三野貞佳 / アリアナ建築設計事務所が設計した、京都・向日市の「つづき屋根の集合住宅」です。
住宅街の裏表がない敷地に計画されました。建築家は、周辺の低層建物との調和を求め、要素が連続する外観ではない“個性の集合体”の様な建築を志向しました。そして、チューブ状の量塊から専有部を切り分けるプロセスで様々な住戸タイプを生み出しました。
京都と大阪をつなぐ阪急電車京都線の西向日駅から徒歩5分の利便性の良い立地に16世帯の賃貸住居とクライアントのオフィスを建築した。
閑静な住宅地が広がる西向日駅前には、昭和初期の開発により整備された美しい桜並木が街を覆っていた。市街地からは少し距離がある場所ではあるものの、ここにしかない魅力を充分に感じることが出来た。
敷地は南北方向に細長く、西側の阪急沿線と北から南へと蛇行する道路に挟まれるように位置していた。
360°全てが建物の顔になりえる立地条件であるため、コピー&ペーストの単調な外観ではなく、其々の個性の集合体のようなイメージにすることで、周辺の低層住宅との調和を図ることができるのではないかと考えた。
配置計画としては5.1m間口のチューブを敷地形状に合わせてぐるりと配置している。それをクライアントの要望である40㎡程度の住居になるように、切り分けたことで平面上の様々なバリエーションが生まれた。さらに、1階は半地下、2階にはロフト付やメゾネットタイプなど断面方向にもバリエーションをもたせることで、SOHO利用も可能な個性豊かな16室の住居が出来た。各住居は外の開口に加え、敷地センターの庭園又はライトコートに面した内の開口などから光と風を取り込むことが出来る。