田﨑敦士 / Atsushi Tasaki Architecture and Designが設計した、神奈川・藤沢市の美容室「“NEON” hair salon」です。
メーカー住宅の1階に計画されました。建築家は、自身の原風景でもある“工業化”に向き合い、スタッド製什器等の流通建材を“少しずれた”方法で用いる設計を志向しました。そして、今ある風景に寄添いながらも“以前とは異なる風景”を生み出す事が意図されました。店舗の場所はこちら(Google map)。
神奈川県鵠沼海岸駅から徒歩30秒程の商店街に位置するヘアサロンの計画。
この商店街には通勤や通学、買い物、立ち話をする人から、サーファーやスケーターといった多様な人々が往来している。
サロンが入居したのは、大手ハウスメーカーが新築したばかりの建物で、1階が店舗、2階、3階が住居となっており、それぞれの入口は通りに面して並列している。外装は窯業系サイディングとアルミサッシで構成され、効率化された日本ではよく見る建物であり、郊外育ちの自身にとっても身近なものである。
工業化によって生まれたこの風景に対し、私はどこかコンプレックスを抱えながらも自身の原風景になっていることを自覚している。この矛盾を抱えた原風景へどのようにアプローチをするか考えた。
クライントからの依頼は、「必要な席数を確保すること」、「ヘアサロンらしくないものにすること」のみであった。入口は細く奥が鍵上に広くなっている形状で必要な機能を配置すると自然に平面が埋まるため、平面計画の自由度は高くはない。
そこで、流通建材や既製品を軸として、それらを通常とは少しずれた使い方を重ねることで、ものや空間の見え方に小さな変化や違和感を与えていく。一般化された風景に寄り添いながらも、どこか今までとは異なる風景を生み出し、利用者に何かの気づきを与えられるような空間を目指した。