藤本壮介が設計を手掛ける、岐阜・飛騨市の共創拠点施設です。2024年竣工を目指す建築で、商業・教育・住居等の機能を都市景観を参照した路地空間で繋ぎ、緑化された大屋根広場が多様な活動が会する舞台となる計画です。2021年11月には藤本が「飛騨高山大学(仮称)本校キャンパス」を手掛ける計画案も公開されていました。両建築とも屋根がモチーフという共通点があります。
多様性が響き合う場所
私たちはこのプロジェクトにおいて、飛騨のこれまでとこれからを象徴するような、一つの大きな風景を作ることができればと考えました。飛騨古川の駅に隣接する素晴らしい立地において、街に開かれた器(うつわ)のようなこの広場は、多様な活動を受け容れ響き合わせます。楕円形の建物は、四方八方すべての方角からアクセスすることができる解放性を備え、この場所が人々の行き交うハブとなることを期待しています。
器(うつわ)は大屋根でもあります。その下には飛騨の伝統的な都市景観からインスピレーションを得た魅力的な路地空間が行き交い、歩き回る楽しさを生み出します。
路地はそのまま大屋根広場へ連続し、視線は一気に空へと抜けていきます。
この大きな盆地のような都市広場には、多様な機能と活動が顔を出して共存し、関係し合い、それらが響き合う一つの象徴的な風景が生まれます。伝統と未来、多様性とつながり、個と多、自然と人工、開かれることと守られること。器(うつわ)は親密な一つの部屋のようでもあり、広大な丘のようでもあり、季節と共に変化しながら空を切り取るフレームでもあり、飛騨の周囲の山並みに連続していく地形でもあり、多様な活動が一堂に会する舞台でもあり、またいくつもの思いを受け止め響き合わせる楽器のようでもあります。この場所が、飛騨の新しい活動の拠点の一つとして、新設される飛騨高山大学(仮称)とも連動しながら、飛騨の魅力をより高めてくれることを期待しています。