藤本壮介による、ドイツでの建築展「Primitive Future」。現地のアワード受賞を記念して開催。自身の建築哲学を表現する、12個のワイヤー製のオブジェによるインスタレーションを制作。視点により見え方が変わる“立体的なドローイング”が空間に様々なシーンを描く
藤本壮介による、ドイツでの建築展「Primitive Future」。現地のアワード受賞を記念して開催。自身の建築哲学を表現する、12個のワイヤー製のオブジェによるインスタレーションを制作。視点により見え方が変わる“立体的なドローイング”が空間に様々なシーンを描く第1展示室、12の建築プロジェクトを紹介 photo©Erik Jan Ouwerkerk
藤本壮介による、ドイツでの建築展「Primitive Future」。現地のアワード受賞を記念して開催。自身の建築哲学を表現する、12個のワイヤー製のオブジェによるインスタレーションを制作。視点により見え方が変わる“立体的なドローイング”が空間に様々なシーンを描く第2展示室、12個のワイヤーでできたオブジェによりインスタレーションを展示 photo©Erik Jan Ouwerkerk
藤本壮介による、ドイツでの建築展「Primitive Future」。現地のアワード受賞を記念して開催。自身の建築哲学を表現する、12個のワイヤー製のオブジェによるインスタレーションを制作。視点により見え方が変わる“立体的なドローイング”が空間に様々なシーンを描く第2展示室、インスタレーションの詳細 photo©Erik Jan Ouwerkerk
藤本壮介による、ドイツでの建築展「Primitive Future」。現地のアワード受賞を記念して開催。自身の建築哲学を表現する、12個のワイヤー製のオブジェによるインスタレーションを制作。視点により見え方が変わる“立体的なドローイング”が空間に様々なシーンを描く第2展示室、インスタレーションの詳細 photo©Erik Jan Ouwerkerk

藤本壮介による、ドイツ・ベルリンのアエデスでの建築展「Primitive Future ─ Everything Is Circulating」です。
現地のアワード受賞を記念して開催されました。建築家は、自身の建築哲学を表現する、12個のワイヤー製のオブジェによるインスタレーションを制作しました。そして、視点により見え方が変わる“立体的なドローイング”が空間に様々なシーンを描きます。展覧会の公式ページはこちら


こちらはリリーステキストの翻訳

藤本壮介は自然環境と建築環境の関係を再考する先見的な建築家です。彼の詩的なプロジェクトにおいて、日本人建築家は秩序と無秩序、単純さと複雑さのバランスを目指しています。それは、彼の建築では、物理的な境界は視覚的に溶解することになっているからです。藤本がAWアーキテクト・オブ・ザ・イヤー2023に選ばれたことを記念して、アエデスでの展覧会は彼の実験的なアプローチに捧げられます。広大なインスタレーションは、山を連想させる「積み重ね」の家、木の形に沿った構造、小さな森が生い茂る屋根など、プロジェクトのセレクションを表しています。これらは共に、藤本壮介自身が「プリミティブ・フューチャー」と表現する建築哲学、すなわち人や自然と調和する建築を反映しています。

日本の島、北海道で生まれ育った藤本壮介は、子供の頃から自然に強い関心を抱いていました。これとは対照的に、彼は日本で最も人口の多い大都市である東京という、正反対の人工的な都市状況で建築を学びました。これは、藤本が建築と自然との関係を、彼の作品に不可欠な要素として取り上げるという結果につながっている。藤本は説明します。「今日、私たちは地球規模の問題に直面しています。それは、自然災害、地震、気候変動、そしてパンデミックです。私は、建築は今後よりいっそう自然と結びついていくと考えています。つまり、私たちは自然としての建築を考察し、同時に自然を建築と見なすのです」

すべてがつながっている
藤本壮介が建築を構想するとき、彼は「プリミティブ」と呼ぶ基礎から出発します。つまり、人間と自然が本来持っている多層的な関係です。自然と建築は二律背反するものであるにもかかわらず、彼は自分のプロジェクトに両者を等しく組み込もうと努力している。こうして彼は、違いを中和させるだけでなく、互いに拡散的に共鳴させることで、新たな「場」を生み出すことができるのだと言います。藤本壮介はこう説明します。 「すべてが違っていて、でもつながっているます。ひとつであると同時に多数です。シンプルでありながら複雑。私は、自然、都市、そして人々と真に調和する建築に興味があります」

この建築哲学に基づき、藤本壮介は過去20年にわたり、主に日本と中国で、またヨーロッパでも、幅広く魅力的なポートフォリオを展開してきました。例えば、モンペリエにある樹木のような住宅タワー「L’Arbre Blanc」(2019年)では、機能性と折り紙のような軽さを特徴とするデザインを見事に融合させることに成功し、驚くべき詩的な建築を生み出しました。ブダペストの「ザ・ハウス・オブ・ミュージック」(2022年)も同様で、藤本は、ハンガリーの首都にある市立公園の周囲の自然と融合した、有機的な形をした一部透明の建物と利用者との間に、遊び心のある相互作用や関係を生み出しています。都市空間の狭さへのミニマルで痛烈なデザイン介入によって、藤本は自然と人間とのバランスを創造し、その場所への肯定的な同一性を最大限に刺激し、官能的な空間体験を促進しています。

展覧会
「プリミティブ・フューチャー─すべてが循環する」では、藤本壮介建築設計事務所が手がけた、実現または計画中の12のプロジェクトを紹介します。展覧会の最初の部屋では、12本のフィルムが、多面的なタイポロジーとフォルムをデザインする過程についての洞察を提供します。藤本の建築哲学への言及は、展覧会の第2展示室で紹介されます。広々としたインスタレーションでは、12個のワイヤーでできたオブジェが浮遊し、つながった世界の概念を表現します。それらは、人、自然、地理、建築として一列に並び、メタモフォーシスとして循環しているように読むことができます。視点によって、空間の中にさまざまなスケールやシーンが立体的なドローイングとして現れ、様々なものとつながり、調和してたたずんでいます。

長坂常 / スキーマ建築計画による、アメリカ・ニューヨークの店舗「50 Norman」。日本の食を主題とする飲食と物販。“アウェイ”な土地で“ホーム”の質の保持を求め、端材等を日本で加工し輸送して職人を連れ現地で組立てる方法“DEKASEGI”を考案。コロナ禍の状況を乗り越え完成させる
長坂常 / スキーマ建築計画による、アメリカ・ニューヨークの店舗「50 Norman」。日本の食を主題とする飲食と物販。“アウェイ”な土地で“ホーム”の質の保持を求め、端材等を日本で加工し輸送して職人を連れ現地で組立てる方法“DEKASEGI”を考案。コロナ禍の状況を乗り越え完成させる外観 photo©GION
長坂常 / スキーマ建築計画による、アメリカ・ニューヨークの店舗「50 Norman」。日本の食を主題とする飲食と物販。“アウェイ”な土地で“ホーム”の質の保持を求め、端材等を日本で加工し輸送して職人を連れ現地で組立てる方法“DEKASEGI”を考案。コロナ禍の状況を乗り越え完成させる日本の陶器をはじめとする料理道具をそろえた「CIBONE」 photo©GION
長坂常 / スキーマ建築計画による、アメリカ・ニューヨークの店舗「50 Norman」。日本の食を主題とする飲食と物販。“アウェイ”な土地で“ホーム”の質の保持を求め、端材等を日本で加工し輸送して職人を連れ現地で組立てる方法“DEKASEGI”を考案。コロナ禍の状況を乗り越え完成させる明治四年創業の築地魚河岸「尾粂(おくめ)」 photo©GION
長坂常 / スキーマ建築計画による、アメリカ・ニューヨークの店舗「50 Norman」。日本の食を主題とする飲食と物販。“アウェイ”な土地で“ホーム”の質の保持を求め、端材等を日本で加工し輸送して職人を連れ現地で組立てる方法“DEKASEGI”を考案。コロナ禍の状況を乗り越え完成させるジャパニーズフレンチレストラン「HOUSE BROOKLYN」 photo©GION

長坂常 / スキーマ建築計画が設計した、アメリカ・ニューヨークの店舗「50 Norman」です。
日本の食を主題とする飲食と物販の入る店舗です。建築家は、“アウェイ”な土地で“ホーム”の質の保持を求め、端材等を日本で加工し輸送して職人を連れ現地で組立てる方法“DEKASEGI”を考案しました。また、コロナ禍の状況を乗り越え完成させました。店舗の公式サイトはこちら

50Normanという複合店をNYブルックリンである50 Norman Aveに計画した。

そこにジャパニーズフレンチの「HOUSE BROOKLYN」と、日本の陶器をはじめとする料理道具をそろえた「CIBONE」、明治四年創業の築地魚河岸「尾粂(おくめ)」による日本の食をテーマにした複合店である。

建築家によるテキストより

アウェイな土地でホームでのクオリティをキープしながらお店をつくることを試みた。
長らく海外のプロジェクトで、日本でできていることが、思う通りにできず苦しんでいた。一度は日本でのクオリティを求めるのではなく、もっと大味でどこでも通用するわかりやすいデザインを試みないとならないとも考えた。その一方、デザインを土地に合わせるのではなく、あくまで日本でできているクオリティを守る方法はないかと考えた。そのために制作方法を考えてコストを抑えてクオリティ維持する方法はないかと考えた。

建築家によるテキストより

そこで生まれたのがDEKASEGIだ。
DEKASEGIとは日本において解体され捨てられる材料を日本で加工し、できるだけ体積を落として船ではこび、さらに数名の職人を連れてその組み立てと現地での加工を短期間で行う。更に日本の古材には仕口、継手の加工や経年変化がところどころに残っており、他ではえがたい表情がある。それを生かしたデザインを考えることをおこなっている。

建築家によるテキストより
ヘルツォーグ&ド・ムーロンによる、ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツでの建築展「Herzog & de Meuron」。建築家と密接に協働して企画された展覧会。建築の制作過程と体験におけるアイデアを探求する3つの空間で構成。カビネットから移設した模型等・建築作品での日常を主題とする映画・最新作の病院のモックアップ等を展示
ヘルツォーグ&ド・ムーロンによる、ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツでの建築展「Herzog & de Meuron」。建築家と密接に協働して企画された展覧会。建築の制作過程と体験におけるアイデアを探求する3つの空間で構成。カビネットから移設した模型等・建築作品での日常を主題とする映画・最新作の病院のモックアップ等を展示カビネットの一部を移設した第1部屋。/ Installation view of the Herzog & de Meuron exhibition at the Royal Academy of Arts, London (14 July – 15 October 2023). Photo © Royal Academy of Arts, London / David Parry. © Herzog & de Meuron
ヘルツォーグ&ド・ムーロンによる、ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツでの建築展「Herzog & de Meuron」。建築家と密接に協働して企画された展覧会。建築の制作過程と体験におけるアイデアを探求する3つの空間で構成。カビネットから移設した模型等・建築作品での日常を主題とする映画・最新作の病院のモックアップ等を展示H&dMの作品をテーマに、ベカ&ルモワンヌが制作した映画を展示する第2室。 / Installation view of the Herzog & de Meuron exhibition at the Royal Academy of Arts, London (14 July – 15 October 2023), showing Beka & Lemoine, Rehab from rehab film, 2023. Photo © Royal Academy of Arts, London / David Parry. © Beka & Lemoine
ヘルツォーグ&ド・ムーロンによる、ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツでの建築展「Herzog & de Meuron」。建築家と密接に協働して企画された展覧会。建築の制作過程と体験におけるアイデアを探求する3つの空間で構成。カビネットから移設した模型等・建築作品での日常を主題とする映画・最新作の病院のモックアップ等を展示建設中のチューリッヒの病院を展示する第3室。 / Installation view of the Herzog & de Meuron exhibition at the Royal Academy of Arts, London (14 July – 15 October 2023). Photo © Royal Academy of Arts, London / David Parry. © Herzog & de Meuron

ヘルツォーグ&ド・ムーロンによる、イギリス・ロンドンの、ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツでの建築展「Herzog & de Meuron」です。
建築家と密接に協働して企画された展覧会です。会場は、建築の制作過程と体験におけるアイデアを探求する3つの空間で構成されています。カビネットから移設した模型等・建築作品での日常を主題とする映画・最新作の病院のモックアップ等を展示しています。展覧会の公式ページはこちら


こちらはリリーステキストの翻訳です

ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツは、批評的に高い評価を得ているスイスの建築事務所ヘルツォーグ&ド・ムーロン(H&dM)の展覧会を、ロンドンで約20年ぶりに開催します。ジャック・ヘルツォークとピエール・ド・ムーロンによって1978年にバーゼルで設立されたこの建築事務所は、建築の性質を再考することによって世界中の都市を形作ってきました。建築家たちとの密接なコラボレーションによって企画されたこの展覧会では、彼らのプロジェクトに適用された考え方や アプローチについての洞察を来場者に提供します。幅広い制作方法、素材、技術が展示され、H&dMの建築とその周辺のコンテクストを体験できる機会となっています。

テート・モダン(ロンドン、2000年と2016年)、ラバン・ダンス・センター(ロンドン、2003年)、北京国家体育場(鳥の巣)(2008年)、エルプフィルハーモニー・ハンブルク(2016年)、REHABバーゼル(2002年と2020年)、M+(香港、2021年)、ロイヤル・カレッジ・オブ・アート(ロンドン、2022年)、ユニバーシティテッツ・キンデルスピタル・チューリッヒ(2024年完成予定)を含む、美術館、病院、スタジアム、民間および公共建築物など、最近および現在の注目すべきプロジェクトがあります。

展覧会は、建築の制作過程と体験におけるアイデアとプロセスを探求する3つのスペースのシークエンスで構成されています。最初の部屋は、H&dMのオープンな倉庫であり研究スペースであるカビネットの一部をバーゼルからロンドンに移したものです。背の高い木製の棚には、幅広い模型、素材、プリント、写真、フィルムクリップ、AR体験など、約400点の品々が展示されており、多様でありながら具体的なプロジェクトの数々を表現しています。これらのカビネットのショーケースの傍らには、H&dMの建築の知覚への関心と、アーティストとの長年のコラボレーションを示す9点の大型写真作品が展示されています。それは、アーティストのトーマス・ルフの作品6点と、ドイツの写真家アンドレアス・グルスキーの作品3点です。拡張現実(AR)を通じて、来場者はデジタル3Dモデルやアニメーションによって展示に命を吹き込まれたプロジェクトをさらに掘り下げることができます。

2つ目の部屋は映画スペース。中央の大型スクリーンでは、スイスのバーゼルにあるH&dMのプロジェクト「REHAB Clinic for Neurorehabilitation and Paraplegiology」での日常生活を描いた、著名な映像作家ベカ&ルモワンヌによる新作映画の編集版が上映されています。スクリーンの反対側には、スクリーンの反対側には、H&DMのプロジェクトを占めて探索する人々の観察に基づいたフィルム・インスタレーションがあります。

最後の部屋はヒーリング・アーキテクチャーに焦点を当て、現在建設中のプロジェクト、スイスのチューリッヒ・キンダースピタル(Universitats- Kinderspital Zurich)、ひとつを取り上げます。このプロジェクトは2012年、先駆的な病院建築による新施設を求める国際コンペで勝利しています。この展示では、来場者がH&dMの癒しの空間のデザインに取り組むプロセスや、自問自答を知ることができます。この部屋には、病室の断面の1:1の内装のモックアップがあり、H&dMの病室とデザインのヒューマニゼーションが表現されています。訪問者は、ARを使用して実物大の部屋を探索することができます。

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