ネリ&フーによる、シンガポールの住宅「The House of Remembrance」。永眠した母を記憶する空間と愛着ある既存屋根形状の継承という要望に、中国伝統の中庭の家“四合院”を最解釈した構成と勾配屋根を組み合わせ設計、中央に設けた母の為の庭を囲むよう生活空間を配置 photo©Fabian Ong
ネリ&フーによる、シンガポールの住宅「The House of Remembrance」。永眠した母を記憶する空間と愛着ある既存屋根形状の継承という要望に、中国伝統の中庭の家“四合院”を最解釈した構成と勾配屋根を組み合わせ設計、中央に設けた母の為の庭を囲むよう生活空間を配置 photo©Fabian Ong
ネリ&フーによる、シンガポールの住宅「The House of Remembrance」。永眠した母を記憶する空間と愛着ある既存屋根形状の継承という要望に、中国伝統の中庭の家“四合院”を最解釈した構成と勾配屋根を組み合わせ設計、中央に設けた母の為の庭を囲むよう生活空間を配置 photo©Fabian Ong
ネリ&フーによる、シンガポールの住宅「The House of Remembrance」。永眠した母を記憶する空間と愛着ある既存屋根形状の継承という要望に、中国伝統の中庭の家“四合院”を最解釈した構成と勾配屋根を組み合わせ設計、中央に設けた母の為の庭を囲むよう生活空間を配置 photo©Fabian Ong
ネリ&フー が設計した、シンガポールの住宅「The House of Remembrance Singapore Residence」。永眠した母を記憶する空間と愛着ある既存屋根形状の継承という要望に、中国伝統の中庭の家“四合院”を最解釈した構成と勾配屋根を組み合わせ設計、中央に設けた母の為の庭を囲むよう生活空間を配置しています。
こちらは建築家によるテキストの翻訳です
中国の伝統的な中庭の家、四合院は、儒教の理想を示すものとしてよく知られており、何世代にもわたる家族が一つ屋根の下で暮らすというものです。同じ屋根の下に住むということは、一緒に暮らすということです。この比喩は、特に親密な状況におけるコミュニティという概念を、このプロジェクトのために作られた形を結び付けるものです。この個人住宅の依頼で、ネリ&フーは、クライアントから次のようなユニークな要求を受けました。それは、新しく建てる家には、成人して共同生活をしていた3人の兄弟全員が住めること、亡くなった母親のために庭という形で小さなメモリアルスペースを設けること、そして最後に、子供の頃の家を特徴づける勾配屋根の記憶を新しい建築でも残すこと、です。以前の家は、イギリス植民地時代のバンガロー様式で、雨よけのための深い軒やヴィクトリア朝のディテールなど、マレーの伝統的な家屋の要素をハイブリッドに取り入れた建築でした。ネリ&フーは、屋根の機能的重要性とクライアントの屋根形状への思い入れを理解し、勾配屋根の象徴的な性格を受け入れ、中庭の家の再解釈と組み合わせました。
このプロジェクトでネリ&フーは、共同生活や集合的な記憶といった概念をどのように空間的に表現できるかを探りました。元の敷地には豊かな縁があり、周辺に自然な緑のバッファーを形成していました。そして、設計者はその特徴をそのまま生かしました。新しい2階建ての住宅は、中央の庭を中心にすべての共同スペースを構成し、中庭は家長のためのメモリアルガーデンとして機能しています。地上階は外向的な性格を持ち、広大なガラスの壁がすべての空間を敷地の端にある庭園とつないでいます。リビングルーム、オープンキッチン、ダイニングルーム、書斎といった共用スペースからの視線の抜けを最大にし、1階からは、家を囲む鬱蒼とした植物に包まれながら、中央のメモリアルガーデンを眺めることができるようにしました。大きなガラス戸はスライドして開くことができ、最適な気温条件のもとでは相互換気と庭園への直接アクセスが可能になります。
上階では、庇の役割を果たすだけでなく、公私の区別をする要素としての勾配屋根のアイデアを追求しています。内向的な上層階に位置するプライベートな寝室はすべて屋根の急勾配の破風の中に納められ、外観は平屋の寄棟屋根のバンガローの様相を呈しています。天窓と大きなガラスの壁は、ベッドルームのバルコニーにつながり、外周のガーデンスペースまで見渡せます。また、3つの二層吹き抜けエリアを設け、共用部分と上階の廊下とを繋いでいます。これらの空間は、プライベートな空間からパブリックな空間を覗き込むことができるように、垂直方向に視覚的なつながりを持たせています。