佐々木勝敏建築設計事務所が設計した、愛知・名古屋市の「城山の工房」です。
街と森の境界にあり法規制によって9坪に限られた敷地に計画、小さな建物の内部に多様な風景を作る事を意図して周辺と内部を繋ぐ3つの大開口を設計、その環境の中にいる様な感覚も生み出しました。
敷地西側は住宅地であり、その先に中高層建築が立ち並んでいる名古屋の都心部である。
東側は神社が所有する森が広がっており、都市と森の境界という特異な場所に、この小さな工房は立っている。
興味深い敷地の法規確認を行ったところ、複雑な法規制がかかることがわかった。北側の歩行者階段は道路扱いということで2面道路に接する。それらは42条2項道路であったため、道路中心から2m後退した位置が敷地境界となる。
さらに第一種風致地区のためその道路境界からさらに2m後退した位置にしか建物が建てられない。隣地境界からも1.5m後退が必要となる。道路のセットバックで縮小した敷地に対して建蔽率は30%。第一種低層住居地域のため高さ制限もあった。
その他宅地造成区域、高度地区、緑化地域、居住誘導区域、都市計画公園区域、埋蔵文化財発掘区域、がけ条例と小さな敷地に盛沢山の法規制が重なるというのがこの敷地の特徴であった。そこから導かれた約9坪がここで建設可能な敷地である。
クライアントは陶芸作家であり、1階を工房、2階はギャラリーやセカンドハウスとして要望された。
敷地東西の異なる個性を持った環境と、内部空間をつなぐことで小さな建築に多様な風景とおおらかさが生まれると考え、3つの開口を計画した。