伊藤維建築設計事務所が設計した、東京・豊島区の「池袋のまちなかリビング」です。
官民連携の実証実験の為の仮設家具です。建築家は、“まちを使いこなす想像”の端緒を目指し、地域の廃材等を転用して敷地の文脈と呼応する形態と構成を考案しました。また、人と植物に等価に使われる様な風景を思い描き設計されました。プロジェクトの公式サイトはこちら。
池袋駅東口すぐの「グリーン大通り」で2017年来展開される「IKEBUKURO LIVING LOOP」の一環で、拡幅された歩道上にストリートファニチャーを設計した。
区役所や公園も含めた地域全体の整備を推し進める官と、豊島区を本社とする企業やまちづくり会社を含めた民のチームとが連携した動きの中で、「まちなかリビングのある日常」を目指し、まず実証実験としての仮設家具を、という依頼であった。豊島区(土木管理課)より道路占用許可、所管警察署より道路使用許可を得て設置している。
設置する3か所それぞれの文脈から、通りの舞台・街のビル並み・バス待ちの光景などに触発された形態・構成で、異なる人の集まり方ができる設えを、植栽とともに提案した。
案検討を進めながら、池袋のサンシャイン劇場の改修に際し廃棄予定であったヒノキの舞台床板に行き着き、それを主材料として転用。その板と、良品計画の商品を作る製材所から入手した芯持ちの端材(ヒノキ角材)とを、3か所それぞれ、異なる構造形式によって組み合わせることにした。
まちの素材・形・主体を見つめ、転用を伴いつつアウトプットした形が、人・植物に等価に使われているような風景を思い描きながら具体化を検討し、DIYと大工工事とを混ぜながら実現した。この家具・場所を巡り経験されることが、まち全体の経験に繋がり、そして更にまちを使いこなす想像に開かれていくことを企図している。