / タカトタマガミデザインによる、東京・江東区の「つくりおき.jp 清澄白河キッチン休憩室」。就業環境の快適化の為のスペースで、緊張感ある仕事から開放される“ひとやすみ”の空間を、円弧を重ねた柔らかな形状・有機的な左官仕上げ・天然木の使用によって生み出す
玉上貴人 / タカトタマガミデザインによる、東京・江東区の「つくりおき.jp 清澄白河キッチン休憩室」。就業環境の快適化の為のスペースで、緊張感ある仕事から開放される“ひとやすみ”の空間を、円弧を重ねた柔らかな形状・有機的な左官仕上げ・天然木の使用によって生み出す photo©吉村昌也
玉上貴人 / タカトタマガミデザインによる、東京・江東区の「つくりおき.jp 清澄白河キッチン休憩室」。就業環境の快適化の為のスペースで、緊張感ある仕事から開放される“ひとやすみ”の空間を、円弧を重ねた柔らかな形状・有機的な左官仕上げ・天然木の使用によって生み出す photo©吉村昌也
玉上貴人 / タカトタマガミデザインによる、東京・江東区の「つくりおき.jp 清澄白河キッチン休憩室」。就業環境の快適化の為のスペースで、緊張感ある仕事から開放される“ひとやすみ”の空間を、円弧を重ねた柔らかな形状・有機的な左官仕上げ・天然木の使用によって生み出す photo©吉村昌也

玉上貴人 / タカトタマガミデザインが設計した、東京・江東区の「つくりおき.jp 清澄白河キッチン休憩室」です。就業環境の快適化の為のスペースで、緊張感ある仕事から開放される“ひとやすみ”の空間を、円弧を重ねた柔らかな形状・有機的な左官仕上げ・天然木の使用によって生み出す計画です。クライアント企業の公式サイトはこちら

「つくりおき.jp」は多忙な共働き子育て世代の家事負担を軽減する為に、専門の調理人が手作りした惣菜をデリバリーするサービスである。レシピは管理栄養士が監修しているという。開業以来ユーザー数を着実に伸ばし、配送対象エリアの拡大を計っている。

建築家によるテキストより

この休憩室は、開業以来最大規模の清澄白河キッチン新規開設において、就業環境をより快適にするとともにコーポレートブランディングの一環として計画されたものである。

建築家によるテキストより

キッチンでは天然由来のものを除き、保存料や添加物は使われず、徹底した衛生管理がなされる。この高度な調理環境の運用を可能にしているのが、緊張感を持って品質管理に努める従業員達である。その従業員達がシステマティックな厨房空間から開放される「ひとやすみ」の空間として、角のない包まれるような休憩室をデザインした。壁面仕上は有機的な職人の手跡が残るような左官とし、身体が触れる部位を天然木とすることで優しさのある表情と手触りを与えた。

建築家によるテキストより
五十嵐敏恭 / STUDIO COCHI ARCHITECTSによる、沖縄・南城市の「百名のゲストハウス」。自然と暮らしの日常を感じる敷地に、4棟の宿泊室を分棟的に配置し建物までの小道を内部に引込むことで、集落と建築体験が連続する“暮らすように旅を楽しめる”施設を構想
五十嵐敏恭 / STUDIO COCHI ARCHITECTSによる、沖縄・南城市の「百名のゲストハウス」。自然と暮らしの日常を感じる敷地に、4棟の宿泊室を分棟的に配置し建物までの小道を内部に引込むことで、集落と建築体験が連続する“暮らすように旅を楽しめる”施設を構想 photo©神宮巨樹
五十嵐敏恭 / STUDIO COCHI ARCHITECTSによる、沖縄・南城市の「百名のゲストハウス」。自然と暮らしの日常を感じる敷地に、4棟の宿泊室を分棟的に配置し建物までの小道を内部に引込むことで、集落と建築体験が連続する“暮らすように旅を楽しめる”施設を構想 photo©神宮巨樹
五十嵐敏恭 / STUDIO COCHI ARCHITECTSによる、沖縄・南城市の「百名のゲストハウス」。自然と暮らしの日常を感じる敷地に、4棟の宿泊室を分棟的に配置し建物までの小道を内部に引込むことで、集落と建築体験が連続する“暮らすように旅を楽しめる”施設を構想 photo©神宮巨樹
五十嵐敏恭 / STUDIO COCHI ARCHITECTSによる、沖縄・南城市の「百名のゲストハウス」。自然と暮らしの日常を感じる敷地に、4棟の宿泊室を分棟的に配置し建物までの小道を内部に引込むことで、集落と建築体験が連続する“暮らすように旅を楽しめる”施設を構想 photo©神宮巨樹

五十嵐敏恭 / STUDIO COCHI ARCHITECTSが設計した、沖縄・南城市の「百名のゲストハウス」です。自然と暮らしの日常を感じる敷地に、4棟の宿泊室を分棟的に配置し建物までの小道を内部に引込むことで、集落と建築体験が連続する“暮らすように旅を楽しめる”施設が構想されました。

敷地は本島南部の海沿いの集落の外れにあり、森や畑に囲まれているため海への眺望はないが森や集落の中を通り緩やかに下る小道が海まで続いていたり、近くの畑では農作業の風景が見れたりと、自然豊かな環境と、ここで暮らす人々の日常を感じることができる。

建築家によるテキストより

建築は4棟のゲストルームとそれを繋ぐ共用部から構成されている。
各個室は敷地内にバラバラに配置され、プライベートな庭を持つ一つの住宅のように計画し、敷地の高低差に合わせて緩やかに傾斜した共用部は、敷地から海までの小道を建物内部へと引き込み、各個室と集落を繋いでいる。

建築家によるテキストより

また、共用部は内外の連続した半外部空間とし、壁の仕上げも集落内に点在する岩肌のような荒い仕上げとすることで集落での体験と建物での体験が連続し、集落の中で暮らしているような体験ができるのではないかと考えた。

建築家によるテキストより
ネリ&フーの、イタリア国立21世紀美術館での建築展「Traversing Thresholds」。施設に収蔵されるスカルパ作品と向き合い、内外と公私を調停する“閾値”の観点から読み解き、そのヴィジョンを再解釈して制作されたインスタレーション
ネリ&フーの、イタリア国立21世紀美術館での建築展「Traversing Thresholds」。施設に収蔵されるスカルパ作品と向き合い、内外と公私を調停する“閾値”の観点から読み解き、そのヴィジョンを再解釈して制作されたインスタレーション photo courtesy of ALCANTARA
ネリ&フーの、イタリア国立21世紀美術館での建築展「Traversing Thresholds」。施設に収蔵されるスカルパ作品と向き合い、内外と公私を調停する“閾値”の観点から読み解き、そのヴィジョンを再解釈して制作されたインスタレーション photo courtesy of ALCANTARA
ネリ&フーの、イタリア国立21世紀美術館での建築展「Traversing Thresholds」。施設に収蔵されるスカルパ作品と向き合い、内外と公私を調停する“閾値”の観点から読み解き、そのヴィジョンを再解釈して制作されたインスタレーション photo courtesy of ALCANTARA

ネリ&フーの、イタリア国立21世紀美術館での建築展「Neri & Hu. Traversing Thresholds」。施設に収蔵されるスカルパ作品と向き合い、内外と公私を調停する“閾値”の観点から読み解き、そのヴィジョンを再解釈して制作されたインスタレーションが公開されています。会期は2022年2月6日まで。

こちらはリリーステキストの一部の翻訳

ドミティラ・ダルディ(Domitilla Dardi / MAXXIデザイン・キュレーター)がキュレーションするAlcantara-MAXXIプロジェクトは、2018年からスタジオ・ヴィジット形式に進化し、過去のマスターと現在のマスターが集まり、毎回招待されてMAXXI Architetturaコレクションの偉大な巨匠の作品を、アルカンターラ®を主要言語として解釈し、個人的解釈を提供するようになったのです。

2021年版では、ネリ&フーは、MAXXIに収蔵されている偉大な作家の一人と向き合います。カルロ・スカルパです。
上海を拠点とする建築デザインスタジオは、「Traversing Thresholds」によって、西洋と東洋の世界、感性と視覚の間に文化の架け橋を構築します。スカルパの解釈は、中国語の「jian」と日本語の「ma」の両方に存在する概念である「threshold」(「隙間」「空間」「間」と大別される)にあります。建築の世界では、この言葉は、内と外、公と私といった対照的な2つの空間環境の間の物理的な調停、あるいは閾値の状態を表すためによく使われるますが、この状態はイタリアの巨匠の空間通路に再び現れています。

リンドン・ネリはこう説明します「閾値の観点から見ると、この “jian”というアイデアは、空間として見ることもできるし、中間、あるいは時間のアイデアとして見ることもできます。」
「これは隙間の空間です。」とロサーナ・フーは付け加えます。「空間だけでなく、空間と時間の間、あるいは2つの構造的な部分の間にある抽象的な概念なのです。何かが満たされるのとは対照的に、空っぽであるという概念があり、音楽を作る音符の間の沈黙のようなものです。」

リンドン・ネリとロサーナ・フーがデザインしたインスタレーションは、スカルパのヴィジョンを、ディテールの発明、ソリッドとヴォイドの対話、素材の創造的な組み合わせという中心節において再解釈しています。

このインスタレーションの焦点は、スカルパの建築の6つの重要な通路を観察者に導くものです。ピボット・プレーン、侵食されたコーナー、挿入されたランドスケープ、フローティング・データム、スリット・ウィンドウ、オフ・アクシス。これらの要素は、完全なものからの引き算、素材間の対話、反重力サスペンション、プログレッシブな空間、構造軸のスライドなど、巨匠のいくつかの教訓に反映されています。ネリ&フーが解釈した建築の教えは、規則正しく交差する壁のメッシュを通して新しい空間を生み出し、6つの限界は訪問者に行動を促し、スカルパの源泉を明らかにする場となっています。

アルカンターラは、優れたデザインアイデアのための特別な「構成材料」であり、その汎用性、触感、エレガンスのあらゆる可能性をもって、この作品を過去と現在をつなぐ真の地点にしています。フルカラーのバリエーションで、あるいはエンボス加工やラミネート加工といった異なるテクスチャーで使用されるこの素材は、ネリ&フーがデザインする建築の礎となり、その生来の感覚的な魅力で人々を迎え入れます。

ドミティラ・ダルディは言います。
「ロサーナ・フーとリンドン・ネリは、MAXXI Architettura Archivesの中で最も貴重なカルロ・スカルパの作品に異なる視点を与えてくれました。」
「スカルパの作品に”胎動”として存在し、”閾値”というコンセプトを通して、旅や通路としての空間の感覚は、東洋のデザイン感覚へと開かれ、現代の建築家の解釈によって強化されています。」

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