宇野享 / CAnが設計した、愛知・名古屋市の「HASE-BLDG.3」です。
市街地に建つテナントビルの計画です。建築家は、店子の交流を生み良い雰囲気でお客を引き込む事を目指し、各階共用部に多目的な場を備えた立体的な路地空間を構築しました。また、内部はフロアの組合せで幅広い賃貸面積の選択肢を提供します。
HASE-BLDG.3では、店子間の交流が生み出すアットホームな雰囲気が来訪者を引き込み、やがて建物全体がひとつのコミュニティに成長していくような場をつくりたいと考えた。
HASE-BLDG.3は、各階を約4.5mの階高に設定した5階建ての雑居ビルである。各階の外部は2層、内部は2層または3層のスキップフロアとなっている。外部は踊り場とテラスが下階の庇を兼ねた立体的な回遊路となり、内部は層間竪穴区画の階段を設ければ、全フロアを上下移動できるシークエンシャルな建築にもなる。つまり、内部空間はスキップフロアを上下何層まで繋ぐか、隔てるかによって、貸床面積の幅広い選択肢が生まれることになる。
また、緑に覆われた建築にしたいという施主の要望を踏まえ、道に面したテラスや踊り場に小さな庭を設けた。小さな庭や鉢植えが四季折々に表情を変えて各階の店先を彩る。人工芝張りの階段に腰かけて談笑したり、テラスの水場を使いお茶を飲んだり、店子が思い思いにその場の使い方を楽しんでいる様子が人々を惹きつける。道行く人々が階段を上がってみたくなり、その先の空間に行ってみたくなるような、立体的な路地空間をもつ建築の提案である。